国産食品ポイント、農水省が主導、2011年度から!
3/6の日経新聞に「国産食品購入でポイント、農水省検討、消費拡大へ全国で導入」という記事が1面に掲載された。以前から経済産業省がポイントについては早くから取り組んでいたが、食品スーパーマーケットというよりは、あらゆる業種のポイントが対象であり、航空会社のマイレージ、家電、衣料品、住関連等のポイントも含まれ、食品スーパーマーケットに焦点が当たりにくい面もあった。さらに、企業の経営戦略の面に焦点があたり気味あったともいえる。
今回の農水省のポイントは、このようなポイントとは全く発想が違い、そもそも、農水省の食料安全保障課が主体となっており、日本の食料自給率約40%の向上が最終目的であり、ポイントの活用目的が明確である。しかも、食品スーパーマーケットに焦点が絞られており、食品スーパーマーケット業界にとっては、ポイントを通じて、自社の売上げを上げるだけでなく、結果として、食料自給率の向上にも寄与することになり、大義名分がはっきりしたポイント活用である。
これが仮に、日本全国に広がれば、農業、漁業、加工メーカー、問屋、小売業、そして、消費者をループにした食料自給率向上の循環経路ができあがり、現在、41%といわれているカロリーベースでの自給率アップに確実につながってゆくのではないかと思われる。
すでに、この国産食品ポイントは2009年、2010年と実証実験が首都圏の食品スーパーマーケット、GMS、東急ストア、イトーヨーカ堂、ダイエー等で行われ、検証結果も出ており、それを踏まえての、2011年度の全国導入へ向けての検討であるという。したがって、2011年度は日本全国の食品スーパーマーケットが国産食品ポイント制度を導入することになる可能性が高まったといえよう。結果、2011年度は食品スーパーマーケット業界にポイントカードが一気に普及し、食料自給率拡大へ向けて、食品スーパーマーケット業界が本格的に貢献すると年となりそうである。現在の約40%の食料自給率が何%になるのか、その成否が問われることになる。
では、具体的にどのような仕組みで、国産食品ポイントが動くかであるが、実証実験の結果を見ると、東急ストアでの事例であるが、2009年2/19から3/11まで実施され、国産対象商品は150品、キユーピー、ハウス食品、マルハニチロ食品、ミツカン、東急カード、東京青果、JA グループ和歌山、JA 全農青果センターが協力、協賛し、「おいしいニッポンを食べよう」というキャンペーンで、カレーフェア、サラダフェアを実施したという。10円ごとに1ポイントを付けたりし、貯まったポイントは500ポイントでJTB旅行券、150ポイントで国産食材セットなどと抽選で交換したという。東急ストアの顧客は事前に携帯電話の東急カードのサイトに自分のカードを登録すれば、後は、キャンペーン実施中の東急ストアでキャンペーン中の国産食品150品のどれかを購入すれば、自動的にポイントがカードにたまるという仕組みである。
その結果であるが、農水省によれば、「キャンペーン対象商品の販売数量は前月同週に対して205%、販売金額は167%に増加いたしました。また、同様のフェアを実施した非実験店舗と比較した場合においても、同一期間におけるキャンペーン対象商品の販売数量は24%増、販売金額では19%増と、ポイント付与による販促効果が確認できました。」とのことである。
農水省では、当初の検証の狙いを、次のように解説している。「一つ目が、対象商品の売上増加ということでございますけれども、こちらは実施いただける流通さんのデータ等々を見ながら、効果検証を行っていきたいというふうに考えております。二つ目が、国産食材にポイントを付与した場合に、お客さん単位でその購買の量ですとか購買の総額が増えるのかどうか。こういったミクロのデータも、分析してみたいというふうに考えております。三つ目が、ブランドスイッチでございます。同一カテゴリー商品におきまして、ポイント有り無しでお客さんがブランドスイッチを店頭の棚で行うかどうかといったことも、売上げデータですとか実際のお客さんのアンケート等々で実施してみたいというふうに考えております。最後が、ちょっと定性的な効果検証になるかと思いますけれども、対象商品に対するお客さんの意識の変化ですね。国産食品の重要性ですとか、好意度、購買の習慣化みたいな、こういう定性的な効果につきましても、お客さんのアンケート等々で検証していきたいというふうに考えております。」
このように、日経新聞が1面で取り上げたように、ほぼ、2011年度から国産食品ポイントが全国の食品スーパーマーケットで実施されるのは確実な情勢といえ、食品スーパーマーケット業界にとっては、2011年度はポイントカードの新たな展開の時を迎える年となりそうである。これを機会に、食品スーパーマーケット業界としてはポイントカードを活用した新たなマーチャンダイジングの仕組み、マーケティング政策を構築したいところであるといえよう。
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