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March 20, 2010

ポイント100倍還元、ジーンズメイト!

   日経MJ、3/19にジーンズメイトのポイント100倍還元の記事が掲載された。見出しは、「ジーンズメイト、ポイント還元率100倍、来年4月まで、ジーンズ5000円以上」である。記事の内容を見ると、ジーンズメイトでは、これまで200円で1ポイントだったポイント還元率を5000円以上のジーンズ全品を対象に100倍の200円で100ポイント還元するというものである。実際、ジーンズメイトのホームページを見ると、全面に100倍ポイントが大きく訴求されており、「今、ジーンズを買うと、100倍ポイントセール、3/12-4/4」とキャッチコピーが掲げられている。

   いよいよ、ポイントも5倍、10倍の時代から、とうとう、100倍の時代に入ったといえ、これまでの静かな販促から、ちらしにかわる強力な販促手法に格上げされる段階に来たといえよう。ちなみに、ジーンズメイトは昨年100円で5ポイント還元であったポイント還元を200円で1ポイントに引き下げており、それを今回5000円のジーンズに限りであるが、200円で100ポイントに100倍還元したといことである。したがって、下げる前までの計算では、100円に5ポイントであったので200円では10ポイント、それが、100ポイントであるので、10倍還元となる。下げて上げての100倍が本当に100倍なのか、やや疑問が残るが、下げた時点からの100倍である。

   また、これを値引きに換算すると、200円で100ポイント、1ポイント1円ということで、200円で100円の値引き、すなわち、50%OFFとなる。消費者から見ると、5000円以上のジーンズは50%OFFと移る販促手法といえ、ジーンズメイトが5割引きをはじめたと捉えるのではないかと思う。通常、衣料品業界は、この春は衣替えの時期に加え、決算が加わり、強力なバーゲン(値引き)を行うことが多いが、ジーズンメイトはそれに合わせ、実質50%OFFのバーゲンをポイント100倍還元という形で打ち出したといえ、その意味で新たなポイントの販促の可能性を業界に投げかけたといえよう。

   ここで、値引きと還元の違いであるが、消費者から見るとどちらも50%OFFに移るかもしれないが、販促手法としては、中身が全く違う。値引きは文字通り商品の価格を下げることであるが、還元は商品の値引きを一切せず、一定の購入条件をもとに、直接消費者に売上げを還元、戻すことであり、商品の価格は変えず、値引きはしないというものである。問題はその購入条件が特定商品か特定顧客か等、条件設定にあり、今回のように、特定商品のみとなると、極めて値引きに近づくことになる。

   本来還元は商品販促から顧客販促への転換であり、商品の売上げを上げるではなく、顧客の売上げを上げる手段であり、具体的には来店頻度に変化を与えることが優先度が高く、しかも、還元できる原資を充分にもった消費者、すなわち、ロイヤルカスタマーに密かに還元するのが目的である。今回のように、顧客よりも、商品に焦点を当て、しかも、顧客の還元できる原資にほぼ無関係に還元するのは、一歩、間違えると、採算が合わない持ち出しの還元となる可能性もあり、よく計算しないと難しい問題をはらんでいるといえよう。

   その意味で、誰でも、大量に還元する政策は一時的には絶大な支持を得、特に、これまでジーンズメイトであまりジーンズを購入していなかった顧客にとっては良いかもしれないが、黙って、ジーンズメイトで10年、20年とジーンズを買い続けていた本当のロイヤルカスタマーにとっては、何で一律還元なのか、私だけ、もっと還元して欲しいという不満が残る政策でもあろう。還元はその意味で値引きとは根本的に質の違う販促策であり、常に、ロイヤルカスタマー最優先で還元を考える必要があり、値引きと同じ線上で捉えてしまうと、危険な販促でもある。

   ちなみに、ジーンズメイトのここ最近の売上げの推移であるが、既存店の昨年10月度79.5%(客数94.3%、客単価84.3%)、11月度81.0%(客数93.8%、客単価86.4%)、12月度83.0%(客数99.1%、客単価83.7%)、2010年1月度82.2%(客数99.1%、客単価82.9%)、2月度90.5%(客数107.8%、客単価84.0%)という状況である。客数はもどったが、客単価が大きく落ち込んでおり、客単価=PI値×平均単価であるので、平均単価の落ち込みが大きいと想定される。

   こう見ると、今回のジーンズメイトの100倍ポイントは、客数アップに加え、値引きではなく、還元であり、しかも主力商品の5000円以上のジーンズ購入が条件であるので、客単価、特に平均単価アップ政策を大きく後押しすることになろう。ジーンズが1000円前後で販売される時代となった厳しい経営環境の中で、この100倍ポイントがどこまで消費者に受け入れられ、ジーンズメイト全体の客数はもちろん、客単価の改善がはかられるか、次の3月期の売上げ速報に注目といえよう。また、そろそろ、ジーンズメイトの2010年2月期の本決算も公表されると思われるが、今期は、極めて厳しい決算が予想される。残念ながら、この100倍ポイントの成果が問われるのは次の決算期に入ってからであるが、まずは、次の第1四半期決算の結果がどこまで業績改善に結びついているかも気になるところである。

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