神戸物産、絶好調、2010年10月期、第1四半期決算!
神戸物産が3/2、2010年10月期の第1四半期の決算を公表した。結果は、売上高333.35億円(107.4%)、営業利益6.99億円(338.5%)、経常利益7.14億円(前期は赤字)、当期純利益4.13億円(前期2.1億円)となり、増収大幅増益となった。神戸物産自身も、「国内企業の多くが前年実績を割り込んでいる中、11月から1月までの3ヶ月間連続で、過去最高の出荷実績、及び利益を達成することができました。・・」とコメントしているように、神戸物産の業績が急回復している。
この3ケ月間の売上高の推移は11月107.4%(509店舗)、12月107.8%(516店舗)、そして、2010年1月108.6%(517店舗)と安定した伸びを示している。また、直営とFCの比率はFCが515店舗、直営が2店舗と、ほぼ100%に近いFC比率であり、FCを主体のコンビニと同じビジネスモデルが特徴である。そして、そのFCを直轄エリアFCと地方エリアFCに分けて管理しているが、直轄298店舗、地方217店舗とバランスのよい出店構造である。ちなみに、直轄エリアは、関西(兵庫県、大阪府、京都府、滋賀県、奈良県、和歌山県)、関東(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)である。
今期の神戸物産は、この安定した売上げに加え、むしろ、利益の方が急回復しており、その要因を原価、経費面から見てみたい。まず、原価であるが、94.42%(昨年95.82%)と1.40ポイント下がっており、原価の改善が進んでいる。結果、売上総利益は5.58%(4.18%)となり、粗利率が上昇した。一方、経費であるが、3.47%(昨年3.50%)と、経費も0.03ポイントであるが、わずかに減少しており、経費の改善も進んだ。したがって、原価、経費、双方の改善が進み、結果、営業利益は2.11%(昨年0.68%)と、大幅に改善し、これに、売上増があいまって、営業利益が急回復となった。
この数字は、FC本部としての、神戸物産の数字であるが、店舗の方の収益構造はどうなっているかであるが、以前、2006年9月に公表した中長期ビジョンの数字を見ると、1店舗当たりの売上高は月商2,500万円(1日83万円)である。したがって、年商は3億円となる。その中身は原価82.0%となり、結果、売上総利益は18.0%となる。これにロイヤリティが原価の1.0%、すなわち売上高の0.82%のり、店舗の粗利は17.1%となる。一方、経費は10.2%であり、これに商品減耗が0.1%加わり、差し引き、営業利益が6.8%となる。これが平均的な神戸物産の店舗収益モデルであるが、この公表数字は4年前の数字であるので、現在ではやや変化していると思われるが、これがFC本部と店舗の収益構造の違いである。
さて、この好決算を受けて、神戸物産のキャッシュフローであるが、営業キャッシュフローは-3.40億円のマイナスである。ただ、昨年も-15.15億円であるので、その幅は大きく縮小しているが、厳しい営業キャッシュフローである。もちろん、当期純利益は0.43億円から7.20億円と大幅にプラスになったが、仕入れ債務の減少(支払い)が-20.00億円(昨年-17.80億円)と大きく、これを当期純利益、減価償却費等で補えなかったことが要因である。
投資キャッシュフローは-3.18億円(昨年-16.17億円)と、大きく減少している。神戸物産の投資は出店への投資ではなく、産地、工場等への投資であり、その大半が有形固定資産への投資であるが、今期は大きく投資を控えたといえよう。結果、合計、フリーキャッシュフローは-6.58億円(昨年-31.32億円)と、約1/5となった。それでも、フリーキャッシュフローはマイナスであり、今後、いかに、営業キャッシュフローをプラスにもってゆくか、すなわち、仕入れ債務の支払い金額の圧縮、当期純利益の一層の改善が課題といえよう。
そして、財務キャッシュフローであるが、-2.82億円(昨年17.15億円)と、マイナスであるが、昨年は20.00億円の短期借入を行っており、今期は有利負債の増加はゼロ、財務キャッシュフローの大半は配当であり、負債の有利子負債での増加は見られず、財務は安定しているといえよう。ただ、増収増益の効果を有利子負債の返済に充てることができず、キャッシュフローとしては、結果、現金を取り崩すことになり、厳しい状況といえよう。現在、有利子負債は49.89億円(昨年49.92億円)であり、総資産301.73億円の16.53%と重い負担ではないが、自己資本比率は40.8%(昨年38.6%)とやや改善したとはいえ、もう一段、引き上げたいところであろう。
神戸物産は2000年3月に1号店を出店しており、今期、2010年はちょうど10年目となり、現在、517店舗である。単純計算で年間約50店舗づつ増やしていったことになり、急成長を遂げている。昨年は冷凍餃子事件等厳しい局面もあったが、この第1四半期決算を見る限り、のりきったといえよう。むしろ、ここへ来て、デフレが進行し、小売業界全体が激しい価格競争に入る中、神戸物産の業務用食品の安さが存在感を増しつつあるといえよう。
業務スーパーはもともと、外食、特に、小規模の飲食店への販売がメインであるが、実は、一般の消費者もかなりの割合をしめているのが実態である。したがって、デフレは、神戸物産にとって、外食からの売上げは厳しいと思われるが、一般消費者の売上げはむしろ上がっていると思われ、これが恐らく好調の要因のひとつといえよう。今後、どこまで、神戸物産の収益が改善し、キャッシュフローの改善にもつながってゆくか、次の中間決算に期待したい。
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