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December 20, 2009

神戸物産、2009年10月期本決算、増収減益!

   業務スーパーを全国にFC展開する神戸物産が、2009年10月期の本決算を12/14、公表した。結果は、売上高1,259.98億円(117.6%)、営業利益7.62億円(74.8%:売上対比0.60%)、経常利益5.75億円(72.1%:売上対比0.45%)、当期純利益2.44億円(56.4%:売上対比0.19%)と、増収とはなったが、大きく減益となる厳しい決算となった。

   神戸物産の店舗数は、この決算時には505店舗であり、直営はわずか2店舗であるので、その大半がFC展開である。今期のスタート時点、2008年10月の店舗数はFCが482店舗、直営2店舗であったので、直営は増えていないので、FCが23店舗増加しており、増収の要因はこの店舗数の増加にあるといえよう。神戸物産はFCを直轄エリアと地方エリアに分けて管理しているが、直轄エリアが108.2%(既存店104.2%)、地方エリアが114.0%であるので、地方エリアの貢献が大きかったといえる。ちなみに、直轄エリアとは、関西(兵庫県、大阪府、京都府、滋賀県、奈良県、和歌山県)、関東(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)である。

   一方、減益になった要因であるが、原価、経費面から見てみたい。まず、原価であるが、95.63%(昨年94.64%)と、0.99ポイント上昇しており、結果、売上総利益は4.37%(昨年5.36%)と下がった。神戸物産は通常の食品スーパーマーケットと違い、業務スーパーであり、しかも、FCが主体であるため、原価構造が全く違い、売上対比では、95%前後となり、結果、粗利、売上対比は5%前後となる。

   これに対し、経費であるが、3.76%(昨年4.40%)と、0.64ポイント削減しており、経費の削減は昨対85.4%と大幅に進んだ。特に、広告宣伝費、販売促進比が-84.0%、-46.3%と削減できたことが大きかった。この販促関連は昨年は経費全体の8.4%であったが、今期は4.1%と、半減しており、ここに、今期、経費カットの大ナタを振るったといえよう。結果、差し引き、営業利益は0.60%(昨年0.95%)と、経費削減の効果がいかせず、0.35ポイント下がり、減益となった。経費の削減は進んだが、原価の上昇が響き、減益を余儀なくされた形である。

   そこで、この厳しい決算を受けて、今期の神戸物産のキャッシュフローを見てみたい。まず、営業キャッシュフローであるが、大幅な減益となったことにより、減少したかに思えるが、結果は21.07億円(昨年9.36億円)と、倍増している。これは、当期純利益は減少したものの、今期は在庫関連において、棚卸資産が昨年の-4.81億円から一転、5.86億円と増加したことが大きい。キャッシュフローによる在庫の増加は、在庫が増加した場合はキャッシュのマイナス、減少した場合はキャッシュのプラスであるので、今期は在庫が減少し、キャッシュフローがプラスに転じたことが大きかった。また、売上債権が-26.49億円から、-4.05億円と大幅に減少しており、これもキャッシュフロー上では実際の売上債権の増加がマイナスとなり、減少がプラスとなるので、売上債権が減少したということであり、これらが寄与し、当期純利益のマイナスをカバーし、営業キャッシュフローを押し上げたといえる。

   そして、投資キャッシュフローであるが、-34.13億円(昨年-24.63億円)と、大きく増加している。これは、事業の譲り受けによる支出-7.18億円、それに伴う有形固定資産の取得-25.03億円があり、投資が膨らんだためである。結果、合計、フリーキャッシュフローは-13.06億円(昨年-15.27億円)と、昨年よりは、マイナス幅はやや縮小したが、大きくマイナスとなり、資金不足となった。

   したがって、そのマイナス分を財務キャッシュフローか、資産を取り崩すしかなく、財務キャッシュフローを見ると、45.94億円(昨年-3.91億円)と大幅なプラスになった。これは、短期借入金20.00億円、長期借入金29.30億円と、合計、49.30億円の長短借入金を増やしたためである。結果、貸借対照表の負債の有利子負債は50.00億円(昨年0.68億円)となり、負債が大きく増加した。神戸物産の昨年の自己資本比率は48.3%であったが、今期は38.6%と、約10ポイント減少しており、負債が大きく経営に重くのしかかる構造となったといえよう。

   結果、トータルのキャッシュフローは28.24億円(昨年-19.47億円)と、プラスにはなったが、有利子負債の増加によるプラスであり、厳しい財務構造となったといえる。こう見ると、今期は事業の譲り受けにともなうキャッシュフローのマイナスが大きかったといえるが、その会社は、秦食品-6.11億円、マスゼン-0.84億円、肉の太公-0.22億円の3社である。

   これを受けて、次年度の通期予想であるが、売上高1,305.00億円(103.5%)、営業利益12.00億円(157.3%:売上対比0.91%)、経常利益12.00億円(208.3%:売上対比0.91%)、当期純利益6.70億円(274.2%:売上対比0.51%)と、大幅に改善する見込みである。店舗数も45店舗増を見込んでいるとのことで、今期が505店舗であったので、順調に新規出店が進めば、計画の103.5%は可能といえよう。

   このように、神戸物産が2009年10月期の本決算を公表したが、結果は増収とはなったが、原価の上昇が響き、減益となる決算となった。また、今期は事業の譲り受け3社があったため、キャッシュフローの投資が増加し、結果、有利子負債を大きく増加させざるをえなくなり、自己資本が大きく減少し、財務的には厳しい構造となった。ただ、業務スーパー本体の事業は堅調といえ、来期も堅調な出店が見込まれ、業績は好転するものと予想される。今後、デフレ傾向が一層進み、外食産業は厳しい経営環境となると思われるが、このような厳しい環境の中で、神戸物産の業務スーパーがどのような経営戦略を打ち出すか、来期の動向に注目したい。

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