丸和、2010年1月期、第3四半期決算、減収減益!
九州、福岡の丸和が、12/4、2010年1月期の第3四半期決算を公表した。結果は、売上高284.73億円(94.9%)、営業利益-1.58億円、経常利益-3.98億円、当期純利益-5.75億円と、減収減益、すべての段階で赤字となる厳しい決算となった。丸和は九州、福岡市場に上場しているが、親会社は議決権の66.4%の株式を保有する非上場の広島のユアーズであり、ユアーズのもとで、経営を再建中である。
この9/4には、事業構造改革への取り組みの方針が示され、この中で、「エリアドミナント戦略の見直しを軸として、付随する不動産賃貸借契約、光熱費等含めた固定費の総合的な検討を行い、店舗利益の極大化を目指して取組む、・・」という方針が、当面3ケ月を目途として、示された。その後、11/24には、「具体的には、所有不動産・賃貸不動産の精査・評価を行い、①物件売却、テナントリーシングを行うこと、②不動産賃貸借契約の金額見直しのお願いを行うこと、加えて、当社展開エリアの再検討を行い、③不採算店舗の撤退を行うこと、の3点を主軸として関係者と調整して参りました。結果、現在においては一部旧店舗の売却実施、不動産賃貸借契約の支払減額、4店舗の閉鎖が確定いたしました。・・」ということであり、構造改革の真っ最中である。
この第3四半期決算は、今年の2月から10月までの9ケ月間であるが、一部、この事業改革の期間もかぶっており、その成果が問われ始める時期の決算結果であるといえる。そこで、ここでは、まず、この減収減益となった要因を分析し、合わせて、財務面において、丸和が現在どのような状況にあるのかを見てみたい。
まず、丸和が事業の構造改革へ取り組まざるをえない要因であるが、大きく2点あるといえよう。ひとつは、利益剰余金が今期の赤字を加えると、-59.86億円となり、昨年までの資本金および、資本剰余金の合計57.92億円では、マイナスとなり、債務超過となってしまうことである。したがって、これを今期は、資本を増強し、71.86億円とせざるをなかった点である。経営に、マイナスの利益剰余金が重くのしかかり、資本不足にある点である。
これを改善するには、まさに、マーチャンダイジング力を高める必要があるが、今期の原価は74.17%、結果、売上総利益は25.83%であり、一方、経費は27.41%であり、差し引き、マーチャンダイジング力は-1.58%と、逆ザヤになっている。これに、不動産収入、物流収入等が、1.02%加わるが、営業利益は-0.56%の赤字となっている。したがって、さらに、利益剰余金のマイナスが膨らむことになり、資本が目減りすることになる。まずは、このマーチャンダイジング力をいかにプラスにもってゆくかが、構造改革にとっても最重要課題である。
さらに、もう1点は、有利子負債の状況である。現在、丸和の有利子負債は更生債権等を入れ、147.47億円であり、これは、総資産265.73億円の55.49%にもあたり、これが自己資本比率を下げ、今期は12.6%(昨年9.3%)と、昨年よりは資本が増強した分やや改善したが、依然として、極めて厳しい状況にあり、負債、特に、有利子負債に大きく依存せざるをえない状況にある点である。これも、返済をしてゆくには、キャッシュを生み出すしかなく、現在、構造改革で取り組んでいる経費削減、不動産の見直しに加え、マーチャンダイジング力を高めることが必須であるといえる。したがって、丸和の経営の2大重点課題、マイナスの利益剰余金、多額の有利子負債を解決するには、いずれも、マーチャンダイジング力の改善が大前提であり、この点を今後、いかに抜本的に構造改革するかが最大の課題といえよう。
今回、その鍵を握るのが親会社の広島のユアーズであるが、ユアーズの2009年9月期の決算が12/3、公表された。それによると、売上高400.03億円(昨対95.92%)、営業利益3.08億円(売上対比0.77%、昨対45.42%)、経常利益4.66億円(売上対比1.16%、昨対57.52%)、当期純利益0.35億円(売上対比0.08%、昨対20.90%)となり、減収減益という厳しい決算結果である。また、純資産比率も13.31%と、負債に大きく依存する経営構造であり、特に、有利子負債が135.29億円と総資産の60.72%と大半を占めており、厳しい財務状況である。したがって、ユアーズ自身も収益の改善、財務の再構築が現在、経営の優先課題といえ、丸和を支援するには十分な余裕がないのが現状といえよう。丸和としては、事業構造改革を一層すすめる一方で、マーチャンダイジング力、商品売買から得られる利益を、自らの力でいかにプラスにもってゆくが、喫緊の課題といえよう。
このように、丸和の2010年1月期の第3四半期決算が公表されたが、依然として、予断を許さない、厳しい経営状況にあるといえ、資本の増強がなされたことは一歩前進といえるが、利益は依然として、赤字が続いており、まずは、マーチャンダイジング力を高め、商品売買から得られるキャッシュをいかに生み出すかが先決といえよう。今期もあと1ケ月たらずとなったが、デフレ環境はますます厳しさを増しており、このような中で、丸和がどこまで、マーチャンダイジング力の改善をはかれるかに注目したい。
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