週間東洋経済、3/13号、百貨店、スーパーを特集を読む!
本日、3/8発売の東洋経済、3/13号で百貨店、スーパー(GMS)が特集された。表紙は、「百貨店、スーパー大閉鎖時代!」という見出しである。そこで、本ブログでは、この特集の内、スーパー(GMS)について見てみたい。スーパーについては、5つのキーワードで読み解く業界の苦闘と題し、イオン、イトーヨーカ堂、西友、商社について取り上げている。特に、今回の特集の全体構成の俯瞰図が、P40に図解されており、その次のページには、セブン&アイ・ホールディングス会長の鈴木敏文氏のインタビュー記事が掲載され、計4ページに今回のスーパー(GMS)の特集が集約されている。
まず、その俯瞰図を見ると、日本チェーンスト協会の公表資料をまとめたグラフがあり、それを見ると、スーパーの売上げは1997年がピークで、その後、ゆるやかに減少、そして、2002年に大きく落ち込み、その後も緩やかに減少しており、まさに、右下がりの傾向が鮮明である。このグラフには1平方メートル当たりの売上げも折れ線グラフで示されているが、さらに急角度で右下がりに下がっている。まさに、スーパーはこの10年で売上げ、特に、店舗効率が急激に下がっているのが実態である。
この俯瞰図では、このグラフのすぐ下に、GMS再生のキーワードが表にされている。それを見ると、SPA化、専門店化、個店対応、PB、ディスカウンターの5つがGMS再生のキーワードであると示され、その5つの取り組みについて、イオンとイトーヨーカ堂との取り組み度合いを比較している。この5つのキーワードがこの特集記事の結論といえよう。またその下には、GMSは小売りの輪から脱却できるかとの図を掲げており、いまから50年前のマクネア教授の小売の輪理論に当てはめたGMSの現状を示している。
そして、俯瞰図の左側は主要スーパー(GMS)と商社との関係図、海外小売業、特にウォルマートと西友の関係図をまとめており、現状のスーパーと商社がいかに深い関係にあるかが一目瞭然である。これを見ると、丸紅、三菱商事が直接、間接にイオンと関係が深いといえ、さらに、独自に、食品スーパーマーケットとの関係も深めており、イオン、丸紅、三菱商事の動きが今後、スーパー業界へ大きな影響を与えることになるといえよう。また、意識してかどうか、わからないが、ウォルマートを全体の俯瞰図の中心においており、今後、ウォルマートが日本のスーパー再編の台風の目となるのではないかと予感させているといえる。
次のページでは2ページ、全面がセブン&アイ・ホールディングス、鈴木敏文会長のインタビュー記事であるが、この中で気になる内容は、イトーヨーカ堂、GMS改革についてであり、2009年度上半期の営業赤字の原因は衣料品にあるとの認識である。その原因は問屋依存にあるとのことで、今後は、アイテムごとの仕入れから、コーディネート仕入れに変えてゆくなど、組織的な見直しからはじめるという。また、今回の5つのGMS改革のキーワードの1番目のSPA化については、ユニクロのようにSPAに転換しようと思ってもなかなかできないとのことで、衣料はそんなに簡単にSPA化はできないという。そして、イトーヨーカ堂は今が底であり、回復の手応えは十分に感じているとのことだ。
これを踏まえて、5つのキーワード、SPA化(イオン)、専門店化(イオン)、個店対応(イトーヨーカ堂)、PB(イトーヨーカ堂)、ディスカウンター(西友)が解説されてゆくが、この中で、最も気になる記事は、ディスカント化で取り上げられた西友の特集である。記事の見出しも、「ウォルマート化で変身、M&Aによる拡大に布石」、「ウォルマート・ジャパンの第1章が始まる、GMS苦難の時代に拡大路線へ転換する」であり、昨年設立したウォルマート・ジャパン・ホールディングスの今後の動向を探っている内容である。 新CEOとなった野田亨氏へのインタビュー内容が中心であるが、明らかに西友が復活した様子が伺われ、業績も堅調であるという。そして、今後、「われわれと協業したいという人たちを招き入れたい、・・」とのことで、いよいよ、持ち株会社の本領発揮、M&Aに乗り出すのではないかと思われる記事の内容である。
今回の東洋経済の特集はスーパー(GMS)よりも、百貨店が主であったため、スーパー(GMS)は先の5つのキーワード、SPA化、専門店化、個店対応、PB、ディスカウンターの解説が中心であった。そのため、スーパー(GMS)の問題点の本質に十分に踏み込めなかった感は否めないが、現時点での現状、そして、主要スーパー(GMS)がいま何を主に取り組んでいるかについてはトップ、関係者への取材に基づき、まとめられており、参考になるといえよう。来月はじめにはスーパー(GMS)各社、2010年度の本決算が次々に発表されることになると思われるが、いずれも、厳しい決算が予想されよう。同時に、2011年度、そして、中長期への経営改革の方針が発表されると思うが、各社、どのような方向性を打ち出すか注目である。
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