2009年12月度、年末を検証、消費はどう動いたか!
1/29、総務省統計局から2009年12月度の家計調査データが公表された。家計調査データには、日別のデータも公表されており、1日ごとの家計の消費の実態をみることができる。そこで、今回は食品スーパーマーケットにとって、年間最大の売上げとなる年末、12/29、12/30、12/31に焦点を当て、特に年末12/31の消費状況を掘り下げてみたい。なお、全体の概要については、改めて、後日、本ブログで取り上げたい。
まず、年末の家計が本当に消費を拡大するかであるが、結論からいうと、食品では12/31は平日の倍、2倍強の消費となり、まさに、年末商戦というにふさわしい数字となる。正確には、12月平均の食品(外食を除く)は5,682.18円であり、12月平均が2,576.65円であるので、その比率は220.5%となる。すさまじい消費額といえよう。しかも、この12/31の食品(外食を除く)のエンゲル係数は、全体の消費が10,024.54円であるので、56.7%となり、12月平均がちょうど30.0%であるので、一気に跳ね上がる。したがって、食品以外の消費を逆算し、平均と比較すると、72.3%となり、食品以外の消費は激減し、まさに、食品一色となるのが年末商戦の実態である。
そこで、食品の何が200%以上の数字を引きあげているかを見てみたい。まず、大分類の状況であるが、調理食品(惣菜)438.0%、魚介類334.5%、肉類228.4%、酒類214.7%、菓子類160.6%、野菜・海藻135.6%、穀類128.7%、果物122.3%、飲料108.5%、調味料105.7%、乳卵類91.8%という状況である。惣菜、鮮魚が突出しており、ついで、精肉、酒がこれに続き、意外に青果が低く、グロサリーは低調である。特に、乳卵類は100%を割っており、年末だからといって、すべての消費が伸びるわけではない。特に、牛乳94.7%、ヨーグルト78.4%と洋日配は厳しい数字である。
では、大きく伸びた調理食品(惣菜)、鮮魚は特に何が特に突出した商品であったのかを見てみたい。まず、調理食品(惣菜)438.0%であるが、すし(弁当)545.2%が圧倒的な数字であり、ついで、天ぷら・フライ353.7%、やきとり212.1%と続く。これ以外では、おにぎり・その他119.5%、うなぎのかば焼き119.4%、サラダ118.8%であるが、食品全体平均220.5%は下回る。寿司、天ぷら・フライ、やきとりが年末の3大惣菜といえよう。
ついで、魚介類334.5%であるが、何といっても刺身盛合わせが1000.6%と異常値である。金額ベースでも219.17円と、通常は21.90円であるので、すごい数字である。12月の魚介類の中の、生鮮魚介類の数字が平均203.87円であるので、12月の1日分に当たる生鮮魚介類の全部に匹敵する金額を12/31だけで売ってしまうわけであり、びっくりである。ちなみに、2,000人平均の通常の食品スーパーマーケットで、単純計算すると43.8万円となるので、年末では、刺身盛合わせだけで優に50万円は超えるといえよう。刺身盛合わせ以外では、たい728.8%、ぶり642.1%、かに574.0%、まぐろ552.1%、たこ532.9%と、500%以上の商品が目白押しである。
この2大部門に続き、食品の全体平均に近い伸び利率を示したのが肉類228.4%、酒類214.7%である。それぞれの部門で伸び率の高い商品を見てみると、肉類では、牛肉が455.1%、鶏肉が209.2%と高い伸びである。逆に豚肉は108.1%と牛肉に集中するのが年末の12/31といえよう。ちなみに、合いびき肉は30.6%と、年末は極めて厳しい数字である。酒類であるが、清酒295.4%、ビール236.2%と突出しており、さすがに、12/31は清酒が
ビールを逆転している。この2つの商品以外は、焼ちゅう163.8%、ぶどう酒(ワイン)132.9%、ウイスキー132.8%と、200%は超えないが、酒はすべての項目が100%を超え、好調な商品群である。
以上が、12/31、特に消費が跳ね上がる商品であるが、この部門以外でも、12/31に消費が跳ね上がる商品を見てみたい。ランダムに200%以上のものをあげてゆくと、生うどん・そば372.3%、もち299.7%、たけのこ250.6%、さやまめ223.8%、はくさい漬219.7%、メロン383.1%、いちご321.6%、まんじゅう208.3%、炭酸飲料207.3%等が200%を超える商品である。先の年末特有の商品、そして、こられの商品を見ると、年末の賑わいのある売場、お客さまのレジで並ぶ姿、買い物かごの中身が見えるようである。
食品スーパーマーケットの年間最高の売上げとなる年末12/31は、このような消費動向であるが、では、その年末商戦は何日からはじまるかであるが、食品(外食を除く)の売上げの推移を見ると、12/31(220.5%)、12/30(208.3%)、12/29(154.2%)、12/28(122.5%)、12/27(120.6%)、12/26(98.3%)、12/25(97.3%)、12/24(120.8%)、12/23(104.5%)、12/22(90.3%)、・・である。こう見ると、12/27から消費が活性化し、12/29で一気に跳ね上がり、12/30、12/31で爆発するというのが、年末商戦の実態といえよう。クリスマスも消費が増えるように思えるが、前日のクリスマスイブが120.8%となり、当日はむしろ下がっているのが実態である。
このように、2009年度の12月度の家計調査データが公表され、年末の消費実態が明らかになったが、全体の数字は100.3%、食品(外食を除く)は97.4%と、やや落ち込んでおり、今年の12月は、食品はややさびしい消費であったといえる。ただ、年末12//31は、先に見たように通常の1,000%の商品、500%の商品が目白押しの状況であり、全体でも12月平均の200%を超え、まさに、年末商戦にふさわしい、爆発的な消費動向であったといえよう。開けて、2010年、今年は、デフレ、消費環境の厳しさが予想されるが、各、食品スーパーマーケットがどのようなマーチャンダイジング戦略を打ち出すか、注目したい。
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