セブン&アイH、2010年2月期、第3四半期、減収減益!
セブン&アイHが1/7、2010年2月期、第3四半期決算を公表した。結果は、営業収益3兆8,161.81億円(88.22%)、営業利益1,706.53億円(78.18%:営業収益比4.47%)、経常利益1,704.46億円(78.59%:営業収益比4.46%)、当期純利益693.48億円(68.21%:営業収益比1.81%)と、減収減益の厳しい決算となった。これに対し、セブン&アイHは、「営業収益は、主に北米におけるガソリン単価の大幅な下落と円高による減収の影響が約3,460 億円あったことにより、・・」とコメントしており、全体の約30%弱の構成比となるアメリカのセブンイレブンの影響が大きかったという。また、営業利益については、「金融関連事業は増益となったものの、主に国内における小売事業が総じて厳しく推移したことにより、・・」とのことで、GMS、百貨店等が特に厳しい状況であったという。
実際、円高の要因は大きく、昨年が1ドル105.84円に対し、今期は1ドル94.96円であるので、10%以上の円高といえ、コンビニエンスストア事業を直撃している状況である。今期のコンビニエンスストア事業は営業収益が1兆4,924.03億円であるが、北米の営業収益が1兆814.35億円であるので、単純計算で70%以上が北米に依存しており、国内セブンイレブンの営業収益の貢献度はわずか30%弱であるので、円高はセブン&アイHを直撃、特に、コンビニエンスストア事業には大きな影響がでることになる。ちなみに、日本のセブンイレブンの営業収益はフランチャイズからの売上高ではなく、加盟店収入が計上されるので、セブン&アイHのコンビニエンスストア事業は北米の影響が圧倒的に高い営業構造となっている。
結果、営業収益については、各事業ごとに見ると、コンビニエンスストア事業81.8%(構成比39.10%)、スーパーストア事業94.7%(39.32%)、百貨店事業91.6%(17.55%)、フードサービス事業83.6%(1.72%)、金融関連事業89.4%(2.20%)となった。全事業が厳しい状況にあり、特に、コンビニエンスストア事業が厳しかったといえよう。
一方、営業利益に関してであるが、まずは、全体を原価、経費面から見てみたい。原価であるが、73.52%(昨年74.69%)と、原価は下がっている。結果、売上総利益は26.48%(昨年25.31%)となり、粗利が改善している。これに対して、経費であるが、33.94%(昨年30.48%)となり、大幅に増加している。今期は、原価の改善は進んだが、経費が大きく上昇し、結果、差し引き、マーチャンダイジング力は-7.46%(昨年-5.17%)と、マイナス幅が拡大した。ちなみに、イオンの今期のマーチャンダイジング力は、-9.72%(昨年-9.15%)であるので、約2%弱マイナスが小さいが、厳しい状況である。これに、不動産収入、物流収入等その他営業収入が12.50%(昨年10.77%)のり、営業利益は5.04%(昨年5.60%)となり、減益となった。それにしても、今期のその他営業収入が12.50%と、食品スーパーマーケット業界では考えられない高い数字であり、改めて、GMS主体の小売業の利益構造の違いがわかる。
そこで、さらに、事業ごとに、営業利益の状況を見てみると、コンビニエンスストア事業87.9%(構成比86.20%)、スーパーストア事業17.0%(2.30%)、百貨店事業-22.43億円、フードサービス事業-20.46億円、金融関連事業112.66%(13.92%)という状況である。コンビニエンスストア事業に90%近い営業利益を依存する構造になっており、1本足打法となっている収益構造といえる。そのコンビニエンスストア事業が今期は円高の影響を強く受けているので、さらに、厳しい決算となったといえよう。
これを受けて、キャッシュフローの状況であるが、営業キャッシュフローは2,103.22億円(昨年2,086.69億円)と昨年以上のキャッシュを確保している。投資キャッシュフローであるが、-987.46億円(昨年-727.15億円)と昨年以上の投資を実行している。これは、出店関連への投資が増加したのではなく、有価証券関連の投資の収入が減少したためである。結果、差し引き、フリーキャッシュフローは1,115.76億円(昨年1,359.54億円)と、減少しているが、1,000億円を超えており、順流のキャッシュフローである。ちなみに、イオンのフリーキャッシュフローは-2,156.35億円と、逆流であるので、明暗が分かれた。
そして、財務キャッシュフローであるが、-1,288.12億円(-1,469.10億円)となり、昨年よりも減少した。その中身であるが、有利子負債の返済-733.89億円、配当-511.12億円等であり、財務の改善へ配分している。結果、有利子負債は7,244.16億円(昨年8,282.33億円)と、減少しており、自己資本比率も48.1%(昨年47.9%)と改善した。結果、トータルのキャッシュフローは-154.95億円(昨年-134.04億円)と、減少したが、現金は6,474.27億円と潤沢な状況である。
このように、セブン&アイHの2010年2月期、第3四半期の決算が公表されたが、結果は減収減益となる厳しい状況になったが、その主因は営業収益の約40%、営業利益の約90%を占めるコンビニエンスストア事業の北米事業の円高に負うところが大きいといえる。ただ、それ以外の事業も、特に、営業収益の約40%を占めるスーパーストア事業も不振、営業利益にいたっては、百貨店事業、フードサービス事業が赤字という結果であり、全体的にも厳しい決算であったといえよう。消費環境はますます厳しさを増しており、今期、そして、来期へ向けて、今後どのような経営戦略を打ち出すか注目したい。
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