ウィスキー、復活か、日経MJで特集!
日経MJ、2/15で、ウィスキーが特集された。伸びる市場、ヒット分析での特集である。見出しは、「ウィスキー、ハイボール人気で復調、今年3.8%増の予想」、「一極集中に不安も」である。このウィスキー特集では、様々なデータも公表されている。ウィスキーの来店客千人当たり販売金額(金額PI値)の年間昨対推移、メーカー別来店客千人当たり販売金額(金額PI値)、サントリー、アサヒビール(ニッカウヰスキー)、キリンビール、宝酒造の過去3年間の推移、そして、商品別POSデータ(金額PI値)、ベスト15である。
そこで、この日経MJでは扱われていないデータ、家計調査データでウィスキーがどのような数字であるかを確認してみたい。まず、ウィスキーとはそもそもどのような消費特性があるかであるが、直近の2009年12月度の家計調査データの数字を見ると、ウィスキーは、1世帯1日当たり4.68円(昨対106.6%)、購入世帯のみの消費金額108.02円(94.6%)、購入世帯の割合4.3%( 112.8%)という数字である。これは12月度の月間の数字であるが、購入世帯は、わずか4.3%、95%以上の家計が月間1度もウィスキーを購入しないということであり、家計の5%弱を対象に商売しなければならないという厳しい現実がある。
酒は全体的に購入世帯の割合が低いが、ウィスキーは酒の全カテゴリーの中で最も低い商品である。参考に、同じ12月度の酒のカテゴリーでの購入世帯の割合を見てみると、清酒41.8%、焼酎22.4%、ビール39.8%、ぶどう酒(ワイン)15.0%、発泡酒15.6%、他の酒28.7%という状況である。ウィスキーがいかに、限られた愛好家にのみ支持されている商品であるかがわかる。
その数字が伸び始めたというのが、今回の日経MJのウィスキー特集記事であるが、実際、家計調査データの12月度は106.6%と堅調な伸びを示しており、しかも、購入世帯の割合が112.8%と大きく増加し、ウィスキーの愛飲家が増加しているという数字である。一方、購入世帯のみの消費額は94.6%と下落しており、これを小売業に当てはめると、客数アップ、客単価ダウン、売上増ということになる。客単価ダウンは恐らく、客単価(金額PI値)=PI値×平均単価であるので、平均単価がダウンしたものといえよう。高いウィスキーではなく、低価格の値頃感のあるウィスキーにシフトしたのではないかと思われる。
さて、もう少し、家計調査データでウィスキーの推移を見てみたい。2009年11月度3.40円(昨対90.3%)、10月度3.23円(89.3%)、9月度3.17円(101.1%)、8月度3.32円(96.3%)、7月度3.23円(106.4%)、6月度3.27円(89.9%)、5月度3.74円(130.3%)、4月度3.17円(120.3%)、3月度3.90円(155.1%)、2月度3.75円(141.2%)、1月度2.87円(158.9%)という、2009年度の推移である。これを見ると、1月から5月までは異常な伸びであり、その後、急激に失速、6月以降は昨対そこそことなり、12月は堅調な伸びを示したことがわかる。年間を通すと、前半の伸びが大きく、後半の伸び悩みを相殺し、昨対はクリアーしていると思われるが、後半の減速が気になるところである。
日経MJの数字を見ると、今年と昨年のウィスキーの金額PI値比較では、この家計調査データとはむしろ反対で前半伸び率が低く、後半伸び率が高まっており、逆の動きであるが、家計調査データとPOSデータのギャップであるかどうかわからないが、結果としては、2009年度の年間のウィスキーの消費は伸びているといえよう。しかも、メーカー別にみると、サントリーの2009年度以降の伸びが著しく、他社の伸びは横ばいから若干上向いている状況であり、サントリーの1人勝ちといえる様相を呈しているのが特徴である。
さらに、商品別で見てみると、No.1はサントリー、ウィスキー角瓶700ml、金額PI値491円、平均単価1,083円、カバー率96.2%である。No.2のニッカウヰスキー、ブラックニッカクリアブレンド700ml、金額PI値231円、平均単価716円、カバー率93.1%と比べても格段の差があり、断トツのトップである。以下、No.7までサントリーが続く。ベスト5まで見てみると、No.3サントリー、ウィスキー角瓶<黒43度>700ML、金額PI値120円、平均単価1,091円、カバー率78.5%、No.4ウィスキーオールド700ML、金額PI値116円、平均単価1,459円、カバー率82.6%、そして、No.5ウィスキー角瓶ジャンボボトル1.92L、金額PI値104円、平均単価2,750円、カバー率53.6%である。
日経MJの記事の中ではハイボールの人気をいち早く突き止めたサントリーが、ハイボールの普及、そして、販促への取り組みを強化したことが功を奏したという内容である。確かに、家計調査データでも購入世帯の割合の増加がウィスキーの消費額を押し上げており、日経MJのグラフでもサントリーが1人勝ちの予想を呈している。さらに、商品別でも、ベスト7の内、断トツのNo.1を含む、6品がサントリーで占められている。ハイボールブームの兆候をいち早く見つけ出し、そのブームを本当のブームにまで育てた上げたサントリーの戦略の巧みさが光るといえよう。
ただ、家計調査データを見る限りでは、ウィスキーの伸び率がやや下がっている兆候も表れており、今後、新たな消費世帯を拡大することよりも、ウィスキーを消費し始めた新たな世帯のウィスキーの消費額をいかに高められるか、そのための、次の一手が重要な課題となろう。サントリーが、今後、どのようなウィスキーの販促を打ち出すか注目したい。
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