ザ・プライス、初の新設店をNSCでオープン!
セブン&アイHのディスカウント業態、ザ・プライスが初の新設店を11/20、埼玉県越谷市にオープンした。店名は「ザ・プライスせんげん台店」であり、2層建ての、NSC(ネバーフッドショッピングセンター:近隣型SC)の核店舗での新設出店である。デベロッパーはセブン&アイH傘下のモール・エスシー開発であり、自社物件でのオープンとなる。ザ・プライス以外にもサンドラック、ダイソ-、アカチャンホンポなど、約15店舗が入り、ザ・プライスとしては、これまでのイトーヨーカ堂からの業態転換から初の新設店でのオープンとなり、いよいよ第2ステージへ移ったといえよう。
これまでザ・プライスは、約1年前の2008年、8/29に1号店、西新井店を東京都足立区にオープンし、その後、11/14、埼玉県川口市に川口店をオープンした。特に、川口店はオーケー、西友との直競合ともなり、ディスカウント業態の真価が問われる激しい価格競争を繰り広げ、現在でも川口商圏のプライスリーダーの一角を占めている。そして、2009年に入り、3/20、千葉県鎌ケ谷市に鎌ヶ谷店、3/26、埼玉県川口市に川口市2店舗目の西川口店、3/28、千葉松戸市に五香店を立て続けにオープンした。その後も4/17、埼玉県蕨市に蕨店、4/24、埼玉県東松山市に東松山店、6/19に神奈川県横浜市に鶴ケ峰店、7/17に東京都東久留米市に滝山店をオープンした。
また、7/25には、イトーヨーカ堂の発祥の地、東京都足立区に、イトーヨーカ堂が1958年に開業した1号店、千住店をザ・プライスに業態転換した。ちょうど、ザ・プライス10店舗となるメモリアル店舗であり、創業の原点を引き継ぐ新たな業態として、ザ・プライスを不退転の決意で展開していくことを内外に宣言したともいえよう。
そして、この11店舗目が、今回の初の新設店、しかも、食品スーパーマーケット最新の業態NSCでの核店舗での出店であり、イトーヨーカ堂としては、ザ・プライスに運命を託す、象徴となる11店舗目のオープンといえよう。この11店舗目が、10店舗目の創業店の業態転換を経て、新設店として新規オープンしたことは、ザ・プライスのビジネスモデルがほぼ完成したことを意味しているといえ、ザ・プライスがこれまでの実証実験段階から、本格展開へ向けての新たなスタートが切られたといえよう。イトーヨーカ堂は現在176店舗であるので、11店舗は6.25%に当たり、存在感を増しつつあるといえる。今後、17店を超え、10%を超えると、イトーヨーカ堂の柱へと成長する可能性もあり、ザ・プライスはここへ来て、まさに、第2ステージに入ったといえる。
では、この11店舗目のザ・プライス、せんげん台店ではどのような進化がはかられたかであるが、その一端を見てみたい。ちなみに、11/19のプレオープンの目玉商品であるが、フィリピン産バナナ1カット50円(限定100個)、岩手県産活ホタテ1枚47円(限定100枚)、国産若鶏(解凍)手羽先5本入1パック75円(限定50パック)、ヤマザキシュガーロール(6個入)1袋 135円(限定50袋)、フラワー粉1kg1袋128円(限定50袋)である。
さて、このザ・プライスの11号店の注目点であるが、まず上げるべきは、グロサリーと日配の部門管理を統合したことであろう。従来この2部門は対極にあり、商品回転率は日配が速く、グロサリーは遅く、管理温度帯も日配は冷蔵什器(低く)、グロサリーは非冷什器(温かい)という状況であった。したがって、発注、商品補充はもちろん、マーチャンダイジングも対極にあるといえ、部門を分けて管理する必要があったといえる。売上げもどちらも、全体の20%前後となり、食品スーパーマーケットでは生鮮食品と並ぶ中核部門といえる。
ただ、食品スーパーマーケットの商品を概観すると、大きく2つに分かれ、店内加工商品(生鮮3品、惣菜)と発注補充商品(日配、グロサリー)になり、その意味で、発注補充がひとつのチームで可能であれば、全体の効率は間違いなくあがるはずであり、その面での改革は本来食品スーパーマーケットが取り組むべき課題であったといえる。しかも、今回はこの部門の商品を通常の6割に絞り込み、さらに、改善を加えているのが特徴である。今回、ザ・プライスがこの改革に成功したことで、今後、食品スーパーマーケット業界全体の改革にもつながるのではないかと思う。
これ以外でも、バークヤードの設備と仕様を見直し、標準化を行い、大幅な設備投資の削減を実現したり、セルフレジを6台導入する予定であるという。これらの改革はいずれもディスカウント業態を成立させるための経費削減策であり、食品スーパーマーケットの最大の経費、人件費と設備投資の双方の削減につながる。
このように、ザ・プライスが11店舗を新設店、しかもNSCで出店したことは、ザ・プライスのビジネスモデルが完成したということを意味しているといえる。今後、176店舗のイトーヨーカ堂の不振店を業態転換するだけでなく、新規出店にも踏み切ることが可能となったことで、ザ・プライスが不振のイトーヨカ堂を牽引してゆく道筋がついたといえ、今後のザ・プライスの動向に注目である。
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