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February 26, 2010

ユニバース、2010年4月期、第3四半期決算、増収減益!

   ユニバースが、2/19、2010年4月期の第3四半期決算を公表した。結果は、売上高744.79億円(102.5%)、営業利益25.48億円(89.8%)、経常利益26.34億円(90.8%)、当期純利益14.96億円(94.0%)となり、増収減益の厳しい決算となった。これについて、ユニバース自身は、「当社主力のスーパーマーケット事業におきましては、消費者の節約志向・低価格志向がますます顕著になっていることや、業種・業態を超えた企業間の価格競争が激化するなど、厳しい状況が続いております。・・」と、コメントしており、価格競争の厳しさがが、業績悪化の原因であるとしている。

   実際、この第3四半期のユニバースの売上構造を見ると、全体の売上は102.6%と好調であったが、既存店が96.8%と落ち込んだことが大きい。その内訳であるが、客数97.1%、客単価99.7%と、客数の落ち込みが大きかったといえる。また、客単価の中身であるが、PI値102.8%、平均単価97.0%であり、平均単価の落ち込みが大きいといえ、まさに、価格競争の激化が影響しているといえよう。これについて、ユニバースは、「特に年末のご馳走商品で単価が一段階下の商品の選好や買い控えが鮮明となり、客単価が既存店ベースで前期比99.7%と低下し、・・」と分析しており、単価ダウンが厳しい状況であったとのことである。

   ちなみに、ユニバースの平均的な既存店の売上構造であるが、客数は約2,400人、客単価2,207円、PI値1,190%(11.9個/1人)、平均単価185円であり、平均的な食品スーパーマーケットと比べて、客数、客単価が一段上であり、しかも、平均単価よりも、PI値が高いのが特徴といえる。ユニバースは当初から、食品スーパーマーケットとしてはSSM(スーパースーパーマーケット)を志向し、立地は中広域商圏を狙い、店舗面積は大型化をはかり、豊富な品揃えを確保し、しかも、生鮮強化型の高頻度来店を目指すという食品スーパーマーケットを目指してきた。その結果が、このような、食品スーパーマーケットとしては、ワンランク上の数字を確保できた要因といえよう。

   ただ、さすがに、これだけ、食品スーパーマーケットとしては、競争力のあるユニバースも、今回のデフレ状況の中では価格の下落を食い止められなかったようであり、結果、営業利益、経常利益、当期純利益ともに減益を招いてしまった。そこで、営業利益が減益になった要因を、原価、経費面から見てみたい。まず、原価であるが、74.68%(昨年74.58%)と、0.10ポイント下がっており、価格競争の影響が表れているようである。結果、売上総利益は25.31%(昨年25.42%)となった。一方、経費の方であるが、21.89%(昨年21.51%)となり、0.37ポイント上昇しており、原価よりも、経費の上昇が大きく、利益をダブルで圧迫している状況である。結果、差し引き、マーチャンダイジング力は3.42%(昨年3.91%)となり、利益が減少した。ユニバースは、その他営業収入がないので、マーチャンダイジング力=営業利益となるので、結果、営業利益の減少となった。

   こう見ると、既存店の平均単価ダウンは、原価よりも、経費の方に影響が強く表れているといえ、価格を引き下げても、思うように集客に結び付かなかったことが、既存店の売上を下げ、結果、固定費が相対的に上昇し、経費比率を押し上げ、利益を圧迫したといえよう。このユニバースの事例に見るように、デフレは平均単価を直撃し、原価を引き下げ、利益に影響を与えるだけでなく、それ以上に客単価を下げ、客数が上がらない場合は売上げを下げ、それが固定費を相対的に引き上げ、経費増となる。結果、原価、経費双方を引き上げ、営業利益をダブルで圧迫することになり、食品スーパーマーケットの経営にとっては、価格はデフレの時は極めて重要な数字となる。

   しかも、価格は意識して取り組まないと、自然、下がる方向に動くことが多く、特に、デフレ時は価格の低い商品中心にマーチャンダイジングを強化する傾向が強く、結果、PI値は上昇するが、それ以上に価格がダウンし、客単価を下げ、さらに、利益まで下げてしまうということが起こる。価格は意識、目標をもって取組み、しかも、品揃えとも密接に連動しているため、品揃えの見直しも必然的に必要となり、まさに、マーチャンダイジングの総力が問われることになる。

   このように、ユニバースの2010年4月期、第3四半期決算は増収とはなったが、すべての段階で利益が減益となり、厳しい決算となった。特に、客数、客単価ともに減少し、さらに、客単価の中でも平均単価の減少が営業利益に影響を与えているといえよう。今後、ユニバースとしては、いかに、平均単価の減少を最小限に食い止め、付加価値の高い商品の導入と開発を行い、品揃えを改善できるかが課題となろう。ただ、このような厳しい決算の中でも、ユニバースの投資は昨年と比べ倍増している。昨年は12.55億円であった新店への投資が、今期は25.72億円となり、まさに倍増、強気の攻めの経営姿勢を伺うことができる。デフレであるゆえに、あえて攻めに出るユニバース、今後、この投資がどのような結果を生むか注目である。

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