マルミヤストア、2010年5月期、第3四半期、増収減益!
マルミヤストアが3/26、2010年5月期の第3四半期決算を公表した。結果は、売上高226.56億円(0.1%)、営業利益 2.94億円(-29.5%)、経常利益 3.53億円(-27.6%)、当期純利益 1.93億円(-25.3%)となり、増収減益の厳しい決算となった。ただ、増収となった伸び率もわずか0.1%であり、経営環境がここへ来て厳しさを増しているといえよう。マルミヤストア自身も、「デフレの影響、改善が見られない雇用情勢など、依然として厳しい状況で推移いたしました。」とコメントしているように、デフレの影響が大きかったものと思われる。
マルミヤストアはスーパーマーケット事業とディスカウント事業の2つに事業を分けて経営しているが、それぞれの売上高は176.42億円(-2.2%)、50.13億円(9.9%)という結果であり、今回、売上高が伸び悩んだ要因はスーパーマーケット事業にあるといえる。ディスカウト事業は現在22.12%の売上構成比であるが、その数字には勢いがあり、事業構造が変わりつつあるといえる。新規出店は2009年8月にスーパーマーケットとして、マルミヤストア吉富店(福岡県築上郡吉富町)、2010年2月にマルミヤストア小林店(宮崎県小林市)、そして、ディスカウントストアとしては、2009年11月にアタックス高鍋店(宮崎県児湯郡)を出店している。スーパーマーケットの方が出店数が2店舗とディスカウントストアの1店舗と比べ多いにも関わらず、売上高の伸びはスーパーマーケットが苦戦、ディスカウントストアが伸びており、経営環境の変化がそれだけ、激変しているといえよう。
では、この第3四半期のマルミヤストアの収益構造を原価、経費面から見てみたい。まず原価であるが、80.62%(昨年80.09%)と、0.53ポイント上昇している。デフレの影響により、価格競争が激化し、平均単価の下落が響いているものと思われるが、ディスカウントストアの売上構成比が上昇していることも大きいといえよう。結果、売上総利益は19.37%(昨年19.91%)となり、粗利が減少した。一方、経費の方であるが、18.51%(昨年18.52%)となり、0.1ポイントであるが、減少しており、経費の削減がわずかではあるが進んだ。ただ、原価、経費の低いディスカウントストアの売上構成比が上がっているので、ディカウントストアの経費比率に全体の経費が引っ張られているといえ、スーパーマーケット事業の経費は厳しかったものと想定される。
結果、差し引き、マーチャンダイジング力は、0.86%(昨年1.39%)と、大きく減少しており、売上高も0.1%の伸び率であることから、マーチャンダイジング力によるキャッシュを生み出す力が減少しており、厳しい営業結果といえよう。これに、不動産収入、物流収入等のその他の営業収入が0.45%(昨年0.47%)のり、結果、営業利益は1.31%(昨年1.86%)となり、減益となった。こう見ると、営業利益の減益は原価の上昇にあるといえ、それだけ、価格競争の厳しさが増し、原価を引き下げているものと思われる。特に、マルミヤストアの場合はディスカウント事業が好調であることから、全体の営業構造がディスカウント路線に引っ張られている構図でもあり、その重みが経営に強く反映された結果ともいえよう。
一方、財務面であるが、自己資本比率は47.0%(昨年49.2%)と若干減少しているが、食品スーパーマーケット業界の決算公開企業約50社の平均が約40%であり、安定した数字である。負債面を見ると、有利子負債が17.88億円(昨年17.96億円)と、総資産97.35億円の18.63%と、これも食品スーパーマーケット業界の決算公開企業約50社の平均約30%と比べても低く、財務面は安定しているといえよう。
これに対して、マルミヤストアの資産面であるが、最大の資産である出店関連の資産、土地、建物、敷金保証金等の合計は50.87億円(昨年51.68億円)と、総資産の52.25%であり、1店舗当たりに直すと、マルミヤストアは現在37店舗であるので、1.37億円となる。この数字は食品スーパーマーケットの決算公開企業約50社の平均が約5億円であるので、極めて低い数字であり、九九プラスの0.13億円という例外的な数字を除けば、No.1の低い数字である。ちなみに、No.2は大黒天物産の1.65億円(2009年度)であるので、いかに、低い数字であるかがわかる。これがマルミヤストアの食品スーパーマーケットとしての最大の強みともいえよう。したがって、ここから差し引き、出店余力、自己資本比率-出店にかかわる資産を算出すると-5.25%となり、若干のマイナスとなるが、食品スーパーマーケット業界の決算公開企業約50社の中では10位前後となり、トップクラスである。
このように、マルミヤストアの2010年5月度の第3四半期は原価の上昇が響き、わずかに増収とはなったが、減益となる厳しい決算となった。結果、マーチャンダイジング力が減少し、キャッシュを生み出す力が減っているところが気になるところである。ただ、自己資本比率はむしろ上昇しており、財務は安定している。出店余力も十分といえ、今後、好調なディスカウントストアを中心に出店を増加し、スーパーマーケットは既存店の活性化に注力することにより、バランスのよい成長も期待できよう。マルミヤストアの決算は5月であるが、2011年度、今後、どのような経営戦略を打ち出すか、注目である。
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