瀬戸内海商圏一段と進む、大黒天物産九州へ!
食品スーパーマーケットの商圏がエリアからエリアへと拡大しつつある。11/20、大黒天物産が「新規エリア出店に関するお知らせ」を公表した。それによれば、来年の3月下旬に大黒天物産の九州エリア、第1号店、ラ・ムー水巻店(仮称)がオープンするという。場所は福岡県であり、総売場面積が29,800平米(約9,000坪)、敷地面積69,600平米(約2万坪強)という、大規模な売場、敷地面積での出店である。
一般に食品スーパーマーケットがエリアから他のエリアへ商圏を拡大するのは簡単ではない。その理由は物流の問題と人材の問題があり、特に、物流は24時間365日の商品供給体制を整える必要があり、新エリアのための専門のセンターが必要となるからである。しかも、センターをつくれば数店舗では採算にあわず、センターの規模にもよるが、30店舗から50店舗、大規模な場合は100店舗は必要となり、可能な限り、そのエリアにおいて新規出店ないしはM&Aを通じて、速く店舗数を増やす必要がある。また、それにともなって、人材の育成も必要となる。したがって、食品スーパーマーケットのエリア拡大は、1チェーンを0から作り上げるに等しく、事前の準備と将来への見通しをしっかり計画してスタートする必要がある。
今回、大黒天物産が九州エリアに新たに参入を表明したが、大黒天物産は、これまでもエリア拡大を積極的にはかってきており、これで、3エリア目となる。本社は岡山県であり、中国エリアとなるが、その後、東へ拡大をはかり、兵庫、大阪、京都へとエリア拡大をはかった。さらに、2005年には四国へとエリア拡大をはかり、今回が九州となり、3エリア目となる。大黒天物産に限らず、中国エリアの食品スーパーマーケットは早くからエリア拡大をはかる食品スーパーマーケットが多く、積極的な食品スーパーマーケットが多い。この地区は、もともと瀬戸内海全体を大商圏ととらえ、中国エリアだけでなく、関西エリア、四国エリア、そして、九州エリアが瀬戸内海を介して、ひとつの大エリアととらえており、エリア拡大がしやすい環境にあるといえる。
そこで、この中国エリアの食品スーパーマーケットを中心に、現在、どのようなエリアを超えた拡大が図られているかを見てみたい。まず、この中国エリアで最も積極的なエリア拡大を行っているのは、広島のイズミであろう。イズミは、2009年2月現在、80店舗であるが、地元広島県には31店舗であり、約40%である。したがって、残り60%は広島県以外への出店である。その内、中国エリアには全部で56店舗である。残り24店舗が中国以外のエリアとなり、九州エリアが20店舗、四国エリアが3店舗、そして、関西エリアが1店舗となり、4エリアでの展開である。
同じく広島県に本社を置くハローズ41店舗であるが、広島県には19店舗、隣の岡山県には20店舗と、中国エリアには39店舗である。これ以外では四国エリアに2店舗であり、今後、四国エリアでの展開が本格化する方向である。次に、岡山県に本社を置く大黒天物産であるが、53店舗であり、地元、岡山県には19店舗と、約35%であり、残り、約65%が地元以外への展開である。中国エリアには、地元岡山県を入れて29店舗であり、約50%強であるので、エリア拡大に積極的であることがわかる。その拡大エリアであるが、四国エリアへはすでに、10店舗を出店しており、そのペースも速く、重点エリアとなりつつある。また、関西エリアへは14店舗であり、大阪府5店舗、兵庫県8店舗、京都府1店舗と、関西エリアへも店舗数が増え続けている。そして、今回、九州エリアへの参入が決まり、まさに、瀬戸内海全体への出店が本格化する体制が整ったといえよう。
これ以外の中国エリアの食品スーパーマーケットであるが、岡山県が地元の天満屋ストアは26店舗であるが、中国エリアに24店舗、四国エリアに2店舗展開している。また山口県が地元の丸久は81店舗であるが、中国エリアに80店舗、九州エリアに1店舗を展開している。
一方、逆に中国エリアへ参入している食品スーパーマーケットもあり、兵庫県が地元のマックスバリュ西日本であるが、147店舗の内、関西エリアは79店舗であり、中国エリアに64店舗を出店しており、さらに、四国エリアにも4店舗と3エリアでの展開をはかっている。また、四国、愛媛県を地元とするフジであるが、93店舗の内、65店舗が四国エリアであり、中国エリアに28店舗を展開しており、中国エリアは第2のドミナントエリアとなっている。
このように、大黒物産が地元中国エリア、そして、関西エリア、四国エリアについで、4エリア目となる九州エリアへの新規参入が来年春に決まり、いよいよ、瀬戸内海全域での食品スーパーマーケットのチェンーン展開が本格化したといえよう。また、大黒天物産以外の食品スーパーマーケットも、先に見たように、瀬戸内海全体を商圏にしつつあり、いよいよ、このエリアは1エリア、2エリアでの展開だけでなく、瀬戸内海商圏という、中国、関西、四国、そして、九州をまたがる大商圏ができつつあるといえよう。今後、このエリアの各食品スーパーマーケットがどのような出店戦略を打ち出すか注目である。
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