重点商品の管理を徹底するには?
食品スーパーマーケットのマーチャンダイジングを考える上で、最初に着手すべき課題は、何をおいても重点商品をいかにおさえるかである。大半の商品は食品スーパーマーケットでは重点商品のみで50%を超える売上げ構成比を示すことが多く、牛乳、食パンなどでは60%から70%にまでその比率が向上する。この商品の対極にあるヨークグルト、菓子パンなどでも、30%から40%前後はあり、前者の商品で重点商品の管理を怠ると、大きく売上げダウンとなり、後者の場合でも、まず、昨対をクリアーすることは難しいといえる。
実際、店舗で、この重点商品の動向を調べてみると愕然とすることが多々ある。本部としては重点商品を選定し、それを棚割に落とし、フェイスを確保し、POPを頒布し、店舗に販売推奨するところまではできていたとしても、店舗、特に発注、品出しの担当者が重点商品を把握していないケースが多い。そのため、重点商品の発注がおろそかになり、欠品、品枯れ、フェイスの縮小、さらには、POPをつけるのを忘れたり、バックヤードに重点商品の在庫が保管されたままになっていたりと、様々な問題が発生する。
さらに、店舗では、本部推奨の重点商品以外に、店舗独自の重点商品があるが、この重点商品の把握ができてなく、本部のみの重点商品を強化し、結果、店舗の売上げを落としてしまう場合もある。重点商品はチェーン全体の重点商品と店舗独自の重点商品があり、この2つの重点商品を店舗では最優先で管理しないと、まず、昨対をクリアーすることは難しいといえる。
そこで、ここでは、重点商品をどう選定するか、そして、選定した重点商品をどのように管理すれば良いかを考えてみたい。まず、重点商品の選定であるが、先にあげたように重点商品は2つある。本部推奨、すなわち、全店共通の重点商品と、店舗独自の重点商品である。全店共通の重点商品は2つの角度から選定することがポイントである。ひとつは、単純に全店の売上(金額PI値)の上位商品であり、これは簡単に重点商品が選定できよう。そして、もうひとつは、全店の中で商品の導入店舗のみでみた場合の売上(金額PI値)が高い商品である。いわば大リーグの得点圏打率の高い商品である。実は、これが将来の最重点商品となる可能性を秘めていることがあり、本部としては、注意深く選定することがポイントである。
次に、店舗であるが、同様に、店舗独自に売上(金額PI値)の高い商品を選定することになるが、これに加え、昨年の数字も見ることがポイントといえる。特に、その店舗に赴任して1年たっていない場合などは、現在の重点商品だけの把握だけではなく、過去の重点商品の把握も大きなポイントとなる。前任の担当者が一所懸命、時間をかけて育成した重点商品が担当者が変わった途端に、売上げが落ちる、ひどい場合にはなくなってしまう場合もある。当然、店舗の売上げは落ちることになり、しかも、その落ちたままの低い水準で売上げが安定してしまう場合がある。その意味で、店舗の重点商品は現在だけでなく、過去の重点商品、特に、前任の担当者が独自に育成した重点商品は極めて重要な重点商品であり、ここが意外に、個々の店舗では、本部推奨の重点商品よりも、売上(金額PI値)の根幹となることがあるので、注意が必要である。
ちなみに、重点商品の目安であるが、金額PI値で見れば、1円を超えれば無条件で重点商品といえる。本ブログでは日経MJで重点商品の基準を勝手につくって、独自の分析をしているが、その基準は金額PI値500円(1人当たり0.5円)がA、300円(1人当たり0.3円)がB、200円(1人当たり0.2円)がCとしている。グロサリーはほぼ、これでいけるが、生鮮、日配はもう一段ランクをあげ、金額PI値1円(1,000人当たり1,000円)を加えた方が良いといえよう。
これで、重点商品の選定はできるが、次に、これを店舗にどう落とすかである。その時の最大のポイントは在庫である。重点商品を強化するとは、言い換えれば、重点商品の在庫を限界まで確保することであり、結果、チャンスロスを最小に管理することに他ならない。そのための店舗でのポイントはフェイスの確保と発注である。重点商品の予想PI値を算出し、客数を予測し、PI値×客数で販売数量を導き、次の発注までの130%ぐらいの十分な在庫を確保し、その在庫に見合うフェイスをしっかりとり、最優先で品出しを行い、細心の注意を払い、最大限の販促をかける。これを店舗の商品担当者と店長を交えて徹底的につめることである。
重点商品以外は自動発注にしても、品揃えさえしっかり確保できれば、大きく数字を落とすことはないが、重点商品は数字に基づいて意識的に管理しないと、鮮度が落ちたり、欠品が生じたり、品枯れになったりし、カテゴリー全体、ひいては店舗全体の売上を落としかねないといえる。その意味で、重点商品は、本部、店長、現場担当者が一体となった取り組みが必要であり、常に、研究、勉強してゆくべき商品であるといえる。再度、特に、各店舗の重点商品をしっかり把握し、見つめ直して欲しいところだ。
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