バナナ協奏曲が終わった!
昨年1年間、ほぼ毎月昨対の売上げを大きくクリアーし続けた商品がある。バナナである。そのバナナの数字がやっと落ち着いた、というよりも、その反動で今度は昨対を大きく割り込みはじめており、まさに、バナナ協奏曲の終焉を迎えたといえよう。ただ、一昨年の数字と比べると、まだ数字は高いといえ、その意味で、バナナは次のステージに入ったともいえる。今後、バナナの売上げがどのように推移するか気になるところである。そこで、ここでは、そのバナナ協奏曲のはじまりと、終焉を、その1年半に渡る軌跡を実際の消費データをもとに振り返ってみたい。
バナナ協奏曲のはじまりはいつからか、まずは、家計調査データをさかもどり、バナナが伸び始めた時点を特定してみたい。そもそも、バナナが注目されたのは、テレビ報道のバナナダイエットがきっかけといえる。当時、日テレの「みのもんたのおもいっきりイイテレビ」、2008年6月5日、ここがバナナ協奏曲のはじめといえよう。家計調査データでは日別の数字も確認できるが、6/5は17.02円と前日6/4の14.86円、翌日6/6の15.85円と比べても跳ね上がっており、その影響が確認できる。6月の月間のバナナの消費金額は15.40円であるので、明らかに、17.02円は異常値であり、6月の30日間の中でも17.00円を超える日はわずか6日間であるので、高い数字であり、「みのもんた効果」といえよう。
では、実際、6月の数字15.40円は、昨年と比べどうであったかであるが、114.9%と、2桁の伸びである。そこで、その前の5月、4月、そして、翌月7月の数字はどうであったかを見てみたい。5月は14.10円(103.3%)、4月は13.23円(102.3%)であり、明らかに、6月の数字が跳ね上がっていることがわかる。そして、7月であるが、13.55円(116.7%)であり、まさに、6月が転機、この月、6/5からバナナ協奏曲がスタートしたといえよう。
そこで、この6月、バナナの売上げが伸びた要因をさらに掘り下げてみたい。家計調査データは家計の平均的なバナナの1ケ月当たりの消費金額を示す数字であり、この中にはバナナの購入世帯も、バナナを買わなかった世帯も入った総世帯の平均的なバナナの消費金額を示している。では、バナナを購入した世帯のみのバナナの購入金額はどのくらいだろうか。そして、その割合は全世帯のどのくらいだろうか。これを家計調査データから掘り下げ、その伸び率を昨年と比較することで、この6月度のバナナの消費金額114.9%の伸びた要因がわかる。すなわち、バナナの購入世帯のバナナの購入金額が増加したのか、バナナの未購入世帯がバナナを購入するようになったのか、それとも、双方がバランスよく伸びたのかである。
実際どうであったかを6月の数字で見てみると、バナナ15.40円(114.9%)、購入世帯のみ21.06円(109.0%)、購入世帯の割合73.1%(105.4%)となる。どちらも伸びているが、どちらかというと、バナナの購入世帯がよりバナナの購入を増やしたことの方が強いといえよう。ただ、新たに、バナナの購入世帯も5%強増加しており、これが、まさに、「みのもんた効果」といえよう。
これを皮切りにバナナダイエットの放送が、「みのもんたのおもいっきりイイテレビ」でも第2弾、第3弾、そして、他局へも波及してゆき、バナナ協奏曲は絶頂をむかえることになる。実際、その後の数字を追ってみると、7月13.55円(116.7%)、19.53円(111.6%)、69.4%(104.5%)、8月12.42円(129.6%)、18.94円(119.8%)、65.6%(108.2%)、9月15.06円(151.1%)、21.19円(134.6%)、71.1%(112.3%)、10月18.23円(170.7%)、26.13円(161.8%)、69.7%(105.5%)、と10月は何と170%を超える数字となり、まさに絶頂をむかえる。
そして、11月15.67円(164.9%)、22.37円(146.6%)、70.0%(112.5%)、12月14.00円(166.9%)、20.12円(141.6%)、69.6%(117.9%)、2009年1月13.68円(163.1%)、19.87円(141.0%)、68.8%(115.6%)、2月15.57円(156.8%)、21.56円(136.3%)、72.2%(115.0%)、3月16.13円(140.8%)、21.18円(125.3%)、76.2%(112.4%)、4月18.07円(136.5%)、23.04円(122.8%)、78.4%(111.1%)、5月18.48円 (131.1%)、23.94円(123.6%)、77.2%(106.1%)と、これでちょうど1年である。
協奏曲はまだ終わらない、6月 18.23円(118.4%)、23.61円(112.1%)、77.2%(105.6%)、7月15.48円(114.3%)、21.33円(109.2%)、72.6%(104.7%)、8月13.29円(107.0%)、19.09円(100.8%)、69.6%(106.2%)と、ピークは過ぎたが、1年たってもまだ余韻が続く。
そして、9月13.23円(85.0%)、18.86円(86.1%)、70.2%(98.7%)と、とうとう、昨対を割り、協奏曲は終わった。その後であるが、10月12.48円(68.5%)、17.73円(67.8%)、70.4%(101.0%)、11月11.30円(72.1%)、16.48円(73.7%)、68.6%(97.9%)、・・と、まさに、バナナ協奏曲の終焉である。
このように一昨年、2008年6月からはじまったバナナ協奏曲は10月にピークを迎え、その後も昨対150%前後で推移していたが、2009年3月頃から徐々に数字が伸び悩み始めた。ただ、その余韻は1年後の6月を超えても続き、9月に、1年半ぶりに昨対を割り、バナナ協奏曲は終わりを告げた。それにしてもまさにバナナ協奏曲というにふさわしい嵐のような1年半であったといえる。興味深いのは、バナナの購入世帯は約70%前後で比較的安定しているが、その70%のバナナの購入世帯が激しくバナナを買い求めた時、バナナ全体が熱狂の渦に包まれたということであり、売上げが伸びるということはどういうことなのかということを改めてバナナが教えてくれたように思う。
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