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February 01, 2010

消費者物価指数、2009年12月、昨対-1.7%、生鮮下落!

   消費者物価指数(CPI)が1/29、総務省統計局から公表された。消費者物価指数には総合指数が3つある、文字通りの総合指数、相場変動の激しい生鮮食品を除く総合指数、そして、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数である。また、比較数字も3つあり、平成17年度を100とした比較、昨年対比、そして、前月対比である。その結果であるが、総合指数は平成17年度比99.6%、昨年対比-1.7%、前月対比-0.2%であった。生鮮食品を除く総合指数は平成17年度比が99.8%、昨年対比-1.3%、前月対比-0.1%、そして、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数であるが、平成17年度比が98.3%、昨年対比-1.2%、前月対比-0.2%となった。

   さて、これをどう見るかであるが、中々難しい。単純に昨年対比で見れば、それぞれの総合指数が-1.7%、-1.3%、-1.2%であるので、デフレ鮮明とみれる。ただ、平成17年度比で見れば、99.6%、99.8%、98.3%となり、やや下がりぎみであるが、ほぼ、同じともとれ、平成17年度の物価水準にもどったともとれる。また、前月比で見れば、-0.2%、-0.1%、-0.2%であり、これも、やや下がってはいるが、ほぼ同じともとれる。したがって、まさに、総合判断が難しいところであるが、こと、昨年と比べると明らかにデフレといえ、物価は下がっているといえよう。

   特に、先月、先々月と比べ、やや気になる動きは、平成17年度を100とした場合の過去5年間のグラフで見ると、ここ数ケ月の動きが、明らかに、下向きに動きはじめていることである。グラフは10月から、平成17年度比100%をわりはじめたが、11月、12月と、明らかに右下がりの傾向を示している。しかも、すべての総合指数がいずれも、右下がりであり、これをみる限り、デフレ傾向が鮮明になりつつあるといえよう。

   また、もうひとつの昨年対比のグラフを見ると、昨年、2008年度はほぼ1年間上に半円形のグラフで昨対を大きく上回るインフレ気味で推移していたが、今年は、逆に下向きの半円形のグラフとなり、デフレ気味で推移している。いわゆるsinカーブである。ただ、これが対称形になっていれば単に、一昨年にもどったともとれる。確かに、10月ころまではそのようにも見えたが、それ以降、11月、そして、今回の12月は、グラフを見る限り、その戻りが鈍いことである。デフレの兆候が出ているともいえ、物価は下がり続けるのではないかともとれることである。

   したがって、この12月を見る限り、やはり、デフレ傾向が表れはじめているといえ、消費環境は厳しい局面に入りはじめたといえよう。そこで、このデフレ傾向を強めている要因をまずは10大費目、そして、食品スーパーマーケットとして、最も気になる食品の各項目で見てみたい。

   まず、この12月度の10大費目の状況であるが、昨年度と比べ、最も、物価が下がった費目は生鮮食品である。-7.6%と大きく下げており、厳しい状況である。食品関連では、生鮮食品を除く食料も-1.5%と下げており、年末商戦という年間で最も売上げが上がる12月、食品の物価が、特に主力の生鮮が大きく下がるという厳しい状況であったといえよう。ついで、光熱・水道-4.9%、家具・家事用品-4.8%、教養・娯楽-3.3%と続き、これら4大費目の物価の下落が全体を押し下げた要因といえよう。ちなみに、物価がわずかではあるが、上昇している費目もある。交通・通信0.5%、教育0.8%である。

   では、この12月度、最も物価の下落が大きかった食品、特に、生鮮食料品を中心に、さらに、その要因を掘り下げてみたい。まず、生鮮食品の状況であるが、生鮮魚介-3.0%、塩干魚介-0.6%、生鮮肉-1.3%、生鮮野菜-1.3%、生鮮果物-3.4%という状況であり、全部下がっている。すべての生鮮食品の物価が下がっており、特に、生鮮果物、生鮮魚介は-3.4%、-3.0%と大きく下落している。また、飲料-2.0%、酒-0.5%と、グロサリーにも波及しつつあるといえ、食品はまさに、デフレ傾向が強く、なお、一層の価格競争が激化するものといえよう。ただ、菓子類3.3%、乳卵類1.3%、調理食品(惣菜)1.1%、穀類0.8%、油脂・調味料0.0%と惣菜、日配、グロサリー類は比較的物価の下落は見られず、生鮮食品とは対照的な動きといえよう。

   そこで、さらに、生鮮食品の中で物価の下落が激しかった項目を見てみると、たこ-10.0%、さといも-14.0%、りんごB-10.5%、レモン-15.1%が10%以上下落している。ついで、5%以上10%以下の下落したものを見てみると、いわし-5.1%、さんま-6.5%、いか-7.3%、えび-5.5%、牛肉B-7.3%、かんしょ-8.6%、にんじん-6.6%、れんこん-7.6%、えのきだけ-7.2%、りんごA-6.5%、グレープフルーツ-7.9%、オレンジ-5.7%、なし-5.4%、かき-6.2%、すいか-6.8%となる。年末商戦特有の商品が多く、今年の年末商戦は厳しかったものと思われる。

   このように、ここへ来て、消費者物価指数は、デフレ傾向が明確になりつつあるといえ、特に、食品、その中でも生鮮食品の下落がこの12月度は鮮明である。今後、食品以外も光熱・水道-4.9%、家具・家事用品-4.8%、教養・娯楽-3.3%と厳しい数字が見られ、デフレが収束してゆくようには見えず、当面、この物価下落は続いてゆく様相を呈しはじめたといえよう。来月はいよいよ、2010年度となるが、今後の消費者物価指数がどう動くか、注意深く見てゆく必要があろう。

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