平和堂、2010年2月期本決算、減収営業減益!
いよいよ、2010年2月期の食品スーパーマーケットの決算の公開がはじまった。そのトップをきって、3/30、平和堂が決算を公開したが、結果は営業収益3,857.32億円(93.6%)、営業利益96.60 億円(79.9%)、経常利益96.48億円(79.1%)、当期純利益64.57億円(123.3%)となり、当期純利益は増益とはなったが、営業、経常段階では減収減益となる厳しい決算となった。平和堂自身も、「不要不急の衣料品・住居関連品の売上減やエネルギー・穀物価格安もあり、食品・消耗品を中心とした販売価格の低下により、業績は厳しいものとなりました。・・」と、コメントしているように、衣料品、住居関連品等が厳しい数字になったことに加え、食品も販売価格の低下が業績に響いたとのことである。
実際、売上が伸び悩んだ要因を見てみると、平和堂の商品構成は衣料品15.6%、住居関連品14.7%、食料品62.4%、その他7.3%であるが、それぞれの売上高を見ると、今期は衣料品87.3%、住居関連96.3%、食料品101.6%という結果であり、食料品は堅調であったといえるが、特に衣料品の落ち込みが大きかったといえる。
また、これを業態別にみると、アル・プラザ(SC)構成比64.21%(売上高94.2%)、GMS構成比15.5%(売上高98.9%)、フレンドマート(SM)構成比20.4%(売上高110.1%)という状況であり、平和堂の中核を占めるアル・プラザ(SC)が厳しい結果であったことがわかる。したがって、商品では衣料品、業態ではSCが厳しかったといえ、逆に、食品は堅調、SMは好調な結果であったといえる。ただ、SMの構成比が20.4%であり、平和堂全体を押し上げるまでにはいかなかったといえる。
一方、この売上高を客数、客単価(金額PI値)、PI値、平均単価に分解してみると、売上高94.2%(既存店90.3%)、既存店の客数95.5%(内SM97.35%)、既存店の客単価94.5%(内SM97.3%)、既存店のPI値102.7%(内SM 101.8%)、既存店の平均単価92.0%(内SM 95.5%)という結果であった。特に、既存店は90.3%という厳しい結果であり、その中身は客数、客単価ともに約5%のダウンである。また、客単価の中身であるが、PI値は昨対をクリアーしたが、平均単価が大きくダウンしており、価格競争の激しさが影響したといえよう。
このように、売上高は、衣料品、SC、そして、特に、既存店が厳しい結果となったが、営業利益も79.9%と、さらに厳しい結果となった。そこで、その要因を原価、経費面から見てみると、原価は70.68%(昨年70.50%)と0.18ポイント上昇しており、若干の原価の上昇が見られる。これは、今期、既存店の平均単価が92.0%と下がっていることからも、価格競争が原価にも影響しているといえよう。結果、売上総利益(粗利)は29.32%(昨年29.50%)となった。一方、経費の方であるが、33.42%(昨年33.07%)と0.33ポイント上昇しており、経費の上昇が見られる。ただ、金額では1,207.48億円(昨年1,277.70億円)と70.22億円減少している。特に人件費関連が718.47億円(昨年775.54億円)と、約60億円弱と大きく削減しており、金額ベースでは経費の削減が進んだが、比率では、売上高が減少しため、上昇するという結果となった。
結果、差し引き、マーチャンダイジング力は-4.10%(昨年-3.57%)と、マイナス幅が広がり、厳しい結果となった。一般に、GMS、SC業態を主体とした食品スーパーマーケットはマーチャンダイジング力がマイナスとなり、それを不動産収入、その他営業収入で補って営業利益をプラスにもってゆく営業構造であるが、平和堂もGMS、SCの売上構成比が約80%となり、イオン、セブン&アイHと同様な営業構造となる。そして、これに、その不動産収入が3.36%(昨年3.14%)、その他営業収入が3.41%(昨年3.57%)加わり、結果、営業利益は2.67%(昨年3.14%)と、大きく減益となった。比率で見ると経費比率の上昇が減益に響いているが、その要因は既存店の売上ダウンによるところが大きいといえる。食品スーパーマーケットにおいては、既存店のダウンは経費上昇にもつながり、利益を大きく圧迫するといえ、今期の平和堂はまさに、既存店のダウンが減収、減益の大きな要因となったといえよう。
一方、これを受けてキャッシュフローであるが、平和堂は中長期的な会社の経営戦略の中で、「キャッシュ・フロー経営を重視した投資・財務戦略を推進してまいります。・・」とコメントしているが、そのキャッシュフローを見ると、営業キャッシュフローは253.67億円(昨年185.77億円)と増加している。これは、今期は法人税が約30億円、営業貸付金が約20億円、売上債権が約10億円等減少しており、結果として、これらのキャッシュの増加が大きかったといえる。結果、投資キャッシュフローを-157.02億円(-116.16億円)と増やしており、これは、新店関係への投資に大半が当てられており、積極的な投資であるといえる。
その結果、フリーキャッシュフローは96.65億円(昨年69.61億円)と、積極的な投資を行ったにも関わらず、増加している。そして、財務キャッシュフローであるが、-75.50億円(昨年-55.50億円)と、その大半を長期借入金の返済に充て、財務改善をはかっている。結果、トータル25.16億円(昨年7.73億円)と、キャッシュが増加しており、キャッシュフローの流れは、投資、有利子負債の返済へ厚く配分したにもかかわらず、順流のスムースな流れとなった。
このように、2010年2月期の平和堂の決算は、特に衣料品、SCが厳しい結果となり、既存店の売上げが大きくダウンし、減収減益という厳しい決算となった。ただ、その厳しい決算の中でもキャッシュフローは健全であり、投資、有利子負債の返済へ適正な配分がなされ、しかもキャッシュも増加している。したがって、新年度はいかに、既存店の活性化に取り組むかが最大の経営課題となったといえよう。2011年度、平和堂が、どのような既存店の活性化へ向けての経営戦略を打ち出すか、注目である。
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