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February 24, 2010

コンビニ、売上速報、2010年1月度、-2.7%!

   コンビニの2010年1月度の売上速報が2/22、(社)日本フランチャイズチェーン協会から公表された。結果は昨年対比-2.7%、既存店は-5.3%と、全体は7ケ月連続、既存店は8ケ月連続のマイナスとなった。このコンビニの売上速報は、エーエム・ピーエム・ジャパン、ココストア、サークルK サンクス、スリーエフ、セイコーマート、セブン-イレブン・ジャパン、デイリーヤマザキ、ファミリーマート、ポプラ、ミニストップ、ローソンの全42,704店舗の売上速報であり、ほぼ、日本全国のコンビニをカバーしており、業界全体の精度の高い数字といえる。店舗数は2.2%増加しているが、それを相殺する客単価のダウンが大きかったといえる。

   客数、客単価の状況を見てみると、全体の客数は10億5,605.9万人であり、0.7%増であるが、客単価が580.7円と、-3.4%となったことが大きかった。また、既存店は客数-1.6%、客単価-3.8%と大きく伸び悩んでおり、さらに、厳しい状況といえる。特に、ここへ来て、客単価が伸び悩んでいることが大きいといえ、taspo効果が切れたという以上に、デフレによる消費環境の悪化がコンビニ業界でも鮮明になってきたといえよう。ただ、それでも、昨年の1月度は9.6%全体が伸びており、一昨年と比べると、6.6%増であり、この3年間では緩やかな成長を遂げていると見ることもできる。

   さて、そこで、taspoの与えたコンビニ業界へのプラスの影響と、今回のデフレのマイナスの影響とを比べてみたい。まず、taspoのプラスの影響であるが、taspoのプラスの影響が出始めたのは、昨年の5月からであるといえる。既存店の客数が5月以降跳ね上がっており、その数字を、客単価と一緒に比較してみると、既存店の2008年5月3.0%(客単価0.6%)、6月 2.3%(1.9%)、7月11.8%(-0.1%)、8月 3.7%(1.5%)、9月6.1%(0.5%)、10月7.4%(0.6%)、11月6.3%(1.1%)、12月7.1%(-1.0%)、2009年1月7.6%(-0.5%)、2月3.4%(-1.3%)、 3月5.0%(-0.7%)、4月6.4%(-2.0%)という状況である。

   これを見ると、まさに、taspoの導入により、一昨年5月から、昨年の4月までの約1年間に渡って既存店の客数が顕著な伸びを示すが、客単価はほとんど伸びが見られず、むしろ若干減っているといえよう。したがって、taspoにより、既存店の客数が増加したのがtaspoのコンビニへのプラスの影響といえ、客単価へのプラスの影響はほとんどなかったといえる。では、taspo効果がほぼ切れたと思われるその後の既存店の動きを同様に追ってみたい。2009年5月2.5%(客単価-1.5%)、6月2.6%(-4.8%)、7月-4.5%(-3.1%)、8月-1.7%(-3.8%)、9月-2.8%(-3.0%)、10月-2.8%(-2.8%)、11月-3.3%(-3.0%)、12月-2.7%(-2.9%)という状況である。

   5月、6月はtaspoの余韻が続いているが、7月から、反転、客数が大きくマイナスとなり、ここでtaspo効果が終焉する。一方、客単価の動きであるが、6月から大きく下がりはじめ、12月まで、それまでの1年間では見られない3%前後の落ち込みが続き、明らかに、taspoとは違う、別の要因による既存店の客単価ダウンが起こっているといえよう。したがって、現在のコンビニの数字ダウンは、taspo効果が切れたことによる客数ダウンに加え、別の要因、恐らくデフレによる消費環境の悪化による客単価ダウンが加わるというダブルの売上ダウンが既存店の売上に影響を与えているといえ、極めて厳しい局面にコンビニが入ったといえよう。

   改めて、2010年1月度の数字を見てみると、特に、既存店は客数-1.6%、客単価-3.8%であり、ここへ来て、客単価の落ち込みがより大きくなっており、消費環境が激変しているといえよう。

   では、その要因を商品面から見てみたい。この1月度の数字であるが、ファストフードを含む日配食品-2.7%(構成比33.4%)、加工食品-3.3%(29.7%)、非食品-2.7%(32.5%)という状況であり、すべての部門がほぼ均等に下がっており、約3%分、消費が縮んだような状況である。まさに、デフレの様相を呈していると推測できよう。客単価は一般にはPI値(買上点数÷客数)×平均単価で表すことができるが、デフレで平均単価が下がった場合、PI値が上がらなければ、その分、客単価は下がるが、通常は、平均単価が下がれば、PI値は上がり、客単価は相殺され、横ばいとなることが多い。このケースでは客単価が約3%マイナスとなっており、PI値の上昇を考慮すると、平均単価はそれ以上、場合によっては5%以上下がっているものと推測される。したがって、ここへ来て、コンビニ業界もデフレによる消費環境の悪化で平均単価がかなり下がっているのではないかと思われる。

   このように、今年はじめのコンビニ業界の売上速報、2010年1月度が公表されたが、かなり厳しい数字といえよう。特に、taspo効果が切れただけではなく、デフレによる消費環境の悪化が客単価、特に、平均単価ダウンになっているものと思われる。(社)日本フランチャイズチェーン協会も「taspoの反動は一巡したものの、長引く景気低迷により消費者の低価格商品志向が続いている。・・」とコメントしているが、まさに、低価格志向が要因といえよう。コンビニはそもそも、定価販売が基本のビジネスモデルであり、それがフランチャイズシステムのロイヤリティを支えていただけに、この状況が悪化するとビジネスモデルそのものの見直しも迫られることになろう。来月以降、数字がどう変化するか、予断を許さない状況が続くものと思われる。

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