食品スーパーマーケット、売上速報2010年1月、100.4%!
食品スーパーマーケット上場企業24社の2010年1月度の売上速報を独自にまとめてみた。食品スーパーマーケットは上場企業が約50社あるが、毎月売上速報を公表している食品スーパーマーケットは、約半分の24社である。結果は単純平均で100.4%、既存店は95.7%と厳しい結果となった。ちょうど昨年11月頃から、売上げが100%そこそこという状況が続き、今年に入ってのはじめての売上速報、1月度も依然として、売上げが伸び悩んでおり、今期は厳しい決算が予想されよう。
ここ最近、そして、昨年同時期の状況を見てみると、12月度100.1%(既存店95.5%)、11月度100.0%(94.7%)、10月度102.0%(96.4%)、9月度102.2%(97.1%)という推移であり、11月度から数字が落ち込みはじめているといえよう。また、昨年2009年1月104.7%(99.7%)、2月102.3%(96.9%)、3月度101.5%(96.4%)であるで、昨年この時期は堅調な売上げであったといえる。したがって、現状は明らかな売上の伸び悩みが見え始めており、食品スーパーマーケット業界も厳しい局面に入りつつあるといえる。
特に、客数、客単価でみると、公表している食品スーパーマーケットは15社近くあるが、全体の単純平均は客数104.3%、客単価96.9%であり、客単価が下がっているのが、売上げが伸び悩んでいる要因であることがわかる。その内、PI値、平均単価まで公表している食品スーパーマーケットが数社あるが、その数字を見ると、単純平均でPI値100.2%、平均単価97.3%であり、客単価ダウンの要因は平均単価にあることがわかる。したがって、現在の売上げが低迷している要因は平均単価が下落し、PI値が伸び悩み、客単価が下がっていることにあり、その客単価ダウンを新店等の客数アップで何とかカバーしているという状況である。
今後、平均単価のダウンをいかに食い止めるかが、食品スーパーマーケット業界の最大の課題といえよう。デフレ環境の中、競争が激化し、価格競争へと向かわざるをえない状況ではあるが、再度、価格政策を見直し、付加価値の高い商品の品揃えをいかに充実させるかなど、平均単価アップ政策が今後の課題といえよう。
さて、このような厳しい中でも全体、既存店ともに、売上げを伸ばしている食品スーパーマーケットが2社ある。スーパーバリューとオオゼキである。スーパーバリューは115.3%と全体のNo.1の伸び率であり、既存店も102.0%と好調である。現在14店舗であるが、ここ最近の新店は2009年7月、所沢東店、10月、荒川一丁目店、越谷店、11月、大宮天沼店、見沼南中野店、そして、来月には15店舗目の志茂店がオープン予定であり、新店ラッシュといえる状況である。それにもかかわらず、既存店も102.0%と堅調な売上げを維持しており、食品スーパーマーケット業界の中でも絶好調といえよう。
一方、オオゼキも、2009年4月に千葉県市川市に、久しぶりの新店をオープンし、さらに、この2月には東京都墨田区に菊川店をオープンした。また、その間、祖師谷大蔵店、つつじケ丘店をリニューアルオープンしており、順調に売上げを伸ばし、しかも、既存店も103.4%と、今回の集計24社の中では、最大の既存店伸び率である。残念ながら、オオゼキは1/5、MBOの成立にともない、上場廃止となり、今後、詳細な経営データが公開されることはなくなるが、現在、食品スーパーマーケット業界の中でも好調な食品スーパーマーケットといえよう。
この2社についで、売上げの好調な食品スーパーマーケットを見てみると、マックスバリュ東海112.8%(既存店91.5%)、バロー108.3%(98.77%)、ダイイチ106.6%(98.2%)、カスミ105.4%と、以上が105%以上の売上伸び率の食品スーパーマーケットである。この中でマックスバリュ東海は全体の売上げは好調ではあるが、既存店が91.5%と厳しい状況にあり、M&A、イオンから移管された店舗の影響が、どちらかというとマイナスに響いているようである。
ついで、100%を超えた食品スーパーマーケットであるが、マックスバリュ西日本103.5%(既存店92.4%)、ハローズ103.4%(93.4%)、ヤオコー102.8%(99.3%)、九九プラス102.2%(97.8%)、イズミ100.7%(97.0%)、マックスバリュ中部100.6%(98.5%)である。ちょうど24社中の半分12社である。この中ではヤオコーが102.8%、既存店も99.3%と堅調な売上げである。今後、首都圏へ本格的に展開する戦略店舗を開発しつつあり、今後の動向に注目といえよう。
残念ながら、この1月度、95%以下となった食品スーパーマーケットであるが、アークランドサカモト94.7%(既存店96.6)、マックスバリュ北海道94.1%(92.9%)、Olympic:フード94.0%(91.4%)、PLANT93.8%、いなげや92.5%(90.4%)、エコス91.3%(93.8%)、CFSコーポレーション:SM91.1%(91.1%)という状況である。
このように、昨年11月頃から、食品スーパーマーケット業界も売上げが伸び悩み始め、直近のこの1月度も同様に厳しい状況が続いているといえる。特に、既存店の数字が各社厳しい状況であり、しかも、平均単価のダウンが客単価を下げ、売上げを下げている要因といえる。今後、デフレ、そして、価格競争が一層激しさを増すものと予想されるが、ここは逆に、商品力を充実させ、価格と直結するコスト削減を進める構造改革の機会ととらえ、企業全体の収益構造を見直すべき時であろう。食品スーパーマーケット業界は2月、3月の決算月を迎えたが、各社がどのような構造改革を打ち出すか、注目したい。
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