品揃えを考えてみる!
最近、POSデータを分析する機会が多くなった。特にメーカーの方とのお付き合いも増えたせいか、グロサリーのPOSデータを分析する機会が多い。グロサリーは1カテゴリーの品数も多く、特に、全国の主要食品スーパーマーケットのデータを分析すると500SKUを超える場合もざらにあり、びっくりする。実際の1チェーンの食品スーパーマーケットの売場は当然物理的な制約もあり、50から100SKUに絞らざるをえないが、世の中はその10倍ぐらいの商品が存在しているのが実態であり、改めてPOS分析を試みると、品揃えの重要性が認識できる。そこで、ここでは、全国の食品スーパーマーケットのPOSデータが入手可能となった場合、どのように品揃えの改善に取り組んでゆけば良いかについて考えてみたい。
チェーンストアエイジへの私の投稿記事でもお馴染みであるが、全国の食品スーパーマーケットのPOSデータには、金額PI値とカバー率がある。しかも、金額PI値は、金額PI総店と金額PI扱店に分かれている場合が通常である。ただ、時として、金額PI総店がなく、金額PI扱店のみしか算出されていないPOSデータもある。毎週金曜日に公表される日経MJの新製品週間ランキングはまさにそうで、金額PI総店はなく、金額PI扱店のみであり、参考に、平均単価とカバー率が公開されているのみである。
ここでカバー率であるが、これは、扱店舗比率のことであり、扱店舗÷総店舗数のことである。したがって、扱店舗の正確な客数を表しているわけではなく、金額PI扱店の客数をカバー率から算出することはできない。同様に、カバー率から金額PI総店を算出することもできず、あくまで、カバー率は金額PI扱店、金額PI総店の参考数値である。本来、理論的には、金額PI扱店×客数PI値=金額PI総店となり、この2つの金額PI値が客数PI値で繋がることになるが、カバー率では客数PI値の代替とはならず、誤差が発生し、参考数値に留まることになる。
金額PI扱店=売上金額÷扱店客数、客数PI値=扱店客数÷全店客数、金額PI総店=売上金額÷全店客数であるので、金額PI扱店×客数PI値=金額PI総店となる。チェーンストアエイジでは、客数PI値を金額PI総店÷金額PI扱店で逆算して算出しており、整合性をとっている。カバー率は対象店舗の客数が同じ客数であれば、カバー率=客数PI値となるが、実際の食品スーパーマーケットの店舗は、店舗により、1日1,000人の客数の店舗もあれば、3,000人の店舗の客数もあり、さらには、5,000人の客数の店舗もあり、まちまちであり、カバー率と客数PI値はかなり誤差がでるのが実態である。
そこで、品揃えに話をもどすと、全国のPOSデータを自社の品揃えの改変に活用する場合は、まずは、基本は自社の商品の金額PI値と全国のPOSデータの金額PI扱店と比較することが第1ステップである。間違っても、金額PI総店と比較してはいけない。先に見たように、金額PI総店=客数PI値×金額PI扱店であるので、客数PI値が高い、極端な話、100%であれば、双方は一致し、どちらを使っても問題ないが、客数PI値が低い商品は、金額PI総店も限りなく低くなり、比較の意味をなさないからである。金額PI扱店であれば、客数PI値が低くとも、その限られた客数の対象店舗での金額PI値であり、自店の金額PI値と比較検討が十分にできるからである。
そして、ここから、その差異を分析し、さらに、金額PI扱店=数量PI扱店×平均単価であるので、自店の数量PI値と平均単価との比較を試みることである。ちなみに、ここでも、数量PI総店と数量PI扱店があるので、数量PI扱店で比較することがポイントである。これも数式で示せば、数量PI総店=客数PI値×数量PI扱店であり、金額PI扱店と同様の理由である。この時点でかなりの問題点が明らかになる。自店の商品が十分に顧客から支持されているかどうかが浮かび上がり、それが、数量PI値なのか、平均単価なのか、その原因が明確になるはずである。
次に、自店で品揃えされていない全国のPOSデータから何を加えるべきかを判断することが重要である。そのポイントは全国のPOSデータを2つに分けて考えると良い。ひとつは、客数PI値が高く、金額PI扱店が高い商品である。これが品揃えに加える最優先の候補である。そして、もうひとつは、客数PI値は低いが、金額PI扱店が極めて高い商品である。これが次に優先されるべき品揃え候補である。この2つの角度から、自店で品揃えされていない商品をピックアップし、可能であれば、品揃えに加えるか、自店のCランク商品と入れ替えることである。
このように、全国のPOSデータをうまく活用すると、自店の品揃えが劇的に変わる可能性があり、定期的にすべてのカテゴリーをメンテナンスしてゆけば、早ければ半年、時間をかけても1年で見違えるような品揃えとなり、結果、顧客から支持の高い売場ができあがるものといえよう。POS分析は自店のデータの分析も重要であるが、全国のPOSデータが入手できるのであれば、このように活用することも一考である。
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