カスミ、フードoffストッカー、22店舗(16.2%)へ
カスミがフードoffストッカーの出店を加速している。フードoffストッカーはカスミのDS(ディスカウント)業態であり、生鮮を圧縮し、グロサリーを絞り込み、価格訴求を強く打ち出しているのが特徴である。カスミがこの新業態に取り組んだのは、ちょうど5年前の2004年であり、神立西店をフードoffストッカーに業態転換したところからスタートした。この年、同様に佐貫店、竜ヶ崎寺後店をフードoffストッカーに業態転換し、3店舗でスタートするが、翌年、竜ヶ崎寺後店は閉店し、その後も、2005年真壁店、下館店をフードoffストッカーに業態転換、さらに、2006年、下妻東店、牛久ししこ店をフードoffストッカーに業態転換し、2年間で6店舗の既存店を業態転換した。
フードoffストッカーはカスミにとっては、新業態ではあるが、あくまで既存店の不振店の活性化策の一環で取り組んでいるのが実態である。2009年11月現在、フードoffストッカーは22店舗となっているが、フードoffストッカーとしての、新店はまだない。ただ、この22店舗は、全135店舗の16.2%となり、そろそろ、カスミとしても、専門の商品部を設立する段階に入ってきたといえよう。場合によっては、別会社として、新規出店を含め、新事業としての確立も必要といえよう。これについて、カスミの小浜社長は、茨城新聞の取材の中で、「25店舗になれば商品部を独立させなければ、・・」と、コメントしており、早ければ、今決算期にはフードoffストッカー専門の商品部が設立される可能も高まったといえる。
そこで、さらにフードoffストッカーについて、2007年度以降についても詳しく追ってみたい。まず、2007年度であるが、フードoffストッカー7店舗目となる牛久柏田店(2007年1月)がオープンする。約300坪強、年商8.6億円が目標である。ついで、渡里店(2007年5月、386坪、10億円)、那珂店(2007年6月、387坪、15億円)、守谷店(2007年6月、262坪、8億円)がオープンし、ちょうど、守谷店で10店舗目となる。さらに、この年、11店舗の三郷店(2007年11月、298坪、10億円)がオープンし、2007年度は5店舗のオープンである。こう見ると、既存店の業態転換ということで、売場面積も、年商もまちまちであり、基本コンセプトは確立されつつあるが、店舗フォーマットが、この時点では、中々、固まりきれていない状況といえよう。また、坪売上げも、逆算すると300万から400万円であり、ディカウント業態としては、かなり、低い数字といえる。売上げを引き上げて利益を出すというよりも、経費を下げて利益を出すディスカウンターといえよう。
そして、2008年度に入ると、常澄店(2008年2月、464坪、9億円)、北本店(2008年3月、424坪、12億円)、鴻巣店(2008年5月、337坪、10.5億円)、吹上店(2008年7月、370坪、10.5億円)、芳賀店(2008年10月303坪、7.5億円)、東海店(2008年11月、419坪、9.5億円)と6店舗オープンし、17店舗となった。2008年度は400坪前後とこれまでの店舗面積と比べ、比較的大きな店舗が多いのが特徴である。ただ、ほぼ、売上げ目標は年商10億円前後であるので、坪売上げにすると250万円ぐらいとなり、かなり低い数字であるといえよう。ここまでの17店舗を見る限り、フードoffストッカーは、売場面積にかかわらず、ほぼ10億円ぐらいの年商であり、その意味では、ハード面は別として、売上規模はほぼ固まってきたといえよう。仮に年商10億円から逆算すると、坪売上げ1,000万円で100坪、500万円で200坪であるので、フードoffストッカーのベスト売場面積は、200坪以下が力を発揮できるのではないかと思われる。
さて、今年、2009年度であるが、石岡東店(2009年2月、348坪、9.5億円)、白岡原ケ井戸店(2009年5月、298坪、11億円)、柏布施店(2009年8月、415坪、12億円)、柏中央店(2009年9月、355坪、12.5億円)と4店舗をオープンした。
これで、2004年3店舗(内翌年1店舗閉鎖)、2005年2店舗、2006年2店舗、2007年5店舗、2008年6店舗、2009年4店舗と、合計22店舗となり、現在、カスミストアの全店舗が135店舗であるので16.2%の割合となり、優に10%を超え、20%に迫る勢いであり、フードoffストッカーはカスミにとって、事業の大きな柱に育ちつつあるといえよう。また、ここ3年間は5から6店舗と安定してフードoffストッカーへの業態転換が進んでおり、当初、スタート時点の2004年度からの数年間と比べても転換ペースが増加しており、フードoffストッカーとしてのノウハウも十分に確立されたと思われる。
このようにカスミがここへ来て、フードoffストッカーへの既存店からの業態転換が完全に軌道にのったといえ、新たなビジネスモデルがほぼ完成したといえよう。また、昨今のデフレの消費環境の中では、このようなディスカウント指向の食品スーパーマーケットは消費者のニーズとも合致しており、支持が高い業態といえる。恐らく、近々にフードoffストッカーの商品部も創設され、事業部としても独立する可能性が高く、新設店もいつオープンしても良い状況といえよう。フードoffストッカーが今後、どのように展開されてゆくのか注目である。
食品スーパーマーケットのための決算分析、財務3表連環法Vol.4、詳細はこちら!
有料版プレミアム、緊急特集、日本の食品スーパーマーケット2009!今週の内容!
週間!食品スーパーマーケット最新情報、まぐまぐ! 資料集
Mixi(ミクシィ)版にMD力って何?のトピックをつくりました!
« デジタルサイネージ、本命か、ミルとくチャネル? | Main | コンビニ売上速報、2009年10月度、既存店-5.5%! »
« デジタルサイネージ、本命か、ミルとくチャネル? | Main | コンビニ売上速報、2009年10月度、既存店-5.5%! »
Comments