マックスバリュ東北、2010年、第3四半期、減収減益!
マックスバリュ東北が、12/28、2010年2月期の第3四半期決算を公表した。結果は、営業収益674.62億円(96.6%)、営業利益0億円(昨年-6.21億円)、経常利益-0.20億円(昨年-6.33億円)、当期純利益-0.97億円(昨年-20.64億円)と、昨年よりは赤字幅は縮小したが、減収減益、赤字となる厳しい決算となった。自己資本比率も6.7%(7.1%)と、厳しい状況であり、財務的にも厳しい状況が続いている。
そこで、まず、原価、経費面から利益構造を見てみたい。原価であるが、76.70%(昨年77.39%)と、原価は下がっており、この厳しい消費環境の中、原価の削減が進んでいる。マックスバリュ東北自身も、「前年下期から実施したスーパーバイザー制度の強化による地域商品の仕入力向上と商品管理力の向上に努めたことや、イオンのプライベートブランド「トップバリュ」の売上拡大などにより、・・」とコメントしており、主に3つの原価改善が進み、効果が出たとのことである。結果、売上総利益は23.30%(昨年22.61%)となった。一方、経費の方であるが、25.87%(昨年25.90%)と、こちらも、昨年に比べ若干改善した。これについても、マックスバリュ東北は、「フレキシブルな働き方の推進などによる人件費の抑制や設備費の見直しなどによりほぼ計画どおりに進捗し、・・」とコメントしており、経費削減が進んだといえよう。
その結果、差し引き、マーチャンダイジング力は-2.57%(昨年-3.29%)と、0.72ポイント改善されたが、依然として、マイナスであり、経費が商品売買から得られる粗利を上回っている状況である。これに、不動産収入、物流収入等が、2.58%(昨年2.38%)のり、営業利益は0.01%(昨年-0.91%)と、プラスに転じ、昨年の赤字決算からわずかではあるが、黒字決算へと転じた。原価、経費、その他営業収入とトリプルでの改善が効果を発揮したといえよう。ただ、依然として、マーチャンダイジング力はマイナスであり、さらに、収益力を高めるには、経費削減、特に、既存店の売上アップが最優先課題といえよう。
その既存店の状況であるが、2009年12月度96.5%、11月度94.4%、10月度97.6%、9月度96.8%、8月度95.8%、7月度96.9%と95%前後で推移している。結果、恐らく、固定費が相対的に上昇気味で推移していると思われる。したがって、いかに、今後、既存店を活性化し、固定費を相対的に引き下げるかが経費削減の最重要課題といえよう。
一方、キャッシュフローの状況であるが、営業キャッシュフローは10.35億円となった。当期純利益は-0.31億円と若干マイナスになったが、減価償却費が11.16億円とプラスであり、これがそのまま営業キャッシュフローとなった構図である。ついで、投資キャッシュフローであるが、-29.16億円と大きく投資が増加している。これは、この厳しい財務構造の中でも新規出店にかかわる資産、特に、有形固定資産の取得を積極的にしているためである。その金額は-32.46億円となり、営業キャッシュフローを大きく上回り、結果、差し引き、フリーキャッシュフローは-18.81億円と、マイナスとなった。
フリーキャッシュフローがマイナスとなった場合は、その資金を財務キャッシュフローか、内部留保から取り崩すことになるが、マックスバリュ東北の財務キャッシュフローは、19.04億円のプラスとなった。その中身であるが、有利子負債が19.05億円増加しており、投資を有利子負債で賄っており、厳しい財務状況がより厳しさを増しているといえよう。実際、有利子負債を見てみると、139.38億円(昨年決算時120.33億円)と、増加しており、総資産294.05億円の47.40%となり、経営に重くのしかかっている状況である。
結果、トータルは0.23億円のプラスとなり、内部留保を取り崩すことはなかったが、現在、現金は8.71億円であるので、内部留保の原資がほとんどない状況であり、今期の投資キャッシュフローは借入を増加せざるをえない財務状況にあったといえる。ちなみに、投資キャッシュフローの中の新規出店関連関係の-32.46億円は、マックスバリュ東北の1店舗当たりの出店にかかわる資産が2.18億円であるので、単純に店舗数に換算すると約15店舗となり、この厳しい財務状況の中でも極めて積極的な新店投資であるといえよう。ただ、この第3四半期までの新店は4/10の山形県にオープンしたマックスバリュあつみ店のみであり、新店開発がなかなか進まない状況である。むしろ、既存店をディスカウント業態、ザビックに3店舗を転換するなど、既存店の業態転換に力を入れているのが現状といえる。
このように、マックスバリュ東北が2010年2月期の第3四半期決算を公表したが、昨年の大幅な赤字決算からは改善したとはいえ、依然、赤字が続いており、厳しい状況である。また、その厳しい中でも、新規出店への投資は、財務状況を敢えて悪化させても、積極的であり、逆張りの経営戦略に打って出ているように思える。結果、自己資本比率は6.7%と、決算公開企業約50社の中では最も低い数字となり、資本の増強が急務といえる状況にある。今後、マックスバリュ東北がこの積極的な投資戦略をどう収益につなげ、財務の安定をはかってゆくのか、その経営戦略に注目である。
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