船井総研の最新決算を見る、2009年12月期、減収減益!
1/29、船井総研の2009年12月期の決算が公表された。結果は、売上高86.87億円(-10.1%)、営業利益16.50億円(-8.7%)、経常利益16.39億円(-13.8%)、当期純利益5.45億円(-52.5%)となり、減収減益の厳しい決算となった。経営コンサルティング業界もここへ来て、経済情勢の悪化を受け、厳しい状況にある。船井総研自身も、この決算結果を受け、「当事業の収益面に大きな割合を占める中堅・大手企業向けコンサルティング及び建設・不動産業界向けコンサルティングにおいて、前連結会計年度から続く国内経済の低迷の影響を受け、主力のコンサルタント事業が苦戦を強いられる結果、・・」とコメントしているように、「主力のコンサルティング事業が苦戦を強いられ」が減収の原因であるとのことである。
それにしても、10年ひと昔というが、私が在籍していた頃のコンサルティングの主力は中小企業向けコンサルティングであり、分野も流通業向けのコンサルティングが柱であった。それが、東京本社が始めは芝公園、その後、五反田、そして、現在は丸の内へと移ったこともあると思うが、戦略ドメインが大きく変化してゆき、主力企業、主力業種が様変わりしていっており、びっくりである。現在、船井総研の流通分野の売上げは7.18億円(昨対-0.7%)であり、その売上構成比は8.26%と、10%を切っている。現在の船井総研の主力部門は、アミューズメント8.78億円(昨対12.0%、構成比10.10%)、建設・不動産8.55億円(-13.3%、9.84%)、戦略系7.88億円(-30.9%、9.07%)、そして、流通系となる。
ついで、環境・農業4.22億円(9.1%、4.85%)となり、ここからは、売上構成比5%を切り、まだ、事業としては確立されているとはいえず、今後の分野といえよう。もう少し、今後の分野を見てみると、士業3.81億円(38.0%、4.38%)、web3.52億円(49.7%、4.05%)、オート3.32億円(34.9%、3.82%)、フード3.00億円(17.3%、3.45%)、ビューティー・スクール2.77億円(-10.5%、3.18%)、医療2.13億円(-12.8%、2.45%)、観光・開発2.12億円(-34.3%、2.44%)、福祉・幼稚園1.94億円(-1.6%、2.23%)、リサイクル1.41億円(-48.4%、1.62%)、ビジネスソリューション1.35億円(-43.2%、1.55%)である。
ここまでで、売上構成比の約70%を超えるが、コンサルティング事業が全体の89.6%と、約90%であるので、これ以外にも売上構成比1%前後の数10のコンサルティング分野があるといえよう。あらためて、このように現在の船井総研のコンサルティングの現状を見てみると、そもそもの原点は流通、特に、衣料、住関連、食品の中小企業へのコンサルティングからスタートした経営コンサルティング事業であったが、その原点は10%を切り、現在は多種多様な業種、そして、大中企業へとコンサルティング分野がシフトしたことが明確であり、まさに、10年で様変わりしたことがわかる。
この3月には社長も小山さんから高島さんへと変わるとのことであり、新社長がこの厳しい結果を受けて、どのような経営戦略を打ち出すのか、興味があるところであるが、私としては、この激動の流通業界へ経営資源を再度投入し、創業の原点への支援体制を強化して欲しいところである。
さて、CF、B/Sも見てみたい。まず、CFであるが、営業キャッシュフローは、当期純利益が-52.5%と、大きく減少したために10.41億円(昨年18.59億円)と約8億円減少した。ちなみに、当期純利益の減少の要因であるが、「当期純利益につきましては、当社コンサルティング業務が一部起因となって発生した当社クライアントとその顧客による紛議の解決費用や繰延税金資産の取崩し等の影響により545百万円(同52.5%減)となりました。」とのことで、特別損失が発生したことが大きい。
投資キャッシュフローであるが、-6.59億円(昨年8.11億円)と、今期は有価証券の取得-11.02億円(昨年-3.00億円)、有価証券の売却7.00億円(昨年12.00億円)が大きかったといえる。また、無形固定資産の取得-1.07億円(昨年0.64億円)と、今後、既存事業の強化、新規事業ヘ向けて、いかに、研究開発体制へ向けての投資をしてゆくかも課題といえよう。結果、フリーキャッシュフローは3.82億円(昨年26.70億円)と、プラスにはなったが、大きく減少しており、苦しいキャッシュフローといえよう。
そして、財務キャッシュフローであるが、-6.32億円(昨年-26.81億円)となり、トータル-2.51億円(昨年-0.09億円)となり、期末残高の現金は34.15億円(36.66億円)となり、現金が若干減少した。特に、昨年は豊富なフリーキャッシュフローで自社株買いを17.20億円(今期は1.99億円の売却)実施しており、この分が大きかったといえる。
一方、B/Sであるが、今期のP/L、それに伴い、CFは厳しい状況にあったといえるが、自己資本比率は83.2%(昨年82.1%)と、むしろ向上しており、健全である。有利子負債も7.44億円(昨年8.00億円)と減少しており、現金もやや減少したとはいえ、22.35億円(昨年25.67億円)と有利子負債はもちろん、流動負債21.86億円を補える金額であり、財務的には、余裕がある状況といえよう。
このように、船井総研の2009年12月期の決算は減収減益という厳しい決算となったが、財務は極めて健全な状況といえ、有利子負債の削減も進み、自己資本比率もむしろ向上している。ただ、この10年でまさに、事業構造が様変わりしており、営業基盤が大きく変わり、この方向が今期は厳しい結果となったことは事実である。今後、社長も交代することが決まり、新たな経営体制を築くことになるが、船井総研がどのような方向に向かってゆくのか、難しいかじ取りとなろう。この3月に予定されている株主総会でどのような経営方針が新社長から語られるか、注目したい。
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