調味料、焼き肉のたれ、ドレッシング好調、内食需要?
ここへ来て、食品スーパーマーケット業界の業績が厳しい状況になってきた。現在、2010年2月期、3月期の中間決算があいついで公表れているが、その結果を見ると、増収増益の好決算の食品スーパーマーケットは稀であり、大半が増収減益か、減収減益の決算となっており、利益の確保が特に厳しい状況となっている。これは、消費者物価指数(CPI)が明らかなデフレ傾向を示すように、食品スーパーマーケット各社が激しい価格競争を繰り広げ、結果、価格が下がり、原価の下落をもたらし、利益への影響が大きいためであると思われる。
ただ、このような厳しい状況の中でも、数字を伸ばしている商品群がある。先に総務省統計局が公表した直近の家計調査データを見ると、食品全体が99.9%となり、伸び悩む中、油脂・調味料は101.8%、その中でも調味料は102.0%と堅調な伸びを示している。特に、つゆ・たれ10.07円(111.9%)、マヨネーズ・ドレッシング8.40円(110.0%)と、調味料の主力部門が好調であり、ケチャップも1.63円(102.1%)と、堅調な伸びである。ただ、基礎調味料の食塩1.43円(93.5%)、しょう油5.17円(97.5%)、砂糖3.53円(99.1%)、酢3.53円(93.8%)、ソース2.00円(96.8%)、みそ6.87円(100.5%)は、伸び悩んでおり、明暗がわかれている。ここからも、調味料全体を牽引しているのは、マヨネーズ、ドレッシング、つゆ、たれ、ケチャップ等の加工調味料であるといえ、これらがこの消費環境の厳しい中においても、家庭からの熱い支持を受けており、恐らく、内食需要の追い風に乗っているのではないかと思われる。
そこで、さらに、これらの項目を実際の食品スーパーマーケットで販売されている単品レベルにまで落として、その動向を検証してみたい。いま手元に、独自に入手した全国の食品スーパーマーケット約300社強の調味料1,000SKUのPOSデータがある。2009年9月度と昨年2008年9月度のデータである。このPOSデータを独自に加工し、実際に調味料がどのような動向を示しているかを検証してみる。
まず、調味料1,000SKU全体の結果であるが、1店舗当たりに換算した売上金額は2,636,158.44円(昨対98.9%)と、若干下がっている状況である。この中で、家計調査データで堅調であった項目を同様に比べてみると、好調な商品群は焼き肉のたれ110.1%、ドレッシング106.9%が好調である。これに対して、マヨネーズ98.6%、ケチャップ98.9%、つゆ96.3%、その他たれ93.5%という状況である。家計調査データの数字とは若干違いがあるが、焼き肉のたれ、ドレッシングは見事に一致している。特に、家計調査データでは、たれはつゆが含まれ、たれも焼き肉とその他のたれが入っての合計数字であり、このPOSデータで見たように、この中で、数字を牽引しているのは、焼き肉のたれであるといえよう。同様に、家計調査データでは、マヨネーズとドレッシングが一緒になっており、これもPOSデータでみたとおり、ドレッシングが伸びているといえよう。
では、焼き肉のたれとドレッシングを牽引している重点商品をいくつか見てみたい。まず、焼き肉のたれであるが、ここからは、導入店の金額PI値のみで見てみるが、No.1はエバラ黄金の味中辛400g(116.5%)、No.2はエバラ黄金の味甘口400g(109.4%)、No.3はエバラ黄金の味中辛210g(135.4%)、No.4は上北 スタミナ源たれ瓶410g(126.3%)、そして、No.5がエバラ生姜焼のたれ230g(81.3%)という結果である。No.5は伸び悩んだが、ベスト4はすべて大きく伸びており、明らかに、焼き肉のたれが好調であることがわかる。ちなみに、No.4の上北スタミナ源は東北限定の商品であるが、金額PI値は1,394円とNo.1のエバラ黄金の味中辛400g の331円と比べても極めて高く、東北では圧倒的な支持の高い商品である。
一方、ドレッシングであるが、No.1はQP深煎りごまドレッシング170ml(122.0%)、No.2は理研スーパードレノンオイル青じそ190ml(91.0%)、No.3はQP深煎りごまドレッシング380ml(118.2%)、No.4はピエトロ ドレッシング 和風280ml(89.8%)、そして、No.5はQPシーザーサラダドレッシング170ml(130.8%)であり、特にQP関連の伸びが著しいのが特徴である。これは、特に、QPの商品がNo.1の170mlは昨年200ml、No.5も同様に昨年200mlを170mlに容量を減らし、平均単価が200円を切るように値ごろ調整をしたことも大きいといえよう。
ちなみに、調味料ベスト1,000SKUの中のベスト5であるが、No.1はキユーピーマヨネーズ500g(92.5%)、No.2ミツカン味ぽん360ml(94.0%)、No.3味の素ピュアセレクトマヨネーズ400g(117.3%)、No.4日新製糖 白砂糖1kg(148.2%)、そして、No.5は味の素ほんだし120g(94.6%)である。また、特徴として、これらすべての平均単価が昨年と比べ5%から10%近く下がっており、これはベスト10で見ても同様な傾向であり、価格訴求がこと調味料には大きな影響を与えていることがわかる。
このように、この9月度の調味料について家計調査データという家計側からの消費実態と全国約300社強の食品スーパーマーケットのPOSデータという販売側からの実態を見てみたが、傾向はほぼ一致しており、特に、調味料を牽引している商品群が焼き肉のたれとドレッシングであることが見事に一致した。消費全体はますます厳しさを増しつつある中、家計は節約志向を高め、商品を厳選して購入しているといえ、今後、ますますこのような傾向が強まってゆくのではないかと思われる。
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