マルエツ、2010年2月期、第3四半期、減収減益!
マルエツが1/8、2010年2月期、第3四半期決算を公表した。結果は、営業収益2,543.54億円(99.33%)、営業利益56.17億円(90.21%:営業収益比2.20%)、経常利益54.28億円(82.53%:営業収益比2.13%)、当期純利益40.59億円(69.69%:営業収益比1.59%)と、減収減益の厳しい決算となった。特に、既存店がここへ来て、厳しい状況になったことが大きかったといえよう。ここ数ケ月のマルエツの既存店の推移を見ると、11月93.4%、10月97.6%、9月97.3%、8月97.2%、7月95.8%であり、この第3四半期の最終月11月度は95%を割り込む厳しい数字となった。
これに対し、今期の新店であるが、マルエツナリア武蔵浦和店(埼玉県)、ポロロッカ千石店(東京都)、マルエツ金町店(東京都)、マルエツ朝霞溝沼店(埼玉県)の4店舗に加え、都心型のスーパーコンビニ、プチマルエツを3店舗、合計7店舗を出店し、現在249店舗となった。ただ、増収をはかるには、105%で12店舗、110%で24店舗は必要といえ、今後、どのような新規出店戦略を打ち出すかが課題といえよう。
そこで、マルエツの出店にかかわるB/S、CFを見てみたい。まず、B/Sであるが、マルエツの出店にかかわる資産、土地、建物、敷金・保証金等の合計は921.91億円であり、これは総資産が1,319.95億円であるので、69.84%である。ちなみに、マルエツは現在249店舗であるので、1店舗当たり3.70億円となる。決算公開企業約50社の平均が5.00億円であるので、都心部での出店が多い割には低い数字である。これは、今期もプチマルエツと超小型店舗を3店舗出店したが、249店舗の内、小型店舗がかなりの割合を占めるためであると思われる。
一方、マルエツの自己資本比率であるが、42.4%(昨年42.2%)と、昨年よりもわずかに上昇したが、決算公開企業約50社の平均40.7%に近い数字であり、トップクラスの70%前後と比べると、低い数字である。したがって、約60%を負債に負う財務構造となっており、差し引き、出店余力は-27.44%である。そこで、負債の状況を見てみると、有利子負債が329.80億円となり、総資産の24.98%となり、ほぼ、出店余力のマイナス分がそっくり有利子負債で賄われている状況である。したがって、今後、いかに有利子負債を削減し、出店余力を引き上げられるかが、出店戦略の鍵を握っているといえよう。
では、今期のCF、キャッシュフローにおける出店関連の状況はどうかを見てみたい。まず、投資キャッシュフローであるが、-83.10億円(昨年-33.52億円)と、大きく増加している。その中身であるが、出店関連の固定資産の取得と差入れ保証金の合計を見ると、88.73億円(47.86億円)と、積極的な出店関連への投資を行っている。これは、先に見たように、1店舗当たりの出店にかかわる資産が3.70億円であるので、約24店舗となるので、ちょうど110%の店舗数となる。実際にはスクラップもあるので、純増はもう少し低いと思われるが、意欲的な新規出店への投資といえよう。
問題は、この投資を営業キャッシュフローで賄えているかどうかであるが、営業キャッシュフローは85.92億円であり、差し引き、フリーキャッシュフローは2.82億円とわずかにプラスとなった。ただ、財務キャッシュフロー分が厳しい状況であり、その数字を見ると、15.82億円とプラスになっている。その中身であるが、有利子負債が26.82億円増加しており、これに、配当が-10.89億円、自己株式の取得が-0.10億円となったためである。したがって、実質、有利子負債で投資の一部を賄った形であり、安定的な新規出店を果たしてゆくには、もう一段と財務改善、特に、有利子負債の削減が課題といえよう。
そこで、その原資となるマーチャンダイジング力をP/Lから見てみえると、原価は
71.69%(昨年72.20%)と下がっており、原価改善が進んでいる。これだけ厳しい価格競争の中、原価の改善が進み、結果、売上総利益は28.31%(昨年27.80%)と0.51ポイント改善した。一方、経費の方であるが、27.95%(昨年27.23%)と、上昇した。これは、先に見たように、既存店が厳しい状況であり、相対的に固定費の上昇が見られたためと思われる。
結果、差し引き、マーチャンダイジング力であるが、0.36%(昨年0.57%)と、プラスにはなったが、昨年よりも0.21ポイント下がる結果となった。経費の上昇を原価の改善で賄えなかった状況である。これに、その他営業収入が1.89%(昨年1.91%)加わり、営業利益は2.25%(昨年2.48%)と、減益となった。こう見ると、まだ、経費が重くのしかかっており、マーチャンダイジング力がわずかなプラスであり、財務の改善を推し進めてゆくには、マーチャンダイジング力、特に、経費の削減、既存店の活性化が最重要課題といえよう。
このように、2010年2月期第3四半期のマルエツの決算は減収減益となり、原価は改善できたが、既存店の伸び悩みにより経費増となり、マーチャンダイジング力が下がり、財務改善への原資が十分に確保できず、有利子負債を増加させる結果となった。ただ、出店意欲は旺盛であり、新規出店は堅調に進むものと思われるが、既存店の活性化が課題といえよう。今期も残された期間はわずかであるが、マルエツが、既存店の活性化をどのように進めてゆくか注目である。
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