バロー、2010年3月期、第3四半期決算、増収営業減益!
バローが、2/5、2010年3月期、第3四半期決算を公表した。結果は、営業収益2,627.31億円(102.1%)、営業利益72.92億円(94.6%)、経常利益76.52億円(94.4%)、当期純利益35.01億円(100.4%)となり、増収、営業減益、当期純利益はわずかに増益となる、やや厳しい決算となった。特に、流通事業において、「食品や日用品における価格下落の影響等で利益率が低下し、営業利益は前年同期比8.0%減少して69億49百万円、・・」と、バロー自身がコメントしているように、価格の下落が業績に響いたとのことである。
この第3四半期の食品スーパーマーケット業界の決算結果を見ると、多くの食品スーパーマーケットがバロー同様、価格下落が業績に影響を与え、特に、利益を圧迫しているケースが多く、消費環境の悪化は、特に、デフレの深耕は、今後の経営へ直撃し、今期決算、そして、少なくとも来期前半は厳しい経営環境が予想されよう。
そこで、まず、バローの営業利益の状況を、原価、経費両面から見てみたい。まず、原価であるが、76.70%(昨年76.58%)と、0.12ポイント上昇している。特に、今期のバローの価格政策は、「低価格と高品質を両立させる自社開発商品(PB商品)の開発に一層注力し、・・」、「特にスーパーマーケットでは、圧倒的な低価格を実現する商品企画を「サプライズ50」と銘打ち、その第一弾として11月より1個18円のコロッケを発売いたしました。・・」とのことで、PBとNB、双方において、価格訴求を強化したという。さらに、「チラシ配布による販促を行わないEDLP(エブリデー・ロープライス=毎日低価格販売)型店舗(「バロー師勝店」、「バロー岩倉店」)など、新たなビジネスモデルの実験を推進して、・・」というように、EDLPの実験店もオープンし、その成果を検証しているという。
このように、この第3四半期決算期間では、価格訴求を一層徹底したといえるが、原価はわずかな減少にとどまっており、結果、売上総利益は23.30%(昨年23.42%)となった。この売上総利益23.33%であるが、前期決算公開企業約50社でみると、低い方から15番前後の数字であり、全体単純平均が25.2%であるので、バローは食品スーパーマーケットとしては、売上総利益が低く、低価格志向が強いといえよう。
一方、経費面であるが、24.28%(昨年24.07%)と、0.21ポイントと、原価に比べ、大きく上昇しており、この第3四半期の低価格政策は、原価よりも経費への圧迫が大きかったといえよう。特に、バローの四半期ごとの既存店の食品スーパーマーケットの売上高の推移を見ると、第1四半期-3.2%、第2四半期-3.8%、第3四半期-3.4%と、既存店の落ち込みが大きい。特に、客単価の落ち込みが大きく、客単価はPI値×平均単価であるので、平均単価の減少が既存店の売上げに響いていると推測される。したがって、相対的に固定費が上昇し、全体の経費上昇を招いたものといえよう。一般に、既存店の売上げが下がると、経費上昇を招き、利益を圧迫することになるが、まさに、この第3四半期のバローはこのような状況であったと思われる。
結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は、-0.98%(昨年-0.65%)と、マイナス幅が広がった。これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が3.87%(昨年3.77%)のり、営業利益は2.89(3.12%)となり、減益となった。こう見ると、原価、経費双方が上昇し、利益をダブルで圧迫するという厳しい状況であったといえ、食品スーパーマーケットの価格戦略、特にディスカウントは経営を安定させることがいかに難しいかがわかる。
したがって、価格訴求を強く打ち出すには、まず、ローコスト経営が大前提であり、マーチャンダイジング力、すなわち、原価と経費のバランスをいかにとるかがポイントといえよう。また、価格訴求をかけた場合は、既存店の数字を落とさないことがもうひとつのポイントといえよう。特に、売上=客数×客単価、客単価(金額PI値)=PI値×平均単価であるので、客単価(金額PI値)をいかに維持し、できれば引き上げることが課題といえよう。価格訴求は当然、PI値の高い商品であることが多く、さらに、PI値の高いものは平均単価の低い物が多い。したがって、全体の平均単価を大きく下げる方向に動くので、鍵は平均単価の高い商品にあるといえる。ここがディスカウントの鍵を握っているといえ、今後、デフレの中で、各食品スーパーマーケットのマーチャンダイジング政策が問われるところであろう。
このように、バローの2010年3月期の第3四半期決算は営業段階では、増収減益とやや厳しい決算となったが、新店は順調に出店しており、バローの新たなドミナント地区として、長野県、静岡県への参入も本格化しつつあり、今後、売上は順調に推移するものといえよう。したがって、経営課題は利益の改善をどうはかるかにあるといえ、そのためにも、まずは、既存店の活性化が急務といえよう。今期はあとわずかであるが、さらに、来期前半をも視野に、バローがどのような既存店活性化策を打ち出すかに注目したい。
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