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January 24, 2010

家計消費、食品1日1,986.87円、全体9,491.33円!

   現在の日本の1世帯平均の消費金額はどのくらいであり、その内、食品にはいくらぐらい費やしているのかを調べてみた。数字の根拠は、総務省統計局が毎月公表している家計調査データである。そろそろ、2009年12月度の数字が公表されると思われるが、現在の最新データは2009年11月であり、この数字から家計消費の実態に迫ってみたい。その結果であるが、全体の消費額は1日当たり、9,491.33円であり、この内、食品のみは、1,986.87円である。家計調査データでは食品を食料とし、外食を含めているが、ここでは、食品とし、外食を抜いた数字で再計算した。また、家計調査データでは月間サマリーの数字であるが、ここでは1日当たりに換算した。この方が直観的にわかりやすいからである。

   ここから外食を抜いた場合のエンゲル係数が算出できる。1,986.87円÷9,491.33円であるので、20.9%となり、日本では、現在、およそ、消費の2割が食品関連に費やされ、8割が食品以外となる。したがって、全体の消費を増やす、すなわち、内需拡大には食品よりも、食品以外の消費が鍵を握っているといえよう。今後の日本は人口が減り、少子高齢化が急激に進むと予想されているので、全体の消費は人口減による下げ圧力が加わり、消費水準を維持するには、この消費額を増加させる以外にないが、その鍵を握るのが、食品以外の消費項目であるといえよう。

   ちなみに、通常のエンゲル係数は外食も含む食料で計算されるので、上記数字に外食の437.17円が加わり、食料は合計2,424.04円となり、これでエンゲル係数を算出すると25.5%となる。約1/4が食料への支出となる。この数字が高いか低いかであるが、第2次世界大戦後10年ぐらいは50%前後で推移していたので、その当時と比べると約半分である。また、1980年頃は30%前後であるので、日本のエンゲル係数は、右下がりに推移していることがわかる。

   さて、今後の消費拡大が可能かどうかの鍵を握る食品以外であるが、大項目で見て、消費額の高い順に並べてみると、その他の消費支出1,819.10円(19.2%)、交通・通信1,236.67円(13.0%)、教養娯楽1,095.0円(11.5%)、光熱・水道641.70円(6.8%)、住居597.80円(6.3%)、保健医療482.00円(5.1%)、被服及び履物480.10円(5.1%)、家具・家事用品365.80円(3.9%)、教育349.10円(3.7%)となり、これに外食437.17円(4.6%)が加わる。この中で、その他消費支出が全体の19.2%と高い数字を占めるが、その中身をもう少し細かく見てみると、理美容、たばこ、冠婚葬祭などの諸雑費805.33円(8.5%)、交際費450.67円(4.7%)、こづかい(使途不明)396.00円(4.2%)、仕送り金167.10円(1.8%)となる。

   さらに、もう一歩分析をすすめ、これは2009年11月度の数字であるが、伸び率を参考に見てみたい。伸び率の高い順に、昨対100%を超えたもののみを見てみると、教育114.5%、住居105.2%、保健医療104.8%、教養娯楽104.1%、家具・家事用品103.1%、その他の消費支出100.0%となる。逆に、昨対を割り込んでいるものを、低い順に見てみると、被服及び履物93.6%、光熱・水道94.7%、交通・通信97.2%、そして、外食93.1%という状況である。

   GMS、百貨店の主力部門といえる被服及び履物480.10円(5.1%)であり、その伸び率が93.6%と伸び悩んでおり、厳しい数字であることがわかる。また、食品が全体の20.9%という数字が、過去と比べると大きく構成比が落ち込んではいるが、いかに巨大な数字であるかもわかる。さらに、この11月の数字ではあるが、伸びている項目を見ると、大きく3つに分かれ、教育、娯楽関連、保険医療関連、住居、家具・家事用品関連であり、その構成比は30.5%となる。極論すれば、教育、医療、住居に、現在、家計は消費を増やしているという状況であり、ここが消費環境の厳しい状況の中でも消費拡大が見込める可能性の高い領域といえよう。確かに、この3つ、教育、医療、住居は人口が減少しても、より高い教育、より健康になる医療、そして、リフォームを含め、住居関連、住処(すみか)には消費を振り向ける可能性は高く、逆に、食品、外食、衣料、光熱・水道、交通・通信等は消費を節約する傾向が強いともいえよう。

   現在は未曽有の消費環境の悪化により、小売業界は価格競争の激化が増し、平均単価を大きく落とし、数量(PI値)が伸び悩み、客単価(金額PI値)を落とし、さらに、客数の伸び悩みが加わり、2重の売上げダウンの圧力がかかり、厳しい数字があいついでいる。ただ、今後、10年、20年、そして、50年、100年先を見た場合、日本の人口減少、少子高齢化はほぼ既定の事実、確定的な未来となりつつある。今回、2009年11月度という限定された期間での数字であるが、この数字の中にも、今後、小売業、そして、食品スーパーマーケットの取り組むべき方向性が垣間見えるように思う。

   小売業界としても、そして、食品スーパーマーケットとしても、目の前の商品、いま取り扱っている商品の数字を上げるだけでなく、その商品の購入顧客にとって、どのような生活のサポートができるか、特に、先にあげた3つの項目、教育、健康、住居に貢献できるかどうかが、今後、顧客からの支持を得る上で重要なキーワードのように思う。

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