ワインが気になる、セブン&アイH、グローバルPB第1弾!
家計調査データ、最新、2009年10月度のブログでワインについて言及した。ワイン、ぶどう酒の消費額は、10.00円/日(昨対163.2%)という異常な伸びを示しており、家計調査データでは、11分類約200項目に分けて消費動向を分析しているが、その中で、この10月度は伸び率No.1であった。しかも、ワインの消費世帯のみの消費額は112.74円(昨対166.7%)、消費世帯の割合は8.9%(昨対97.9%)という状況であり、この10月度は、ワインの購入世帯が増えたわけではなく、購入世帯の消費額が急激に増加したことがその原因である。ちなみに、ワインの購入世帯は家計の8.9%であるので、いつもワインを購入している家計がこの10月度は例年になく、ワインを金額ベースでたくさん購入したことになるので、数量か価格か、どちらか、ないしは双方が大きく上昇したことになる。
残念ながら、ここから先には家計調査データでは踏み込めないので、推測になるが、恐らく、全体としては円高の影響でワインの価格は下がっており、したがって、数量が伸びたものといえよう。ただ、別の見方も成り立つ、一般にデフレになった場合は、消費者は価格の安い商品を買い求めることになるが、高額商品等については、これまでの値段でワンランク上の商品が購入できるようになるので、ワインについても、ワンランク上のワインを購入し、平均単価が上昇し、売上げを押し上げたということも考えられる。
以前、チェーンストアエイジ誌でワインについてのPOS分析を取り上げたことがあるが、この時、食品スーパーマーケットには、ワインが約4,000種類販売されており、単純平均の中心プライスは約2.0円/mlであることを示した。また、最高ドンペリニヨンロゼ96、750mlの50.79円/mlから、最低olahona羽黒ブルーベリーとワインG360の0.14円/mlまであり、その中で、ワインの重点商品はほとんど0.5円/mlから1.0円/mlの範囲にあることを実証した。これだけ、プライスラインに差がある商品、しかも、これだけ品揃えが豊富な商品は食品スーパーマーケットの中でも珍しく、それだけ、ワインは特殊なカテゴリーであるといえる。
したがって、この10月度のワインの異変は、デフレ、円高要因がこのワインに加わったことにより、構造変化が起こった可能性が高く、中心プライスが上向いた可能性も否定できず、当然、数量の増加もあったものと推測される。構造変化といえば、この10月度の家計調査データで、ワインの消費額の伸び率が大きく上昇したことにより、酒の全カテゴリーの中で、消費世帯のみでみた場合はビール、清酒、ウィスキー等を抜いて、No.1の消費額となった。
そして、この10月を経て、11月は、かつてないボジョレーヌーボーの価格競争が繰り広げられた。西友がその火付け役といえよう。今年のボジョレーヌーボーの解禁日は11/19であったが、当初、西友はフランソワ・フッシェ ボジョレーヌーヴー PET(750ml)を食品スーパーマーケット業界ではじめて、890円で販売する予定であった、これはml単価1.18円であり、平均的なワインの約半値、ボジョレーヌーボーのこれまでの平均約2,000円強から見ても半値以下であり、十分に安い価格である。ところが、イオン、その他の食品スーパーマーケットが追随してきたために、解禁日前日には780円へ下げ、さらに、解禁日にはとうとう749円まで下げ、何とml単価1円を切るという破格の値段となった。これに刺激される形で、各食品スーパーマーケットがワインのディスカウントをくり広げており、ワインはまさに、異常な活況を呈している。
恐らく、次の家計調査データ、11月度のワインは今回の10月度の166.7%までは難しいかもしれないが、かなりの伸びが期待できるのではないかと予想される。しかも、この10月度はワインの消費世帯のみの消費額が大きく上昇しての結果であるが、11月度は、このボジョレーヌーボーを機に、新規にワインを購入した家計も増えたのではないかと予想され、購入世帯の数も増えた可能性が高いといえよう。
そして、このワインの激動を待っていたかのように、セブン&アイHが、11/4、グローバルPB(セブンプレミアム)の第1弾として、ワインを日米グループの約15,000店舗で発売を開始した。米国カルフォルニア産ワイン、ヨセミテ・ロード赤、白(750ml)であり、価格は598円である。ml単価0.79円と1円を大きく下回り、食品スーパーマーケットの重点商品のml単価が0.85円ぐらいであるので、下限のプライスラインにあたり、絶妙なプライスであるといえよう。今後、セブン&アイHは続々とグローバルPBの開発に入るとのことで、セブンプレミアムもこのワインを機に第2ステージに突入したといえよう。
このように、この10月度、ワインが家計調査データでは、異常な消費増となり、さらに、11月度の西友主導のボジョレーヌーボーの価格競争、今回のセブン&アイHの本格的なPB、セブンプレアムのグローバルPBの参入状況を見ると、11月度もワインの消費額増が期待されよう。今年のワインはその意味で、11月以降、真冬の中で熱い戦いが繰り広げられるものといえよう。
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