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February 08, 2010

ライフコーポレーション、2010年第3四半期、増収減益!

   ライフコーポレーションが1/13、2010年2月期の第3四半期決算を公表した。結果は、営業収益3,510.45億円(101.79%)、営業利益59.80億円(74.09%)、経常利益57.14億円(73.38%)、当期純利益30.59億円(72.23%)となり、増収とはなったが、減益となる厳しい決算となった。また、通期予想に関しても、営業収益4,740.00億円(102.4%)、営業利益87.00億円(76.2%)、経常利益83.00億円(75.0%)、当期純利益40.00億円(73.4%)と、増収減益予想であり、厳しい決算が予想される。

   そこで、まず、増収になった要因であるが、ライフコーポレーショオン自身は、「新店の寄与により総売上高は3,419億10百万円と若干の増加となりました。」とコメントしているように、新店の寄与が大きかったといえよう。

   ここで、ライフコーポレーションがコメントしている総売上高と営業収益の違いであるが、売上高は商品売買から得られる純粋な売上げであり、営業収益はこれに、物流収入、不動産収入等が加味された収益である。したがって、ライフコーポレーションの場合でいえば、営業収益3,510.45億円と総売上高3,419.10億円とズレが生じるが、そのズレがその他営業収入である。

   さて、増収の要因、新店の寄与であるが、今期、ライフコーポレーションは、「4月に大谷田店(東京都)、5月に太平寺店(大阪府)、6月に三津屋店(大阪府)、7月に吉祥寺駅南店(東京都)、なんば店(大阪府)、9月に下寺店、出屋敷店(ともに大阪府)の7店舗を出店」し、合計215店舗となり、この新店が増収へ寄与したとのことである。残念ながら、既存店は、「生活防衛意識の高まりや、競争激化等の影響から販売単価の下落に歯止めがかからず、売上高は減少となり、・・」とのことで、減収となったという。

   ここへ来て、まさに、今期のライフコーポレーションと同様、販売単価、すなわち、価格の下落が原因で既存店の売上を落とすことが食品スーパーマーケット業界全般に見られる。これはどういうことかというと、売上は客数×客単価(金額PI値)であり、さらに、客単価(金額PI値)はPI値(1人当たり買上点数)×平均単価に分解することができる。したがって、平均単価、すなわち、価格が下がると、PI値がそれ以上に上がれば、客単価(金額PI値)は維持でき、客数が横ばいであれば、売上げは維持できる。ところが、ここ最近の状況は、平均単価の下落が大きく、PI値をそれ以上に引き上げることができず、客単価(金額PI値)を落としてしまうケースが多いということである。また、仮に、PI値が維持できても、競争が厳しく、客数が伸び悩むことも多く、結果、売上げが伸び悩むということになる。

   今期のライフコーポレーションはまさに、平均単価ダウンが売上げに影響を与えたとのことであり、PI値か客数、ないしは双方の下落が既存店で起こっていると推測される。今期の多くの食品スーパーマーケットがこのような状況に陥り、既存店の伸び悩みに直面しており、平均単価のダウンは、食品スーパーマーケット業界にとっては、現在、深刻な状況であるといえよう。

   問題は、この既存店の伸び悩みが利益に与える影響である。一般に既存店の売上が落ちると、固定費が相対的に上昇し、経費の上昇が見られ、利益を圧迫することになる。特に、今期のように平均単価も下落する場合は原価の上昇も見られ、粗利を圧迫し、結果、ダブルで利益を圧迫し、利益が確保できない場合が多い。そこで、ライフコーポレーションの営業利益を原価、経費面から見てみたい。

   まず、原価であるが、73.98%(昨年73.88%)と0.10ポイント上昇が見られるが、大きく上昇してはおらず、販売単価の下落が原価へ与えた影響は比較的小さかったといえよう。したがって、売上総利益、粗利は、26.02%(昨年26.12%)と、ほぼ昨年と同様の数字を確保した。一方、経費の方であるが、26.93%(昨年26.36%)と、0.57ポイント上昇しており、粗利に比べ、上昇幅が大きく、営業利益を大きく圧迫しているといえよう。こう見ると、販売単価の下落は粗利よりも、経費への影響が大きかったといえ、既存店のダウンがライフコーポレーションの経費へ強く響いたといえよう。

   結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-0.91%(昨年-0.24%)となり、マイナス幅が拡大しており、厳しい結果である。これに物流収入、不動産収入等が2.67%(昨年2.64%)のり、営業利益は1.76%(昨年2.40%)となり、減益となった。この結果を見ると、販売単価の下落が、既存店の売上げを下げ、結果、原価よりも、経費に影響を与えており、今後、経費削減も大事であるが、既存店の底上げ、特に、平均単価の高い商品のPI値アップにより、客単価(金額PI値)アップが当面の課題といえよう。

   このように、ライフコーポレーションの2010年2月期、第3四半期決算は新店の効果により増収とはなったが、販売単価の下落が影響し、既存店の数字が落ち、結果、原価、経費双方の上昇、特に経費の上昇が見られ、マーチャンダイジング力のマイナス幅が広がり、その他営業収入を加えても営業減益となる厳しい決算となった。通期予想も厳しい結果が予想されるが、今期、残りわずかな期間であるが、どのような既存店活性化策を打ち出すか、そして、来期、どのような方針を打ち出すか、その動向に注目である。

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