日経ヴェリタスで、次世代小売業を特集!
日経ヴェリタス12/13号で小売業の特集が組まれた。「出でよ、次のユニクロ」、「3段階「進化論」で探る元気な小売り、主役は時代と共に変遷してきた」という巻頭タイトルの特集である。3段階「進化論」とは、地方発、自社生産、海外展開の3つであり、この3つの進化論を遂げたのがユニクロであるので、同様に、現在の小売業の中にも、この進化論を遂げる企業があるのではという類推にもとづく、次のユニクロ探しの特集記事である。
記事の冒頭で、気になる数字が紹介されている。時価総額である。11/11、ユニクロが時価総額で、それまで、小売業界でNo.1であったセブン&アイHを抜いたというのだ。金額は1兆7,947億円であり、この日、約300億円近く上回ったという。小売業の時価総額の歴史は、日経ヴェリタスによれば、1982年までは三越がNo.1であったが、その後はイトーヨーカ堂が首位を奪い、1991年には、セブンイレブン・ジャパンが首位となり、2005年以降はセブン&アイHが首位となり、現在に至るという。そのセブン&アイHを今年、ユニクロが抜いたことにより、小売業界が新たな時代に入ったといえ、これが日経ヴェリタスのこの特集が組まれた背景のひとつともいえよう。
そこで、12/14時点での小売業界の時価総額を見てみると、No.1はセブン&アイHであり、1兆7,059億円であり、再び、ユニクロを抜いてトップとなっている。ユニクロ、ファーストリテーリングはNo.2であり、1兆6,410億円であり、その差649億円である。小売業界では、この2社が1兆円を超え、断トツであり、激しいトップ争いを繰り広げている。ちなみに、No.3はイオン5,851億円、No.4はヤマダ電機5,383億円、No.5はローソン4,034億円である。残念ながら、食品スーパーマーケットは上位にはなく、食品スーパーマーケット業界でNo.1はイズミの1,369億円である。
さて、日経ヴェリタスの特集にもどると、ユニクロの進化の過程が紹介されているが、これを見ると、1984年に広島に1号店をオープンしたのが進化論のはじまり、地方発である。その後、1992年ころから、製造小売り(SPA)に切り替えはじめ、これが、進化論の第2段階、自社生産である。そして、2001年に海外初、ロンドンに出店したことで、進化論の第3段階、海外展開がはじまる。この3つの段階の進化を遂げたことで、ユニクロが小売業界で時価総額No.1となったという見方である。
そこで、この進化論に沿って、次のユニクロはということになるが、日経ヴェリタスが注目した第1段階に、14社の小売業を上げており、その中に、6社、食品スーパーマーケットが入っている。 北海道のアークス、埼玉のヤオコー、ベルク、岐阜のコメリー、広島のハローズ、そして、沖縄のサンエーである。その中でも、特に、ハローズに注目しており、ユニクロに最も近い食品スーパーマーケットとして捉えたようである。
日経ヴェリタスでは今期の業績予想を示しているが、これを見ると、ハローズが売上高113%、営業利益110%と2桁の増収増益予想であり、他の5社と際だっていることもハローズを取り上げた理由であるといえよう。ちなみに、他の5社の食品スーパーマーケットであるが、アークス(売上高108%、営業利益105%)、ヤオコー(横ばい、106%)、ベルク(106%、105%)、バロー(107%、109%)、サンエー(103%、105%)であり、ハローズが際立った増収増益予想であることがわかる。
そのハローズについてであるが、「24時間、多業態との複合奏功」との見出しであり、ユニクロ進化論の第1段階、地方発は同じ広島出身であり、第2段階、自社生産はPB消商品の開発が順調であり、7.7%と4年間で2.7ポイント比率がアップし、今後、さらに増加の予想であるという。そして、第3段階、海外展開であるが、まだ、海外への出店構想はないが、地元広島から岡山、香川と瀬戸内海沿岸への出店構想が軌道にのりはじめ、来年秋の岡山の物流センターが完成すると、2014年目標の60店舗1,000億円が視野に入るという。
日経ヴェリタスの特集の中でも、進化論、第2段階の自社生産では、ABCマート、ニトリ、しまむら等の数社のみの記事であり、第3段階の海外展開では、さらに少なく、良品計画ぐらいであり、皆無に近い状況である。したがって、日本の小売業はまだ、第1段階から第2段階へ入った段階であるとのことで、第1段階の時点でどこが次のユニクロとなるか、その候補が先の小売業14社、特に、食品スーパーマーケットでは6社に絞った内容の記事である。
こう見ると、日本の小売業の中から次のユニクロ、特に第3段階まで進化していく小売業がでるにはまだまだ時間がかかりそうである。特に、食品スーパーマーケットではまだその前の前、進化論の第1段階から第2段階にあるといえよう。ただ、ここで取り上げた北海道のアークス、埼玉のヤオコー、ベルク、岐阜のコメリー、広島のハローズ、そして、沖縄のサンエーは日経ヴェリタスが選定した、次のユニクロとなる可能性の高い食品スーパーマーケットであるといえ、今後、どのような進化を遂げてゆくか、その動向に注目したい。
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