関西スーパー、2010年3月、第3四半期、増収減益!
関西スーパーマーケットが1/29、2010年3月度の第3四半期決算を公表した。いよいよ、3月期決算の第3四半期決算の公表もはじまり、2010年度の食品スーパーマーケット業界の本決算直前の現状が明らかになりつつある。これまで公表された各食品スーパーマーケットの第3四半期決算を見ると、デフレの影響が色濃く出ており、特に、利益面で厳しい結果となるケースが多いのが特徴である。そこで、関西スーパーマーケットの結果であるが、営業収益844.10億円(102.0%)、営業利益8.77億円(61.7%:営業収益比1.03%)、経常利益10.60億円(64.6%:営業収益比1.25%)、当期純利益2.89億円(45.9%:営業収益比0.34%)となり、増収とはなったが、大きく減益となり、厳しい決算となった。
この結果を見ると、すべての利益段階で利益が半分近くに減少しており、今後、本決算も厳しい結果が予想されよう。そこで、まず、営業利益が61.7%となった要因を原価、経費面から見てみたい。原価は76.41%(昨年76.17%)と、0.24ポイント上昇している。結果、売上総利益は23.59%(昨年23.83%)となった。特に、今期は、関西スーパーマーケット創業50周年とのことで、「今日までご愛顧いただいたお客様への感謝の気持ちをこめて「めちゃ安特価」「50%引きセール」「たすかる値」「記念ロゴマーク入り商品」などの特別企画を実施しております。」と、強力な価格訴求をかけたことも大きかったといえよう。
一方、経費の方であるが、24.53%(昨年23.95%)と、0.58ポイント上昇しており、経費の上昇もみられる。結果、差し引き、商品売買の利益から得られる利益、マーチャンダイジング力は-0.94%(昨年-0.12%)と、大きく上昇し、マイナス幅が広がった。これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が2.01%(昨年1.87%)と、0.14ポイントプラスとなり、結果、1.07%(昨年1.75%)と、営業利益は大幅な減益となった。
それにしても、原価、経費双方の上昇が見られ、結果、差し引き、マーチャンダイジング力が-0.94%とマイナスになり、そのマイナス分をその他営業収入で補わざるをえない状況にあるといえ、今後、原価、経費、双方の削減を同時に進める必要があり、厳しい収益構造にあるといえよう。
ここで、前期決算時の食品スーパーマーケット業界の決算公開企業約50社のマーチャンダイジング力の状況を見てみると、全体の単純平均は-0.38%と若干のマイナスである。原価は74.8%、結果、売上総利益は25.2%であり、関西スーパーマーケットの第3四半期決算は平均をやや下回る状況である。これに対して、経費は25.6%であり、経費面では関西スーパーマーケットは平均よりも1ポイント近く低く抑えているといえる。したがって、関西スーパーマーケットは決算公開企業約50社の平均と比べると、粗利が低く、経費も低いという状況であり、どちらかとうと、経費面よりも、粗利面の低さがマーチャンダイジング力をマイナスにしている要因といえよう。ちなみに、決算公開企業約50社の中ではマーチャンダイジング力がプラスになる食品スーパーマーケットは26社あり、トップクラスは3%以上であり、今後、いかに、原価、経費の改善を通じてマーチャンダイジング力をプラスにもってゆけるかが収益改善の課題といえよう。
ただ、このような厳しい決算にもかかわらず、キャッシュフローの流れは順流であり、結果、キャッシュを増加させている。少し、詳しく見てみると、営業キャッシュフローであるが、68.75億円(昨年40.98億円)と、約30億円近く改善している。昨年の厚生年金基金脱退損失引当金の減額-11.91億円がなくなったことが大きく、さらに、売上債権が大きく減少したことも大きい。ただ、金融機関の休日との関係で、仕入れ債務の増加が昨年も同様であるが、42.59億円(昨年42.26億円)あり、これを考慮すると、けっして安定した営業キャッシュフローとはいえない。
これに対して、投資キャッシュフローであるが、-5.58億円(11.44億円)と若干のマイナスである。ただ、気になるのは出店関連の投資であり、-15.04億円(昨年-28.68億円)と、新店への投資が大きく削減されていることである。結果、フリーキャッシュフローは53.71億円(昨年12.30億円)と順流である。そして、財務キャッシュフローであるが、-12.09億円(昨年-10.61億円)であり、その中身は長期借入金の返済-6.50億円、リース債務の返済-0.62億円、配当-4.96億円等であり、有利子負債の削減が進んでいる。
結果、トータル51.07億円(昨年41.82億円)となったが、この大部分は仕入れ債務の支払いとなるので、投資を控えた分、キャッシュを確保したというのが現状といえよう。したがって、一見、キャッシュフローが順流に見えるが、実質、利益の減少により、キャッシュフローの根幹である当期純利益そのものが減少しており、また、今期は投資も控えざるを得ない状況であり、厳しいやりくりといえる。
今後、関西スーパーマーケットとしては、やはり、マーチャンダイジング力、すなわち、原価、経費双方をいかに引き下げ、その差をいかにプラスにもってゆけるかが最優先課題といえよう。こう見ると、経営を安定させるのは、マーチャンダイジング力にあるといえ、これがキャッシュフローを回し、財務を改善する原動力であるともいえる。関西スーパーマーケットが今後、どこまで、マーチャンダイジング力の改善に向け、どのような政策を打ち出すかに注目したい。
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