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January 09, 2010

イオン、2010年2月期、第3四半期、減収減益、その2!

   前回のその1に続き、今回はその2である。イオンの2010年2月期、第3四半期決算、キャッシュフローに焦点を当ててみたい。まず、今回のイオンの第3四半期の決算結果であるが、キャッシュフローにかかわってくる部分は大きく2つ、当期純利益と減価償却費である。これ以外にも、在庫、債権等もあるが、P/Lと直接かかわるのは、この2点がすべてといっても良いくらい重要なキャッシュの源泉である。

   ちなみに、この第3四半期のイオンの営業キャッシュフローは利息、法人税等を抜いた小計で1,315.44億円であるが、当期純利益255.22億円、減価償却費1,082.21億円となり、合計1,337.43億円と、ほぼ小計と一致する。在庫、債権を含め、その他の営業キャッシュフローの項目は相殺され、プラスマイス0に近い数字となっており、実質、当期純利益と減価償却費が営業キャッシュフローの源泉といえる。

   ここで、P/L上では、イオンの第3四半期決算は赤字となっているが、これは、キャッシュフローを計算する時は、純粋な現金の流れを明確にするため、法人税等は込みで見ることに加え、会計制度特有の減価償却費を差し引いて当期純利益を計算するからである。減価償却費はP/L上では費用だが、キャッシュフロー上では、現金が発生しておらず、P/Lの当期純利益の中には、その派生していない減価償却費が費用として差し引かれて計算されるため、キャッシュフロー上の当期純利益ではこれを差し引き、そのマイナス分を新たに、減価償却費として加え、実際のキャッシュの流れを明確にしている。したがって、営業キャッシュフローではP/Lと違い、必ず、新たに計算し直された当期純利益と減価償却費が別途計上され、この2つが、特に食品スーパーマーケット、小売業では重要な営業キャッシュフローの源泉となる。

   さて、イオンの営業キャッシュフローであるが、先に見たように、当期純利益は法人税込み、減価償却費別途となり、+255.22億円であり、別途、減価償却費は1,082.21億円である。小計は1,337.43億円であるが、ここから法人税等を差し引き、トータルの営業キャッシュフローは744.98億円となった。昨年が871.84億円であるので、120億円強、キャッシュが減少しており、今期は昨年以上に苦しいキャッシュといえる。逆に言うと、P/Lでは本当のキャッシュの実態は分からないということであり、今回のようにP/Lでは当期純利益が赤字になったとしても、キャッシュがショートしたとはいえず、キャッシュの動きはすべて、このキャッシュフローにあらわれるということである。

   この営業キャッシュフローを原資に投資がなされるが、その投資キャッシュフローは、-2,901.33億円(昨年-2,071.01億円)と、昨年よりも、さらに投資が増加している。しかも、営業キャッシュフローの約4倍という多額の投資であり、営業段階では大きくキャッシュ不足となっている。その要因は、-2,588.58億円を有形固定資産、すなわち、新規出店関連へ投資したためである。昨年が-2,485.77億円であるので、昨年以上に投資しており、すごい、経営決断、積極的な攻め、強気である。

   当然、営業段階ではキャッシュ不足となるので、その分の資金調達が必要となる。このような資金不足が発生した場合に、一般的には、資本金を増やすか、有利子負債を調達するか、内部留保を取り崩すかということになるが、イオンの場合は、現在、有利子負債が多額に上り、限界に近い金額に膨らんでおり、厳しい状況である。そこで、実際、イオンがどのような決断をしたかであるが、財務キャッシュフローを見ると、2,362.17億円を調達し、内部留保を取り崩すことなく、キャッシュを獲得している。その中身であるが、有利子負債を1,368.95億円返済する一方、長期借入金2,131.63億円、新株予約権付き社債を1,000.00億円発行し、さらに、その他を含め、有利子負債を3,967.59億円調達し、差し引き、2,598.64億円のキャッシュを生み出している。

   結果、現在、有利子負債は1兆4,690.54億円となり、前期決算時が1兆1,946.11億円であるので、さらに、増加している。今期の多額の投資をすべて有利子負債で賄った形である。イオンの現在の総資産が3兆8,932.01億円であるので、有利子負債は37.73%と大きく財務を圧迫しており、結果、自己資本比率は20.5%、昨年の21.9%から、さらに下がり、負債、特に有利子負債が経営に重くのしかかっている状況である。それにしても、財務を大きく圧迫してでも、積極的な新規出店へ大きく舵を切らざるを得ない状況にあるといえ、厳しい経営環境の中、イオンの積極的な成長戦略が強く打ち出された経営決断であるといえよう。

   このように、キャッシュフローでこの第3四半期のイオンの決算を見ると、マーチャンダイジング力が大きくマイナスになり、P/L上では当期純利益が赤字になる中、営業キャッシュフローも昨年よりも減少し、キャッシュが厳しい状況にある。その厳しい状況の中で、敢えて、多額の新規出店への投資を、重く経営にのしかかっている有利子負債を増加させ、財務を圧迫してまでも実施しており、ここは、攻めの経営を貫くという経営決断をしたといえよう。この積極策が、残された後半、そして、来期、イオンの業績を好転させ、経営が安定に向かうのか、予断を許さない状況が続くと思われるが、次の本決算がどのような結果になるか注目である。

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January 9, 2010 in 経済・政治・国際 |

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