サンエー、2010年2月期、第3四半期決算、増収増益!
沖縄のサンエーが1/7、2010年2月期の第3四半期決算を公表した。サンエーは、2009年2月現在、沖縄商圏で食品スーパーマーケット60店舗、外食レストラン16店舗、ホテルペンション2店舗を展開し、特に、食品スーパーマーケットは、SC、NSC、SM、小型SMと多業態を展開している流通業である。業種別売上高は、同じく、2009年2月期現在、食品689億円(売上構成比55.67%)、衣料品150億円(12.12%)、住居関連用品342億円(27.63%)、外食55億円(4.44%)、ホテル1.5億円(0.12%)である。その第3四半期決算の結果であるが、営業収益1,012.80億円(104.41%)、営業利益65.57億円(102.95%:営業収益比6.47%)、経常利益66.69億円(101.70%:営業収益比6.58%)、当期純利益36.59億円(94.64%:営業収益比3.61%)と、当期純利益は減益となったが、営業利益、経常利益段階では増収増益となる好決算となった。
サンエーはこの営業収益比で見ても6.58%というオオゼキにつぎ決算公開企業約50社の中ではNo.2の高収益な食品スーパーマーケットである。これを営業利益の状況、原価、経費面から見てみると、原価は69.61%(昨年69.84%)であり、売上総利益は30.38%(昨年30.16%)と、何と30%を超え、決算公開企業約50社ではNo.1、食品スーパーマーケット業界では限界に近い粗利である。これだけ、高い粗利がとれる背景には、以前、サンエーが公開した数字をもとに計算してみると、先に見たように、食品(推定粗利28%弱)だけではなく、食品を超える粗利の高い商品群を事業展開していることが大きい。たとえば、衣料品は推定粗利35%(相乗積約4.2%)、外食、ホテルは何と推定粗利65%(相乗積約3.0%)となり、この2部門の粗利構成比(相乗積)は、極めて高いことがわかる。
一方、経費であるが、26.80%(昨年26.33%)となり、今期は経費が0.47ポイント上昇している。結果、差し引き、マーチャンダイジング力は3.58%(昨年3.83%)と0.25ポイント下がっており、商品売買から得られる利益は厳しい状況である。原価は改善できたが、経費が上昇しており、利益を圧迫したといえよう。これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が3.08%(昨年2.93%)のり、結果、営業利益は6.66%(昨年6.76%)と、この段階、すなわち、率ではわずかに減益である。ただ、売上高が104.26%伸びたので、営業利益高では、増益となった。
こう見ると、サンエーの高収益の背景には、その他営業収入と粗利構成比の高い衣料品、ホテル、外食の貢献度が極めて高く、これらの利益が主力の比較的粗利の低い食品の利益を押し上げており、高収益を達成していることがわかる。同時に、これらの利益が食品、住関連用品の価格競争の原資ともなっているといえ、企業全体としての競争力を増しているといえよう。
これに対して、財務面であるが、今期の自己資本比率は69.7%(昨年64.8%)と、さらに上昇し、極めて高い数字である。決算公開企業約50社の2009年度決算の数字を見ても、自己資本比率(純資産比率)69.7%以上の食品スーパーマーケットはヨークベニマル79.0%、オオゼキ77.3%のみであり、いかに高い数字であるかがわかる。ちなみに、平均値は40.7%である。その要因であるが、負債約30%の中で、有利子負債は、わずか31.19億円であり、これは総資産792.55億円の3.93%と、いつでも、無借金経営が可能な状況であり、極めて健全な財務状況である。
したがって、出店戦略も自己資本の範囲内で可能であり、出店にかかわる資産、土地、建物、敷金・保証金等の合計は493.58億円と、総資産の62.27%となり、自己資本比率から差し引いた、出店余力は7.43%とプラスとなり、負債に負うことなく、新規出店が可能な状況である。ちなみに、サンエーの1店舗当たりの出店にかかわる資産を単純に計算すると、6.32億円であり、SC、ホテル等がある分やや重い数字であるが、出店余力は高い。
そこで、今期の投資キャッシュフローで、出店関連の数字を見てみると、投資キャッシュフローは-14.93億円、内、出店にかかわる資産へは-15.53億円投資しており、これは単純計算で2.4店舗の出店となり、堅実な新規出店戦略であるといえよう。少し気になるのは、営業キャッシュフローであり、今期は10.01億円(昨年109.03億円)と大きく減少していることである。これは、当期純利益、減価償却費は合計85.34億円(昨年82.89億円)と増加したが、金融機関と決算日との関係もあり、仕入れ債務が昨年の62.88億円から今期は一転-30.48億円と、その差93.36億円と巨額な金額が発生したためである。四半期決算では、金融期間との関係で、仕入れ債務は大きく動くが、まさに、この四半期は巨額な金額が入れ替わった形である。
結果、フリーキャッシュフローは-4.92億円となり、財務キャッシュフローの-10.89億円と合わせ、キャッシュは-15.81億円の減少となった。結果、現金は142.42億円となり、決算時の158.23億円よりもわずかに減ったが、食品スーパーマーケット決算公開企業約50社の中ではオーケーにつぐ現金保有高であり、総資産対比20%近い数字であり、潤沢な現金を確保している。
このように、サンエーの決算は増収増益とはなったが、昨年と比べ、やや経費の上昇が気になるところであるが、売上げの増加もあいまって、営業、経常段階では増益となり、好決算となった。また、財務面では、金融機関と決算日との関係で営業キャッシュフローが大きく減少したが、トータルの現金はわずかな減少にとどまり、現金は依然として潤沢な状況であり、自己資本比率も向上し、財務の安定が図れたといえる。出店余力も十分であり、今後、サンエーが、この安定した財務基盤を背景に、どのような経営戦略を打ち出すか注目である。
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