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March 19, 2010

マックスバリュ北海道、2010年1月度、厳しい決算!

   マックスバリュ北海道が2010年1月期の決算を3/17公表した。結果は営業収益765.93億円(-1.1%)、営業利益4.11億円(244.7%:営業収益比0.53%)、経常利益4.35億円(204.6%:営業収益比0.56%)、当期純利益-3.75億円(減損損失-8.08億円)となり、昨年と比べると営業、経常段階では減収増益であるが、当期純利益は赤字となる厳しい決算となった。ただ、営業、経常段階の増益も営業収益比では、0.53%、0.56%と依然として厳しい数字であるといえよう。

   そこで、まず、今回の決算の利益構造を原価、経費面から見てみると、原価は76.46%(昨年75.81%)と、0.65ポイント上昇しており、価格競争の厳しさが原価を押し上げたといえよう。マックスバリュ北海道自身も、「当社の属するスーパーマーケット業界におきましては、今まで以上にお客さまの節約志向が強まり、1点単価の下落による客単価の定価傾向が見受けられ、また、業種業態を超えた競争激化の影響を受ける等、厳しい経営環境が続いております。・・」とコメントしており、1点単価の下落が原価に響いたものと思われる。結果、売上総利益(粗利)は23.54%(昨年24.19%)となった。

   一方、経費の方であるが、24.92%(昨年25.78%)と0.86ポイント削減しており、経費の削減は進んだ。特に、営業収益が減少しての経費の削減であり、経費の絶対額を引き下げている。マックスバリュ北海道も、「「ローコスト体質の構築」においては、全員参画でコストの削減に取り組み、具体的には、従業員よりコスト削減の提案を収集する「もったいない輪」キャンペーンを実施し、・・」とのことで、まさに全社を挙げてのコスト削減に取り組んだ結果といえよう。実際、主な経費項目を見てみると、広告宣伝費5.98億円(売上対比0.79%、昨年10.35億円)、人件費85.24億円(売上対比11.34%、昨年86.52億円)、水道光熱費17.96億円(売上対比2.39%、昨年18.95億円)等であり、総額も187.27億円(昨年196.04億円)と8.77億円下がっている。

   このように、マックスバリュ北海道の今期は、原価の上昇を経費の削減で相殺しようという強い意志が働いており、差し引き、マーチャンダイジング力は-1.38%(昨年-1.59%)と、依然としてマイナスではあるが、0.21ポイント改善している。そして、これにその他営業収入が1.93%(昨年1.82%)のり、結果、営業利益が0.55%(昨年0.23%)と倍増した。ちなみに、その他営業収益の中身であるが、不動産賃貸収入が1.62%と大半を占め、これ以外が0.31%である。

   以上がマックスバリュ北海道の2010年1月期の本決算の営業構造であるが、営業利益率は0.55%とまだ低いが、全社を挙げての経費削減が厳しい価格競争による原価の上昇を相殺しており、収益を改善している。今後、この経費の絶対額の削減をさらに経営改革につなげるためにも、販売力を引き上げ、相対的に経費、特に固定費を引き下げることが課題となろう。

   さて、次に、マックスバリュの財務構造を見てみたい。まず、気になるのは自己資本比率である。今期は23.2%(昨年23.6%)と、財務面では依然として厳しい状況が続いており、負債に80%弱依存する財務構造である。その負債の主な項目であるが、有利子負債が83.90億円(昨年72.70億円)と、約10億円増加しており、総資産270.40億円に占める割合は31.0%であり、最大の負債である。実際、財務キャッシュフローを見ると、短期借入金は2.73億円減少しているが、長期借入金が35.00億円、返済21.07億円と差し引き、13.93億円増加しており、合計約10億円強増加している。

   ただ、この有利子負債を自己資本比率に足しても、54.2%であり、まだ、大きな負債があるといえる。そこで、その主な項目を見てみると、買掛金78.05億円(28.86%)、長期預り保証金10.87億円(4.01%)であり、これで、合計87.07%となり、負債の約90%弱となる。ちなみに、現金は21.07億円であり、有利子負債、買掛金の約1/4であり、今後、自己資本比率、特に、キャッシュをいかに増やすかが経営の最重点課題といえよう。

   ではこの負債と相殺する資産は何かであるが、出店関連の資産、すなわち、土地、建物、敷金、建設協力金が最も大きく、159.85億円であり、総資産の59.11%、約60%となる。したがって、自己資本でどこまで出店にかかわる資産を補っているか、すなわち、出店余力は、-35.91%であり、負債、特に、有利子負債に大きく依存する出店構造であるといえ、今後の成長を担う、原資が極めて厳しい状況にある。

   このように、今期のマックスバリュ北海道は経費の削減効果が寄与し、原価の上昇を相殺し、営業構造を昨年よりも改善したが、まだ、キャッシュを充分に生み出すまでには至っていず、マーチャンダイジング力も依然としてマイナスである。したがって、不動産収入等のその他営業収入に頼らざるをえない状況といえ、財務構造を改善するには、もう一段の営業構造の改革、特に、販売力をいかに引き上げるかが最優先課題といえよう。また、財務状況は自己資本比率23.2%と厳しい状況であり、今後、新店を継続的に出店してゆくには資本不足といえ、まずは、キャッシュを生み出す力、特に、既存店の活性化をいかにはかるかが課題といえよう。今回の決算を踏まえ、マックスバリュ北海道が今期の経費削減に加え、どのようにマーチャンダイジング政策を打ち出し、キャッシュを生み出してゆくのかに注目したい。

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