山崎パン、2009年12月期本決算、増収、営業減益!
山崎パンが2009年12月期の本決算を2/12、公表した。結果は売上高8,856.83億円(109.1%)、営業利益227.38 億円(88.1%)、経常利益228.52億円(106.0%)、当期純利益86.40億円(144.3%)と、増収、営業段階では減益、経常、当期純利益段階では増益となる決算となった。特に、今期は、不二家を連結したことで、売上高がかさ上げされており、増収に大きく貢献した。ただ、消費環境は厳しい面があったとのことで、山崎パン自身も、「お客様の節約志向が強まる市場環境のもとで、量販店等の値下げやPB製品による低価格競争が激化し、販売単価の下落によって売上が伸び悩む状況、・・」とのことであり、量販店に関しては厳しい状況であったようである。
山崎パンの売上構成比を単体のチャネル別に見てみると、量販店が40.9%と最も大きく、ついで、その他一般店25.9%、コンビニエンスストアの21.9%と続く。この3つのチャネルで、88.7%と大半を占める。ちなみに、デイリーヤマザキは2.9%、ヤマザキショップは4.9%である。参考に、店舗数であるが、量販店15,306店舗、その他一般店35,665店舗、コンビニネスストア40,236店舗であるので、単体の売上げ6,230億円から、逆算すると、量販店2,548.07億円(1,664万円/店舗、4.5万円/日)、その他一般店1,613.57億円(452万円/店舗、1.2万円/日)、コンビニエンスストア1,364.37億円(339万円/店舗、0.9万円/日)となる。店舗数ではコンビニエンスストアが圧倒的であるが、売上高では量販店が大きく、1店舗当たり、1日当たりも、以前として量販店が大きな柱になっているといえよう。
一方、商品別の売上高であるが、構成比の高い順に見てみると、菓子パン3,059.13億円(98.5%、構成比34.6%)、製菓・米菓その他1,491.67億円(151.8%、構成比16.9%)、洋菓子1,108.19億円(133.9%、構成比12.5%)、調理パン・米飯類973.72億円(97.9%、構成比11.0%)、食パン932.39億円(102.1%、構成比10.5%)、和菓子675.89億円(98.5%、構成比7.6%)である。こう見ると、菓子パンが圧倒的な存在感であり、食パンが意外に低い数字であるといえよう。その割合はほぼ3:1といえ、食品スーパーマーケットにおいても、菓子パン強化が正解であることがわかる。なお、洋菓子等、伸び率の高い部門は不二家の連結の影響が大きいといえる。
ちなみに、不二家の4/1から12/31までの第3四半期決算の状況であるが、売上高586.57億円(107.4%)、営業利益-0.70億円(昨年は-47.03億円)となり、売上高は好調であるが、営業利益が大きく改善したとはいえ、まだ、以前として赤字決算が続いている。ただ、経常利益4.86億円(昨年-44.31億円)、当期純利益2.29億円(昨年-47.24億円)と、黒字転換しており、業績は順調に回復基調であるといえよう。
さて、一方、主力の原料、小麦粉の動きであるが、「主原料の小麦粉につきましては、輸入小麦の政府売渡価格が4月に平均14.8%、10月に23%、それぞれ引き下げられたことを受けて、5月と11月の二度にわたり業務用小麦粉価格が引き下げられました。これにより、平成19年4月の輸入麦の価格変動制導入以降、国際穀物相場の高騰を受けて上昇した小麦粉価格は、従前の水準に戻りつつありますが、パン製品の価格は従来水準より一段と低い状態となりました。・・」とのことである。原料は下がったが、同時に、消費環境の悪化により、販売価格も下がっているとのことである。
そこで、営業利益の状況を原価、経費、双方から見てみたい。まず、原価であるが、63.20%(昨年64.17%)となり、原価は主力原料の小麦粉が下がったことにより、0.97ポイント下がっている。結果、売上総利益は36.8%(昨年35.83%)と改善した。一方、経費の方であるが、34.23%(昨年32.64%)と、1.59ポイントと、大きく上昇している。特に、広告宣伝費が不二家を連結したことにより、136億円増加し、昨年の273.38億円が今期は417.65億円と152.7%となったことが大きかったといえよう。結果、営業利益は2.57%(昨年3.19%)と、減益となった。したがって、販売単価の下落は原料価格の値下げによって補われているといえ、今期の問題は不二家の連結に伴う、経費増が利益を圧迫し、売上高増で補えなかったことが減益の原因といえよう。
これを受けて、次期の方針、特に、食品スーパーマーケットと関係の深い、食パン、菓子パンであるが、「食パンでは、「ふんわり食パン」の育成や新製品「サンロイヤルエクセレント」の取扱い拡大につとめるとともに、「ダブルソフトプレミアム」などの業態対応製品の拡販をはかり、ヤマザキブランドのシェアアップをめざしてまいります。菓子パンでは、値頃感のある定番製品を充実強化するとともに、「ランチパック」をはじめとする付加価値のある新製品開発に取り組み、キャンペーンを活用した主力製品の拡販によって売上拡大をはかってまいります。・・」とのことである。
このように、食品スーパーマーケットとも関係の深い、山崎パンの2009年12月期の本決算が公表されたが、営業面では不二家の連結による経費圧迫もあり、減益となったが、経常、当期純利益段階では増収増益の堅調な決算となった。数字を見ると、菓子パンが圧倒的な存在感をもっており、今後とも新商品開発に取り組むとのことでもあり、食品スーパーマーケットとしても、食パン同様、菓子パンをいかに充実させるかが、課題といえよう。今後、連結を果たした不二家の強みがどう山崎パンの商品開発に活かされ、どのような新商品が登場するか期待したいところである。
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