家計消費状況調査、平成20年、ポイントカードを見る!
総務省統計局が調査している様々な調査の中に、家計消費状況調査というものがある。これは、毎月の購入頻度が少なく、家計調査では把握しにくい高額消費について調査した世帯当たりの消費額を示すものであるが、その中でICT関連の調査がある。ICTとはInformation and Communication Technologyの略であり、この中に、ポイントカード、電子マネー等の利用状況がある。そこで、現在、消費状況調査の最新の年報、平成20年度版をもとに、ポイントカード、電子マネーの利用状況を見てみたい。
まずは、ポイントカードであるが、ポイントカードをもっている世帯は63.7%であり、地域別にみると、関東71.1%、近畿65.9%が高く、九州・沖縄55.4%、東北56.6%、東海56.8%が低い地域となる。これを都市別にみると、大都市69.6%、中都市66.2%、小都市60.4%、小都市町村53.8%となる。60%強がポイントカードをもっていることになり、ポイントカードの普及が進んでいるといえよう。ちなみに、食品スーパーマーケットのポイントカードの利用率を見ると、70%から80%ぐらいであるので、やや低い数字である。逆に見ると、まだ、40%弱はポイントカードを持たない現金の世帯がいるということであり、この数字が限界なのか、さらに伸びてゆくのか、気になるところである。
一方、ポイントカードのポイントを交換した世帯であるが、18.6%であり、意外に低い数字である。ポイントカードをもっている世帯で換算すると29.3%となるので、約30%といえ、約70%がポイントを交換しないという状況であり、貯める世帯が圧倒的に多いといえよう。これは、集計が1年間であるので、1年では交換したいもののポイント分が十分に貯まらないと見るべきか、ポイントは交換するよりも、貯めることに重点を置いていると見るべきか、意見が分かれるところであろうが、意外に低い数字といえよう。
そして、その18.6%の交換したものであるが、食品と商品券が圧倒的に高く、5.7%、5.2%であり、合計10.9%と大半を超える。ちなみに、現金は1.4%と意外に低い。ついで、雑貨3.3%、電気製品2.8%と続き、あとは1%以下となる。食品、商品券へのニーズが際だっているといえよう。
では、ポイントカードの保有状況を年齢別に見てみると、トップは40-49歳であり、81.1%、ついで、30-39歳80.7%となる。そして、弱年層、高齢者になるに従い、低い数字であり、30歳未満で75.7%、60-69歳で67.0%である。また、年収別に見てみると、年収300万円未満は50%前後であるが、年収500万円を超えると70%を超え、年収800万円を超えると80%を超えるという、右上がりの状況になる。これは、航空会社のマイレージが保有率に比例するとも見てとれる。さらに、ポイントの交換金額であるが、年収500万円ぐらいまでは4,000円前後で推移しているが、その後、徐々に上昇し、年収1,000万円を超えると8,000円を超え、最高は年収1,250-1,500万円の16,605円である。
以上が家計消費状況調査の平成20年度版の年報の結果であるが、ここからわかることは、ポイントカードの保有世帯は60%強であり、その内1年以内にポイントを交換するのは約30%、全体では約20%である。そして、交換金額は4,000円から5,000円ぐらいであり、その中身は食品、商品券が圧倒的に多いという事実である。
ちなみに、食品スーパーマーケットの1%=1円還元で5,000円を貯めるには、5,000円÷1%=50万円の購入が必要であり、家計調査データで見る食品の支出金額が平均ほぼ1世帯、1日約2,000円であるので、年間では73万円となる。したがって、どこか、メインの食品スーパーマーケットで70%近い購入率で食品の買い物を続けてはじめて、5,000円が貯まることになり、1年に1回以上のポイント交換は至難の業であるといえ、ポイント率が交換率が30%と、低いと思われるが、うなずける数字ともいえよう。
ここで、参考に、電子マネーの状況も見てみたい。まず、電子マネーを持っている世帯であるが、24.4%の世帯であり、普及しているとはいえ、まだ、約75%が保有していない状況である。これを地域別にみると、関東44.3%と突出しており、近畿でも18.8%とまだまだ低く、その他の地域は10%強という状況である。また、これを利用回数順にみると、交通機関が13.4%でトップ、ついで、コンビニエンスストアが3.4%、その他2.1%という状況である。食品スーパーマーケットが見えないくらいの数字であり、今後、食品スーパーマーケットに電子マネーが普及するにはかなり時間がかかるものといえよう。
こう見ると、現状の電子マネーは交通機関中心で普及が進んでいるといえよう。さらに、これを年収別にみると、見事に右上がりの奇麗な直線となり、年収300万円以下は10%前後、年収1,000万円を超えると50%近くとなり、この10%から50%まで年収順に直線で結ばれ、その範囲内に各年収が治まることになる。y=1/20(x)といったところか。こう見ると、電子マネーは年収比例して普及しているといえ、ポイントカードとは性質の違うものであるといえよう。
このように、ポイントカードと電子マネーの平成20年の実態を家計消費状況調査から見てみたが、ポイントカートと電子マネーは、現時点では異質なカードであるといえ、家計における位置づけが全く違うといえよう。また、ポイントカードはかなり普及したが、意外に交換されてない状況が浮かびあがった。こう見ると、今後、まだまだ、ポイントカードも改善の余地が大きいといえよう。
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