液体洗剤の時代、到来か?
38.4%、34.3%、26.8%、25.2%、21.6%、16.8%、14.6%、これは何の数字か、この7年間の液体洗剤のシェアである。日本石油洗剤工業会が公表した数字を独自に集計したものであるが、7年前の2003年はわずか14.6%であった液体洗剤の粉末と液体を合わせた洗濯洗剤のシェアが、速報値、2009年1月から9月の数字では38.4%となっており、しかも、年々、確実にそのシェアを上げている。50%を超えるのは時間の問題といえよう。ちなみに、洗濯洗剤全体の伸びは100%そこそこであり、その中で、まさに、粉末から、液体へと洗剤市場が急激に置き換わりつつあるといえ、今後、液体洗剤をめぐる主要メーカーのシェア争いが激しさを増すものといえよう。
本ブログでも、November 22, 2008に、「液体洗剤、好調、各社、本格増産!」というタイトルで液体洗剤について取り上げた。その後、液体洗剤ではトップを走っているP&Gに、粉末ではトップを走る花王が、昨年8月、新製品アタックNeoを投入、すでに、アタックの液体洗剤、アタックバイオジェルとの自社競合を覚悟での新商品投入である。さらに、この2月から、満を持して、ライオンがトップナノックスを投入、売り場では、先行するP&Gの液体洗剤、ボールドと、三つ巴の激しい戦いが繰り広げられている。
おりしも、2/22、日経MJ1面で液体洗剤が売場写真付きで特集された。見出しは、「牙むくライオントップ宣言」、「液体洗剤「ナノックス」花王に挑む」、「洗剤力、CMで図解、試供品、バイヤーうならす」である。特に、記事の真ん中の写真では、豊洲のスーパービバホームの衣料用液体洗剤の売場が映し出されており、山積みされたライオンのトップナノックス500mlと、花王のアタックNeo400mlが双方、大きなPOPで訴求されている。
ライオン、トップナノックス500mlのPOPは新発売記念特価295円を打ち出し、「繊維の奥の汚れまで分解する!!ナノ洗浄」(ナノとは10億分の1の単位です。)というキャッチコピーで、洗浄力を強く打ち出している。これに対して、アタックNeo400mlは298円で訴求され、「節水、節電、時間短縮、すすぎ1回」と、エコを全面に打ち出すコピーであり、対象的なPOPである。ただ、どちらも、使用回数の訴求は共通しており、ライオンは水量30Lの場合500mlで50回(10ml/回)、花王は400mlで約40回(10ml/回)と同じ性能を打ち出している。
実際、独自に入手した最新のPOSデータ、約300社の食品スーパーマーケットの数字を見ると、2010年1月度の洗濯洗剤の数字は、ベスト10に、液体洗剤が4品登場しており、冒頭に示した液体洗剤のシェアを裏づける状況である。ただ、さすがに、No.1、No.2は粉末洗剤であり、No.1には花王、アタック大1.0kg、金額PI値399円(昨対106.1%)、平均単価313円、カバー率89.0%、No.2はライオントップ大、1000g、金額PI値219円(92.4%)、平均単価274円、カバー率76.1%である。アタックとトップの差が金額PI値で180円あり、しかも、同じ1kgで平均単価がトップの方が低いにもかかわらずの差であり、気になるところであるが、この2品が現在の洗濯洗剤のトップ2である。
では液体洗剤の状況はどうかであるが、No.3に花王、アタックバイオジェルつめかえ用0.9kgが金額PI値170円(109.0%)で入った。カバー率も74.0%と高い数字である。ついで、No.5にP&G、アリエールイオンパワージェル詰め替900gが金額PI値147円(81.2%)で入った。カバー率69.8%である。そして、No.8に花王の新商品、アタックNeo本体400gが金額PI値126円で入った。カバー率は69.5%と新商品としては、高い数字である。4つ目の液体洗剤は、P&Gボールド香り長続きジェルつめかえ900g、金額PI値140円(93.3%)が入った。カバー率56.3%である。この4品が、洗濯洗剤ベスト10に入った液体洗剤である。ちなみに、ライオンナノックス500gであるが、1月現在では、No.16にランクインしており、金額PI値74円、カバー率56.6%である。
こう見ると、液体洗剤はベスト10に2品づつP&G、花王が入っており、ここに、ライオンが割って入ろうと、虎視眈々と隙を狙っているような状況に、この1月はあるといえる。日経MJの記事を読むと、ライオンはこのトップナノックスを社運をかけた新商品と位置づけているとのことであり、「液体洗剤市場で首位を奪う」とことで、この2月度から市場最大規模の作戦を立て、攻勢をしかけるという。恐らく、3月、4月、そして、5月のゴールデンウィークと、先行するP&G、エコを全面に押し出し、新商品アタックNeoで追いかける花王、トップナノックスで3番手から一気に首位を狙うライオンの3つ巴の激しい市場シェア争いが繰り広げられるものといえよう。
このように、まさに、機は熟したといえ、液体洗剤の時代が到来まじかに迫ったといえよう。ただ、これは、洗剤市場が粉末から液体へと変化したというよりも、消費者の生活そのものが様変わりしはじめているといえ、それだけ、ここへ来て、デフレが深刻な状況に入り、節約志向から液体洗剤がその生活環境にピタリはまり始めたというのが正解のように思える。洗剤の本質は汚れを落とすことにあるが、ただ落とすだけではなく、現状の厳しい生活環境を改善できるかどうかをも問われている象徴的な商品となりつつあるのではないかと思う。今後、液体洗剤がどのような動きを示すか、興味深いところである。
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