消費者物価指数(CPI)、2010年1月、デフレ進行?
2/26、総務省統計局から、2010年1月度の消費者物価指数(CPI)が公表された。消費者物価指数には総合指数が3つある。文字通りの総合指数、生鮮食品を除く総合指数、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数である。また、数字は、平成17年度を100とした指数に加え、前月比、同年同月比も公表される。その結果であるが、「(1) 総合指数は平成17年を100として99.4となり,前月比は0.2%の下落。前年同月比は1.3%の下落となった。(2) 生鮮食品を除く総合指数は99.2となり,前月比は0.6%の下落。前年同月比は1.3%の下落となった。(3) 食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は97.5となり,前月比は0.8%の下落。前年同月比は1.2%の下落となった。」という結果である。
3つの数字を整理すると、平成17年度比は99.4%、99.2%、97.5%、前月比は-0.2%、-0.6%、-0.8%、前年同月比は-1.3%、-1.3%、-1.3%という結果であり、すべての段階でマイナス、特に、前月比も同様にマイナスであり、デフレが進行しているといえよう。実際、平成17年度比の月別グラフを見ると、昨年11月度から、すべての指数がマイナスに転じ、そのまま、この1月までほぼ右下がりにグラフが動き、さらに、この1月度は、下がる角度が急になっており、明らかに、デフレが進行しているように見える。
また、もうひとつのグラフ、前年同月比の動きであるが、これは、棒グラフで3つの総合指数を、プラスマイナスで月別推移を示しているが、見事なsinカーブを描いている。2007年10月頃からすべての指数がプラスの棒グラフとなり、2008年7月頃をピークに、上に半円形の軌跡を描くように下がり始め、2009年1月には反転、今度は逆の半円形を描くように動きはじめている。そして、9月頃をマイナスの頂点となり、逆半径形でプラスへもどりはじめるような動きとなり、まさに、きれいなsinカーブを約2年半に渡って描いた動きとなっている。
問題は、この1月の動きであり、このsinカーブからはマイナスからプラスに転じる方向に動いても良いように思えるが、前月比は-0.2%、-0.6%、-0.8%と、逆に、マイナスの方向に動き始め、デフレが明らかに進行しているような動きとなったことである。これは極めて深刻な状況になる可能性が高まったといえ、デフレが長引くか、場合によっては、さらに、深まる可能性も否定できず、消費者物価は極めて厳しい局面に入ったといえよう。
ちなみに、世界の主要国の前年同月比の消費者物価指数(CPI)の動きであるが、日 本-1.3%、アメリカ2.6%、カナダ1.9%、イギリス3.7%、ドイツ0.8%、フランス1.1%、イタリア1.2%、中 国1.5%、韓 国3.1%という状況であり、日本だけがデフレ傾向から抜け出せない状況である。韓国はむしろインフレぎみであり、アメリカも昨年11月にはプラスに転じており、物価の下落が、日本だけ止まらない状況にあるといえよう。
では、10大費目で前年同月比を下落の大きい順に見てみると、光熱・水道-5.8%、家具・家事用品-5.5%、教養娯楽-3.1%、食料-1.9%(生鮮食品-3.9%、生鮮を除く食料-1.5%)、保健医療-1.1%という状況である。プラスになったのは交通・通信1.9%、教育0.8%の2部門のみであり、残り8部門はすべて下落という厳しい状況である。さらに、寄与度を見ると、食料が-0.51と最も大きく、その中でも生鮮食品を除く食料が-3.5と大きかった。ついで、光熱・水道-0.43、教養娯楽-0.32と続く。
そこで、さらに、その主な費目を見てみると、食料関連では、食用油-17.4%、スパゲツティ-11.6%、ビスケット-9.9%、ケチャップ-9.3%、マヨネーズ-8.3%が大きく下がっている。エネルギー関連では、都市ガス代-11.9%、電気代-9.7%である。そして、教養娯楽関連では、テレビ(薄型)-33.6%、パソコン(デスクトップ型)-36.6%、パソコン(ノート型)-46.0%、カメラ-35.3%と大きく下落している状況である。
また、これ以外にも、大きく消費者物価が下落した項目を見てみると、DVDレコーダー -28.6%、ステレオセット-23.2%、ルームエアコン-22.7%、電気洗濯機(洗濯乾燥機)-22.2%、ビデオカメラ-21.5%、家庭用ゲーム機(据置型)-20.1%、ビデオソフトレンタル料-19.4%、キャベツ-19.0%、パソコン用プリンタ-17.8%、携帯オーディオ機器-17.3%、はくさい-16.8%、えのきだけ-16.6%、外国パック旅行-16.2%、みかん-15.6%、電気冷蔵庫-15.0%という状況である。家電関連が多いのが特徴といえ、また、外国パック旅行も大きく下落しており、厳しい状況といえよう。
このように、2010年1月の消費者物価指数(CPI)は、すべての総合指数が平成17年度比、前月比、前年同月比ともに、下がるという厳しい状況となり、この数年間の推移、そして、主要国の動きを見ても、この1月度くらいからは上向きになってきても良いように思えるが、実際はさらに、マイナス幅が拡大する方向に動いているといえ、当面、デフレは続くものと予想されよう。食品スーパーマーケット業界は、この厳しいデフレの状況を受け、未曽有の価格競争に入りつつあるといえるが、今後、いつ消費者物価が反転するか、それとも、さらに、深刻なデフレに入るのか、先が読めない状況に入ったといえよう。
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