アークス、200店舗体制へ、成長戦略にシフト!
北海道のアークスが2010年2月期、第3四半期決算を1/14に公表した。決算結果は、売上高1,933.38億円(102.19%)、営業利益61.02 億円(100.82%:売上対比3.15%)、経常利益66.10億円(99.13%:売上対比3.41%)、当期純利益35.00億円(91.62%:売上対比1.81%)となり、営業段階では増収増益となったが、経常、当期純利益はわずかに減益となる決算となった。今回の第3四半期決算は、2009年3月1日から、11月30日までの9ケ月間であり、10/30付けで、吸収合併した東急ストア(現、東光ストア)28店舗の売上げは約1ケ月分のみであるので、B/Sには反映されているが、P/Lにはほとんど反映されていないので、売上高へのプラスの影響が十分に表れていないといえる。したがって、売上高102.19%という数字であるが、店舗数は174店舗から202店舗(116.09%)と、一気に200店舗を超え、北海道では最大規模の食品スーパーマーケット、そして、流通グループとなった。
今後、1年間は売上高は大きく伸びることが予想され、アークスは成長軌道に乗り始めたといえよう。また、今期はこのM&A以外にも、フクハラ別海店(2009年3月)、スーパーアークス長都店(4月)、スーパーアークス伊達店(11月)の3店舗の新規出店しており、新規出店も堅調であり、今後、M&Aと新規出店とのバランスの良い成長戦略がはかられてゆくものと予想される。そこで、通期予想であるが、売上高2,750.00億円(108.3%)、営業利益90.50億円(105.5%:売上対比3.29%)、経常利益98.00 億円(104.5%:売上対比3.56%)、当期純利益53.00億円(106.6%:売上対比1.92%)と、増収増益の予想であり、この第3四半期を大きく上回る好決算の予想である。
さて、ここで、この第3四半期のアークスの営業状況を原価、経費面から見てみたい。まず、原価であるが、77.37%(昨年77.47%)と、昨年よりも原価の改善が進んでいる。アークス自身は、「ビッグハウスを中心に低価格業態に更なる磨きをかけるとともに、グループ統一カードの外部企業との連携拡大によるカード機能の拡充を図るなど、「革命的な価格」にチャレンジする取り組みと顧客サービスの充実を図ってまいりました。・・」とコメントしているように、カード戦略と価格政策を全面に押し出している。それにもかかわらず、今期、原価も改善したことにより、価格政策と原価改善と相反する課題を解決しており、よりマーチャンダイジングが強化されたといえよう。結果、売上総利益は22.63%(昨年22.53%)となり、0.10ポイント粗利が改善した。
一方、経費の方であるが、19.46%(昨年19.32%)と、0.14ポイント上昇しており、経費の方はわずかではあるが、上昇がみられる。結果、差し引き、マーチャンダイジング力であるが、3.17%(昨年3.21%)と、0.04ポイントとわずかに減少したが、ほぼ昨年と同じ数字であるといえよう。アークスの場合はその他営業収入が0計上であるので、これに、売上の伸びが加わり、結果、営業利益は増益となった。原価は改善できたが、経費がやや上昇し、マーチャンダイジング力が若干下がったが、この厳しい消費環境の中で原価が改善できたことは大きいといえよう。
一方、財務面であるが、この第3四半期決算は先に述べたように、東急ストア28店舗が吸収合併されたために、資産、負債が増加し、自己資本比率を下げる結果となった。今期の自己資本比率は50.6%(昨年59.8%)と、約10%弱下げているが、これが、M&Aの影響といえよう。その中身を見てみると、純資産は615.74億円(昨年594.54億円)と若干の伸びであったが、総資産が1,216.93億円(昨年993.470億円)と大きく増加し、結果、負債が増えたことが大きい。その大部分は、東急ストア28店舗のM&Aによる資産、負債の増加に負うところが大きいといえ、このM&Aによる純資産、すなわち、当期純利益の効果がでるまでには、もう少し、時間がかかるといえ、当面、財務面ではM&Aの圧迫が続くといえよう。ただ、アークスのノウハウが導入され、収益を生み出すようになれば、利益は改善し、自己資本比率も大きく改善することになろう。
一般的に、M&Aの場合は今回のアークスのように、P/Lへの効果は比較的即効性があるが、B/Sへの効果は一時的に資産、負債が膨れ、財務が悪化することが多い。アークスも、もうしばらく、財務の動向を見極める必要があろう。実際、今期の資産に関しては、有形固定資産が約100億円、負債面では有利子負債が同様に約100億円増加しており、これ以外にも、様々な資産、負債の増加が見られ、自己資本比率が下がっている。
このように、今期のアークスは東急ストア28店舗をM&Aしたことにより、北海道で最大規模の食品スーパーマーケットとなり、一気に成長路線にのったといえよう。今後、約1年に渡って、昨対でみると高い成長を達成し続けることになろう。ただ、一方で、財務面が厳しい状況になっているが、これも、時間とともに、買収した店舗にアークスのノウハウが移植され、収益を生み出すようになると、財務面の安定化も徐々に図られて行くことになろう。今後、北海道最大規模の食品スーパーマーケットとなったアークスが来期、どのような経営戦略を打ち出すか、注目である。
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