ID=1、ID>1、ID-POSを極める!
通常のPOS分析とID-POS分析の決定的な違いは何かをつきつめてゆくと、ID=1かID>1に突き当たる。従来、この2つの分析の捉え方は、これまで把握できなかったIDを把握できるようになったことがID-POS分析の特徴であり、IDが把握できることによって、従来のPOS分析ではできない様々な分析が可能になるということであった。確かにその通りであるが、では、ID-POS分析と従来のPOS分析はどのような関係にあるのかが、いまひとつ不明確であったといえる。ここ最近、というよりも、この数年、この問題について、いろいろ研究してみたが、答えは、ID=1かID>1の違いであり、双方は全く同じ分析であるという結論に達した。
これまではレシート分析が従来のPOS分析、ID分析がID-POS分析とし、この2つを融合する指標がID客数PI値であり、その2つの分析をID客数PI値で関係づけてきた。数式にすると、ID金額PI値=ID客数PI値×金額PI値となり、左辺のID金額PI値がID-POS分析であり、右辺のIDのない金額PI値が、従来のPOS分析であると捉えて来た。したがって、金額PI値を活用する従来のPOS分析は、この金額PI値をさらに分解し、金額PI値=PI値×平均単価とし、金額PI値アップのために、PI値アップ、平均単価アップ、ないしは、双方のアップを目指し、取り組んでゆくことがマーチャンダイジングそのものであったといえる。
これに対し、ID-POS分析は、この金額PI値にID客数PI値を掛け合わせることによって、ID金額PI値を導きだし、ID金額PI値アップを目指すことになる。従来のPOS分析にID客数PI値が加わったことにより、金額PI値がアップしても、ID客数PI値が下がってしまえば、ID金額PI値は下がる場合もあり、逆に、金額PI値が下がっても、ID客数PI値が上がれば、ID金額PI値は上がる場合もある。金額PI値にダイレクトに左右されない指標がID金額PI値であり、ID客数PI値がその決め手となる指標として、ID-POS分析特有の指標であった。
このID客数PI値は、レシート÷IDであるため、1ID当たりのレシート枚数、すなわち、来店頻度を表すことになるが、突き詰めれば、ID-POS分析と従来のPOS分析の違いは、このID客数PI値にあるというのが、これまでの結論であった。
そこで、ID=1、ID>1であるが、ID-POS分析の基本方程式、ID金額PI値=ID客数PI値×金額PI値は、IDが把握できてはじめて生まれる基本方程式である。では、ここに、ID=1を導入するとどうなるであろうか。ID客数PI値=レシート÷ID=レシート÷1となり、ID客数PI値はレシートとなり、これは客数となる。金額PI値はそのままであるので、右辺は客数×金額PI値である。一方、左辺、ID金額PI値であるが、ID金額PI値=売上÷IDであるので、ID=1を入れると、売上となる。したがって、ID金額PI値=ID客数PI値×金額PI値にID=1を入れると、売上=客数×金額PI値となり、これは、客数(レシート)×客単価(金額PI値)となり、従来のPOS分析、金額PI値の分析にもどることになる。
ということは、従来のPOS分析はID-POS分析の特殊なケースであるということであり、ID-POS分析がID>1以上の世界を扱う分析であるのに対し、従来のPOS分析はID=1、すなわち、IDが1に限定された特殊なケースを扱うPOS分析であるということになる。したがって、従来のPOS分析を勉強して、ID-POS分析に入ってゆくよりも、いきなり、ID-POS分析を理解し、ID=1の特殊なケースとして、従来のPOS分析を勉強した方が実践的であり、理解が速いのではないかと思える。
ID-POS分析は複雑で分かりにくいので、あとでいいやという方が多いが、いま、まさに、従来のPOS分析を理解し、スキルをあげるためにも、いきなりID-POS分析に取り組み、顧客の購買実態の本質に迫った方が、POS分析の全体像の理解が早いのではと思う。
ここで、イメージとして、この2つの関係を示してみる。目の前にレシートの山があったとする。従来のPOS分析では、何枚レシートがあろうが、そのレシートをあたかも1人の顧客のレシートであるとみなし、レシートの売上金額、売上数量をレシート枚数(客数)で割って、その数字をいかに引き上げるかを必死で考える。これが従来のPOS分析である。レシートが1枚でも、10枚でも、・・1億枚でも同じである。
これに対して、ID-POS分析は、その山のレシートから、同じIDのレシートをまとめ、IDの数だけレシートの山をつくる。そして、そのレシートの山ひとつひとつの売上げを従来のPOS分析と同じ方法でレシート1枚当たりの売上げを上げてゆくことになるが、その山のレシート枚数をどう増やすかも同時に考えてゆく、ここが最大の違いである。さらに、各山の特徴を様々な角度から比較検討し、高い山(レシート枚数)の順に並び替えてみたり、山の合計金額の高い順に並び替えてみたり、特定商品のレシート枚数の多い順に並び替えてみたり、さらには、山の特徴(属性)にまで違いを求め、様々な並び替えをしてみたり、これがID-POS分析であるといえる。
こう見ると、従来のPOS分析とID-POS分析の違いは、レシートの山をひとつ、ID=1と見るか、IDの数、ID>1と見るかの違いであり、顧客のよりリアルな購買実態は当然、ID>1の中にあることを考えると、ID>1を研究し、その特殊なケースとして、ID=1へ落とし込んだ方が、POS分析を体系的、実践的に理解し、活用できるのではないかと思う。
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