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February 14, 2010

マクドナルド、2009年12月期決算、減収増益!

   日本マクドナルドホールディングスが2/9、2009年12月期の本決算を公表した。結果は、売上高3,623.12億円(89.2%)、営業利益242.30億円(124.0%:売上対比6.68%)、経常利益232.52億円(127.5%:売上対比6.41%)、当期純利益128.09億円(103.4%:売上対比:3.53%)と、減収増益の決算となった。この数字を見限り、売上高が大きく減少しているが、これは、この売上高には、FC(フランチャイズ)の売上高が含まれていない数字であるためである。今期は、直営からFCへ切り替わった店舗が400店舗強(全体の約20%)あり、この売上高を加えたシステムワイドセールスを見ると、5,319.2億円(102.6%)と、過去最高の売上げとなっている。

   一般にFCビジネスの売上高はFCの売上高を決算に加えることはなく、FCからのロイヤリティのみを加えて計算されるので、FCが実際売上げた商品売買の売上高は本部の決算には計上されない。これは、コンビニでも同様であり、コンビニの売上高はFCの売上高は参考には公表されるが、決算数字には反映されないのが実態である。

   特に、日本マクドナルドホールディングスは現在、構造改革真っ最中であり、直営の店舗をFCへと急激な勢いで移管している。今期も前期2,166店舗あった直営の内、約20%に当たる400店舗強をFCへ移管しており、今期直営は新店、閉鎖を含め1,705店舗となった。一方、FCの方は直営からの移管を含め、2,010店舗となり、前期が1,588店舗であったので、まさに、逆転、FCが今期から経営の柱になったといえよう。したがって、売上高は89.2%となったが、FCを含めた全売上高は前期の合計店舗が3,754店舗から3,715店舗へと若干減ったにもかかわらず、既存店が好調に推移したため、売上高は102.6%と増収となった。

   それにしても、FCへ店舗を約400店舗、全体の約20%を移管したことにより、売上高が減少するのはよくわかるが、利益がすべての段階で増益、連結営業利益、連結経常利益、連結当期純利益、ともに上場以来最高となるという結果であり、直営よりも、FC比率を引き上げる方が利益が増加するという構図が鮮明である。そこで、今期の原価、経費から、営業利益が124.0%へ大幅に増益となった要因を見てみたい。

   まず、原価であるが、81.1%(昨年83.0%)と1.9ポイント下がっている。特に、直営店原価が71.5%(昨年76.9%)と、大きく下がっており、FC原価9.5%(昨年6.0%)の上昇分をカバーしており、FC化が原価を引き下げているのが鮮明である。結果、売上総利益は、18.9%(昨年17.0%)となり、いわゆる粗利は改善した。一方、経費の方であるが、12.2%(昨年12.2%)と、昨年と同じ比率であった。したがって、FC化は、経費改善効果は今期はなかったが、原価の改善効果が大きかったといえ、これが、上場来最高の営業利益をもたらしたといえよう。

   今期決算を見ると、この営業利益、そして、経常利益はいずれも、120%を超える大幅な増益となったが、当期純利益は上場来最高の利益とはなったものの、伸び率は103.4%の小幅な伸びにとどまった。これは、ここで一気に戦略的な店舗閉鎖等の構造改革に打って出たためである。日本マクドナルドホールディング自身も、「今後数年以内で実施する小型店舗等の戦略的閉店の一環として当連結会計年度に閉店を決定した68店舗について、当連結会計年度に実際に閉店した54店舗に関しては店舗閉鎖損失5億22百万円を特別損失に計上し、翌連結会計年度以降に閉店を予定している14店舗に関しては店舗閉鎖損失引当金繰入額2億36百万円を特別損失に計上、・・」とコメントしているように、思い切った店舗の閉鎖、およびその予定の損金を特別損失に計上しているためである。

   これを受けて、今後、どのように構造改革を進めてゆくかであるが、4つの角度から構造改革に取り組んでゆくという。ひとつ目は、今期同様、「平成19年度以降進めているフランチャイズ化戦略を更に推進する、・・」という。すでに原価改善という効果が出ているといえ、いっそう、営業利益が増すといえよう。二つ目は、「お客様のValue for Moneyの更なる向上を目指し、・・」とのことで、これまで以上にメニュー開発、サービスの向上を図るという。三っつ目が、「斬新な店舗デザインやフルキャパシティのキッチン装備等といった新しい店舗開発戦略を展開、・・」という新型店舗の展開を促進してゆくという。そして、4つ目が、「次期において433店舗の戦略的閉店を進め、・・」とのことで、今年以上の思い切った店舗閉鎖を進めるという。

   その結果、次期の決算予想であるが、売上高3,13,0.00億円(86.4%)、営業利益260.00億円(107.3%)、経常利益244.00億円(104.9%)、当期純利益58.00億円(45.3%)と、今期同様減収増益、ただし、当期純利益は戦略的閉鎖店舗が増えるので、大幅な減益となる予想である。それにしても、すさまじい構造改革が日本マクドナルドホールディングスにおいて進んでいるといえよう。急激に経営の柱を直営からFCへ切り替え、時代に合わない店舗を大量閉鎖し、新時代へ向けての新たな店舗開発を同時に行い、さらに、思い切ったメニュー開発、販促に踏み込むという。数年後、日本マクドナルドホールディングスがどのような企業に生まれ変わるのか、注目である。


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