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December 22, 2009

マックスバリュ北海道、2010年1月、第3四半期、減益!

   マックスバリュ北海道が、2010年1月期の第3四半期決算を公表した。食品スーパーマーケット業界は、上場企業が約50社であるが、その内、2月期決算が約6割、ついで、3月期決算が約2割あり、1月度決算は数社である。その内の1社がマックスバリュ北海道であり、12/14、第3四半期決算が公表された。結果は、営業収益は574.62億円(100.6%)とわずかにプラスとなったが、営業利益-5.28億円、経常利益-4.99億円、当期純利益-12.28億円と、いずれも赤字となる厳しい決算となった。自己資本比率も20.8%(昨年23.6%)と、減少しており、財務的にも極めて厳しい状況であり、待ったなしの抜本的な経営改革が急務となった。

   営業利益が赤字となった要因であるが、原価が77.11%(昨年76.20%)と、0.91ポイント上昇し、結果、粗利、売上総利益が22.89%(昨年23.80%)と、下がったことである。ここへ来て、全国的にデフレが進行し、特に、北海道商圏では激しい価格競争が繰り広げられており、平均単価が下がり、原価の上昇が避けられなかったものと思われる。この11月度のマックスバリュ北海道の売上高の状況を見ても、全体が93.9%(既存店92.5%)という状況であり、極めて厳しい数字である。これについて、マックスバリュ北海道は、「お客さま1人当たり買上点数は、徐々に改善が進み、1点単価(1品当りの販売価格)が低下傾向にある中、客単価(お客さま一人当りのお買い上げ金額)の下落に歯止めが掛かりつつあります。・・」とコメントしている。平均単価のダウンをPI値アップで金額PI値をカバーしつつあるとのことであるが、やはり、平均単価のダウンが厳しいようである。

   これに対して、経費の方であるが、25.74%(昨年26.03%)と、-0.29ポイント下がっており、経費の改善は進んだといえよう。マックスバリュ北海道自身も、「従業員より、コスト削減の提案を収集する全員参画型の「もったいない輪」キャンペーンを行い、一人ひとりのコスト削減の意識づくりを行う、・・」とコメントしているように、全社的に経費の削減に取り組んだ成果が表れたといえよう。

   結果、差し引き、マーチャンダイジング力であるが、-2.85%(昨年-2.23%)となり、-0.62ポイント減少しており、商品売買から得られる利益が、原価の上昇により、経費の削減でカバーできず、厳しい結果となった。これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が1.92%(昨年1.81%)のり、営業利益は-0.93%(昨年-0.42%)となり、赤字となった。赤字幅が昨年よりも膨らんだのは、原価の上昇に伴い、粗利が減少した結果であるといえ、いかに、価格競争による平均単価のダウンの影響が大きかったかがわかる。

   気になるのは、マーチャンダイジング力が構造的にマイナスとなっていることであり、マーチャンダイジング力を今後プラスにもってゆくには、現状の売上総利益22.89%を25.00%ぐらいにまで大幅に上昇させるか、経費25.74%をさらに下げ、22.00%ぐらいにまでもってゆくか、ないしは、双方をバランスよく改善するしかなく、いずれにせよ、経営構造を大きく見なおさざるをえない状況にあるといえよう。

   また、財務面でも、この第3四半期決算では、自己資本比率が20.8%という厳しい状況にあり、約80%を負債に依存する財務構造となっている。この状況では、食品スーパーマーケットの成長戦略を打ち出すことが極めて難しいといえる。マックスバリュ北海道の出店にかかわる資産、土地、建物、敷金等の合計は158.13億円であり、これは総資産260.83円の60.62%に当たり、結果、自己資本比率20.8%から差し引いた出店余力は-39.82%であり、大半を負債に頼る出店構造となっている。その負債の状況であるが、有利子負債の合計が79.29億円と総資産の30.39%と大きな割合を占め、経営を圧迫している状況である。今後、新規出店を継続的に出店してゆくには、いかに有利子負債を削減し、自己資本比率を引き上げてゆくかが課題といえよう。

   そこで、今後の出店戦略であるが、投資キャッシュフローを見ると、-11.53億円の出店にかかわる資産を取得している。これは、現在74店舗であるので、1店舗当たりの出店にかかわる資産が2.13億円となり、5.4店舗の出店予想といえ、厳しいキャッシュフローの中でも成長を意識した投資であるといえよう。ただ、営業キャッシュフローは-6.06億円のマイナスであり、この投資を営業キャッシュフローで賄うことはできず、財務キャッシュフローの有利子負債の増加、そして、現金を取り崩して、補っており、厳しい遣り繰りである。

   本来であれば、投資を控え、財務キャッシュフローの有利子負債の返済にキャッシュを厚く配分し、財務改善をはかりたいところであると思われるが、当期純利益が赤字となり、キャッシュフローが厳しい状況にあり、有利子負債を増加させ、現金を取り崩すというキャッシュの調達をせざるをえなかったものと思われる。今期決算まで残すところあとわずかであるが、まずは、マーチャンダイジング力をいかに改善し、キャッシュを生み出すことが最優先課題といえ、短期ではなく、中長期的な経営の健全化が課題といえよう。
 
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