コンビニ売上速報、2009年12月度、既存店-5.5%!
コンビニの2009年12月度の売上速報が、1/20、(社)日本フランチャイズチェーン協会から公表された。結果は、全体が-3.0%、既存店は-5.5%となる厳しい数字となった。協会自身は、「景気低迷による消費マインドの低下とtaspo の反動が大きく影響を与え、・・」とコメントしているように、予想されていたtaspo効果の反動だけでなく、消費マインドの低下も大きいとのことで、2重のコンビニへの売上ダウンの影響があるとの見方である。ちなみに、この集計結果は、全国の大手コンビニを網羅しており、コンビニ業界の現状をほぼ正確に反映しているといえよう。そのコンビニであるが、エーエム・ピーエム・ジャパン、ココストア、サークルK サンクス、スリーエフ、セイコーマート、セブン-イレブン・ジャパン、デイリーヤマザキ、ファミリーマート、ポプラ、ミニストップ、ローソンの11社である。
この数字をどう見るか、すなわち、厳しい数字と見るか、健闘していると見るかは、簡単には判断できないものがある。それは、昨年のtaspo効果のプラス効果があまりに大きかったため、単純に昨年と比べて良いかどうかが難しいからだ。実際、昨年よりも数字が下がっているが、一昨年と比べてみると、堅調な伸びを示しており、taspo効果により、上昇した売上げがチャラになっているわけでなはなく、下げ止まっているとも見えるからだ。
そこで、taspo効果がどのような影響をコンビニに与えたかを見てみたい。既存店の数字をさかもどって見ると、taspo効果を検証することができる。昨年の1月から、既存店の伸び率を見てみると、1月(-1.6%)、2月(1.2%)、3月(-0.6%)、4月(-0.2%)、5月(3.7%)、6月(4.2%)、7月(11.7%)、8月(5.3%)、9月(6.6%)、10月(8.1%)、11月(7.4%)、12月(6.1%)という推移である。5月くらいから、既存店の売上げが伸び始めており、平均して、7.0%前後であることがわかる。7月は11.7%と異常値になっているが、これは、猛暑の影響で、売上げをさらに押し上げたからである。
それにしても、7.0%前後の伸びは、既存店としてはすさまじい数字である。通常、小売業の既存店は大きな環境の変化が起きない限り、既存店は横ばいか、若干の伸びにとどまるのが通常であり、7.0%前後伸びることはまずない。しかも、1チェーンではなく、11チェーンの平均値であり、コンビニ全体の既存店が伸びたのだから、いかに、taspoは劇的な環境変化を引き起こしたかがわかる。さらに、この数字を客数と客単価(金額PI値)に分解すると、客単価はマイナスであり、客数のみが伸びての売上げアップであり、taspo効果は客単価を押し上げたのではなく、既存店の客数を力強く押し上げたのが原因であるといえる。
そして、2009年に入っても、既存店の売上げは伸びが続いており、1月(7.0 %)、2月(2.0%)、3月(4.2%)、4月(4.3%)、5月(1.0%)、6月(-2.3%)となり、4月まで続いており、ほぼ、ぴったり、まるまる1年間、taspo効果が続いたことがわかる。その後、この12月までの推移であるが、7月(-7.5%)、8月(-5.5%)、9月(-5.6%)、10月(-5.5%)、11月(-6.3%)、12月(-5.5%)であり、6月からマイナスに転じている。
そこで、このマイナス幅であるが、単純にプラスマイナスをとってみると、6月(1.9 %)、7月(4.2%)、8月(-0.2%)、9月(1.0%)、10月(2.6%)、11月(1.1%)、12月(0.6%)という状況であり、8月は-0.2%とわずかに下がったが、それ以外は、2.0%前後で堅調な数字であり、一昨年よりは上回っている数字であり、大きく落ち込んでいるわけではないといえよう。
したがって、単純に昨対で見れば6月から7ケ月連続、数字が大きく下がっているが、一昨年と比べると堅調な伸びを示しているともとれ、taspoによる異常な売上げ押し上げ効果の余韻、残像が残っているともいえよう。すなわち、taspoにより大きく売上げを押し上げ、コンビニ業界全体の底上げがなされ、taspo効果が薄れた後にも、全体へはプラスの効果が引き続き残ったといえ、この3年間で見れば、徐々に、わずかではあるが、既存店を成長に導いたともとれよう。
ただ、この12月度を見て、気になることもある。それは、taspo効果ではもともと客数はアップするが、客単価はアップしなかったという結果が出ているが、その客単価の部門別の状況を見ると、日配食品、加工食品の落ち込みが、2009年度平均が-2.9%、-2.7%と大きいことである。特に、日配食品はコンビニの中核、ファストフードが含まれる部門であり、ここの落ち込みは、コンビニ全体に波及するものといえ、今後の推移が気になるところである。
このように、2009年12月度のコンビニの売上げは全体が-3.0%、既存店が-5.5%と大きく落ち込み、特に、既存店は7ケ月連続であり、taspo効果が明らかにはがれたといえよう。ただ、その余韻はまだ続いており、一昨年と比べると、依然としてプラスであり、堅調な動きともとれる。少し気になるのは、ファストフードを含む、日配食品の客単価が落ちていることであり、これは、taspo効果が切れた影響ではなく、現在のコンビニを取り巻く消費環境によるところが大きいと推測される。今後、消費環境はさらに厳しさを増すものといえ、コンビニの来月、そして、その後の数字が懸念されよう。
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