PLANT、2009年9月期本決算、増収増益、株価急騰!
PLANTが2009年9月期の本決算を、10/30、公表した。結果は、売上高869.21億円(104.6%)、営業利益14.40億円(249.0%:売上対比1.65%)、経常利益11.23億円(238.6%:売上対比1.29%)、 当期純利益6.19億円(231.7%:売上対比0.71%)と、増収増益となる好決算となった。特に、利益が大きく回復し、伸び率は昨年が厳しい数字であっただけに、すべての段階で昨対250%近い異常値となった。また、経常利益率1.29%は、過去5年間でも、最高の数字であり、PLNATの経営状況がこの1年で改善しつつあることが鮮明である。これを受けて、通期予想であるが、売上高870.00億円(100.1%)、営業利益22.00億円(152.7%:売上対比2.52%)、経常利益20.00億円(178.0%:売上対比2.29%)、当期純利益10.00億円(161.4%:売上対比1.14%)と、売上高は伸び悩むものの、利益はさらに、大幅に改善する見込みであり、増収増益の好決算予想である。
この好決算に投資家もすばやく反応しており、決算公表前にも関わらず、ここ数日のPLANTの株価は、通常の20倍ぐらいの大商いが連日続き、株価が急騰している。10/26(399円、13,000株)、10/27(425円、70,500株)、10/28(470円、61,400株)、10/29(469円、41,100株)、10/30(486円、57,800株)という推移であり、そして、本決算公表後、週明けのはじめての商い、11/2は566円(80円高)と、ストップ高の状況である。明らかに、PLANTの株は加熱しているといえ、今後、どこで落ち着くか、しばらく、読めない状況である。
では、PLNATの利益が急激に改善している状況を原価、経費の面から見てみたい。まず、原価であるが、80.70%(昨年81.28%)となり、原価が0.58ポイント下がっている。今期は競合各社が値下げ競争により厳しい経営環境にあったと思われるが、原価改善が進んだことが、利益を押し上げた大きな要因であるといえよう。ここで原価計算について補足だが、PLANTは不動産関連の収入、原価をそれぞれ、売上高、原価に計上しているが、ここでは、不動産関連の数字はすべて分けて計算し、純粋に商品売買から得られる数字をもとに算出した。したがって、決算短信の数字とは若干ズレが生じるが、マーチャンダイジングの実態を把握するには、こちらの方が、より精度が高い。結果、売上総利益(粗利)は、19.30%(昨年18.72%)となった。
一方、経費であるが、17.85%(昨年18.20%)と、0.35ポイント、経費の削減も進んだ。これは、昨年の経費が150.94億円、今期が154.77億円と102.5%の上昇に抑えたことが大きく、売上高の104.6%とあいまって、経費比率が下がったといえよう。こう見ると、今期のPLANTは、原価、経費双方を引き下げ、利益を確保しており、理想的に収益改善が進んだ結果、大幅な利益改善につながったといえよう。
これについて、PLANT自身は、「一昨年より当社が全力を挙げて実施してきました業務改革におきまして、『在庫管理』『値入向上とロスの削減』『人時生産性を意識した作業効率の向上』を一層強固にすすめるべく、管理職以上の従業員に、目標と実績を数値で進捗管理するよう実践し、・・」と、コメントしており、これらの施策が、数字に反映されてきたものと思われる。
結果、商品売買から得られるマーチャンダイジング力は、差し引き、1.45%(昨年0.52%)と、大幅にマーチャンダイジング力が向上しており、利益の改善が鮮明である。そして、さらに、これに、不動産収入が0.28%(昨年0.24%)、不動産原価が0.06%(昨年0.05%)加わり、結果、営業利益は1.66%(昨年0.69%)となった。
さて、PLNATの今後の経営課題であるが、P/Lに関しては、収益の改善が進み、目途がつきはじめたといえるが、自己資本比率17.4%(昨年16.4%)のB/Sの問題にどう取り組むかである。そこで、今期の好決算を受け、増大したキャッシュをどのように配分したかを見てみたい。まず、獲得キャッシュ、営業キャッシュフローであるが、32.57億円(昨年24.66億円)と約10億円増加している。これは、当期純利益が4.19億円増加したことに加え、実はそれ以上に棚卸資産が20.37億円減少したことが最大の要因といえる。PLANTのコメントにあるように、この1年で在庫の削減が急激に進んだといえよう。
そして、ここからが、このキャッシュの配分であるが、まず、投資キャッシュフローに-10.79億円(昨年-44.21億円)と、大幅に削減した。これは、今期は出店に関する資産の取得を大きくひかえたことが大きい。したがって、フリーキャッシュフローは21.78億円(昨年-19.55億円)と逆流から、順流となった。そして、財務キャッシュフローであるが、配当は-0.67億円と昨年と同じであるが、有利子負債は2.10億円(昨年33.88億円)と、若干の増加に抑えた。結果、財務キャッシュフローは1.41億円(昨年33.20億円)となり、トータル、今期は有利子負債をほとんど増やすことなく、23.19億円(昨年13.66億円)と、内部留保を厚くした配分である。本来であれば、増加したキャッシュで、有利子負債190.95億円(総資産の50.4%)を削減し、財務の安定をはかりたかったところであろうが、今回は、内部留保へキャッシュの配分を優先し、手持ち現金を増やしたといえよう。
このように、PLANTの業績が上向きはじめ、特に、利益の改善が顕著である。その要因は原価、経費双方が改善され、理想的な利益の確保ができており、この1年間の業務改革の成果が表れ始めた結果であるといえよう。また、この業務改革は、特に財務面では在庫が大きく削減され、キャッシュフローで約20億円の効果を生み出しており、営業キャッシュフローが大きく改善されている。したがって、自己資本比率が17.4%という、負債に80%以上を依存する厳しい財務状況の改善に今後、確実に繋がってゆくものといえよう。PLANTも今後、5年、10年単位での中長期的な財務改善のまずは目途がたったといえ、今後、計画どおりの収益が次の第1四半期、そして、中間決算で確保できるかが注目である。
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