家計調査データ、2009年11月度、食品98.4%!
家計調査データの最新、2009年11月度が12/25、総務省統計局から公表された。結果は、全体の1世帯1日当たりの消費額は9,491.33円(昨対100.0%)、外食を除く、食品では1,986.87円(昨対98.4%)となった。全体は名目で100.0%であったが、食品は98.4%と、昨年を若干下回っており、やや厳しい結果となった。家計調査データは、消費額が金額で換算されるため、数量が落ちたのか、価格が落ちたのかはわからないが、昨今のデフレの消費環境から察するに、数量よりも、価格のダウンが大きかったのではないかと推察される。実際、消費者物価指数(CPI)は、この11月度は-1.9%下がっているので、価格のダウンが食品の消費を押し下げたといえよう。
もう少し、全体の動向を見てみると、中分類の中で最も消費が厳しかった部門は外食の93.6%であった。ついで、被服及び履物94.2%、光熱・水道94.8%であった。逆に、消費が好調な部門であるが、教育110.1%、保健医療106.0%、住居105.5%であった。そこで、最も消費が厳しかった外食の状況を見てみると、好調な項目は中華食111.0%、すし109.8%、中華そば107.0%、学校給食104.9%である。特に、中華食、中華そばは、餃子の王将がこの11月度の売上げも124.8%と絶好調であり、王将が中華全体を牽引しているともいえよう。ただ、これらの項目以外の外食はすべて昨年を下回っている。ハンバーガー89.3%、洋食89.3%、喫茶代92.7%、飲酒代93.2%、日本そば・うどん93.9%、和食94.1%等である。
一方、好調な部門であるが、教育の110.1%が唯一2桁の伸びであり、その項目を見ると、予備校等の補修教育111.2%、授業料109.8%、その中でも専修学校495.2%、私立中学校132.3%、私立大学128.6%と伸びが著しい。また、教科書・学習参考教材も107.8%と伸びており、ここへ来て、家計は教育に重点的にお金をかけていることがわかる。また、保健医療であるが、医薬品113.3%、保健医療サービス110.4%、特に歯科診療代は141.9%、医療診療代112.7%と、大きく消費が増加している。この両項目とも民主党が力を入れている分野であり、政権交代の影響もあるのかしれない。
そこで、食品スーパーマーケットにとって、もっとも重要な食品についてであるが、全体は先にも見たように、98.4%とやや伸び悩んでおり、全体の中でもこの11月度は消費が芳しくなかった部門である。特に、穀類94.7%、肉類95.7%、野菜・海藻97.2%、酒類98.1%、油脂・調味料98.4%と、これらの項目が伸び悩んでいるのが特徴である。逆に、昨対を超え、比較的堅調であった項目であるが、乳卵類102.6%、果物101.5%、調理食品(惣菜)100.7%、飲料100.6%である。
さらに、細かく内容を見てみると、まず、消費が厳しかった項目の中で、90%を割り、80%、70%台のものを見てみると、穀類では、米87.6%、肉類では90%以下はないが、生鮮肉が厳しい状況である。野菜・海藻ではレタス79.7%、こんぶつくだ煮82.8%、キャベツ82.9%、さといも83.3%、梅干し85.9%、かんしょ86.0%、ごぼう86.5%、はくさい88.2%等である。酒類では主力のビールが86.3%と最も落ち込みが大きい。そして、油脂・調味料であるが、食用油81.1%である。消費が厳しかった項目では、以上が特に、落ち込みの大きかったものであるが、これらの項目以外でも、特に消費が厳しかったものを見てみたい。最も気になるのは、全体は堅調な部門であった果物の中で、つい最近まで絶好調であったバナナ72.1%である。約1年間2 桁の伸びであったが、この9月から、伸びも一巡し、一転、下げが続いている。また、魚介類のさんま81.8%、煮干し84.4%、たい88.2%、いか89.4%と気になるところである。
一方、食品全体が厳しい状況にある中、消費が比較的堅調であった項目の中身であるが、110%以上のものを見てみると、乳卵類では、バター133.3%と、バターが断トツで好調である。ただ、卵は90.7%と厳しい状況であるが、卵以外はすべて昨対を超えており、乳卵類は好調といえよう。果物では、りんご112.1%、かき111.2%と、旬のものが好調であり、金額は小さいがオレンジ137.5%、ぶどう132.6%、いちご113.0%と、好調なものが多い。調理食品では、そうざい材料セット129.7%、うなぎのかば焼き126.8%が絶好調である。そして、飲料であるが、炭酸飲料が130.3%と好調であり、その他の飲料も堅調な数字である。ただ、飲料の中で果物・野菜ジュース93.4%、緑茶96.5%と、この2つが昨対を切っており、伸び悩んでいるのが気になるところだ。
これ以外の項目で110%以上伸びているものを見てみると、菓子類のアイスクリーム・シャーベット113.2%、ようかん117.4%、野菜・海藻の干しのり121.5%、魚介類のいわし126.5%、かに121.5%、魚介の漬け物118.9%、たこ113.1%、塩さけ111.6%、さば110.0%が110%以上伸びており、消費環境が厳しい中、注目といえよう。
このように、この11月度の家計調査データは、消費環境が厳しい中、全体としては昨対100.0%と消費は大きく下がっておらず、健闘しているといえよう。特に、教育関連、医療関連が消費全体をひっぱっているともいえる結果である。ただ、気になるのは食品の98.4%であり、食品がここへ来て厳しい消費環境をまともに受け始めたともいえ、伸び悩んでいることである。このような中で好調なものもあるが、全体的には伸び悩んでいる物が多く、今後、どのように推移するか、注意深く見てゆくことが必要といえよう。
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