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March 21, 2010

日経MJ、新製品週間ランキング3/19、平均単価に注目!

   恒例の日経MJ、新製品週間ランキングが3/19公表された。今週の注目はホワイトデー関連のチョコレートの動向である。先週と一転、チョコレートが菓子ベスト20の中に14品と70%を占めた。異常な動きである。しかも、いずれも、平均単価が500円、1,000円と高めのチョコレートである。また、今週、全新製品の中で金額PI値No.1は家庭用品のカネボウ化粧品、ブランシールスペリアホワイトニングWコンクルージョン(医薬部外品)45ml、何と2,117円である。しかも、その平均単価は9,666円と約10,000円である。奇しくも、今週は平均単価の高い商品が新製品のトップクラスを占めたといえる。そこで、今回は、この平均単価に注目して、改めて、新製品週間ランキングを見てみたい。

   一般に、金額PI値と平均単価の関係は、金額PI値=PI値×平均単価で決まる。ここからわかることは、金額PI値はPI値が高い商品か平均単価が高い商品か、双方が高い商品かの3つのケースが考えられるということである。食品スーパーマーケットでは、この金額PI値を引き上げるために、PI値を最優先に取り組み、PI値の高い商品を徹底的に強化してゆく傾向が強い。その結果、自然、平均単価の低い商品が優先的にピックアップされ、重点商品の大半を占めることになる。PI値と平均単価はこの数式が示すように、y=1/xの双曲線の関係にあり、PI値が高い商品は平均単価が低く、平均単価の高い商品はPI値が低くなる傾向がある。双方が高い商品は滅多に存在せず、あれば、黄金の商品といえるが、現実には見つけるのが容易ではない。

   したがって、金額PI値を引き上げるためにPI値を優先した場合は、平均単価の低い商品、平均単価を優先した場合はPI値の低い商品となる場合がほとんどであり、どうしても、食品スーパーマーケットとしては、PI値優先、結果、平均単価の低い商品を強化しがちとなる。ただ、金額PI値を引き上げるという観点からは、そのバランスが最大のポイントであり、平均単価が高く、結果、PI値は低くとも金額PI値の高い商品に着目することも重要なマーチャンダイジング政策といえる。特に、今回のように、デフレによる価格競争が激しくなった現状の経営環境の中では、平均単価に焦点を当てたマーチャンダイジング政策が実は起死回生の重要な経営戦略となる場合もある。

   そこで、改めて、今週の日経MJ、新製品週間ランキングに注目してみると、先にあげた菓子のチョコレート、そして、家庭用品の化粧品の動向がまさに、平均単価が高く、PI値が低く、金額PI値が超トップクラスの商品がランクインしているのがわかる。また、飲料でも平均単価の高い商品がベスト10の中に5品ランクインしており、今週は特に、平単価に注目すべき週となったといえよう。

   さて、まずは、チョコレートであるが、No.1は平均単価999円、メリーチョコレートカムパニー、小春桜13個、金額PI値452円(PI値0.045%)である。また、小春桜7個もNo.3に入っており、平均単価は599円、金額PI値367円(PI値0.061%)である。No.4にもメリーチョコレートカムパニーのジュンティール8枚、平均単価800円、金額PI値350円(PI値0.043%)が入り、菓子ベスト5の中に、この3品、いずれも平均単価の高いチョコレートがランクインした。PI値はいずれも、0.00台であり、見えないくらいのPI値である。No.1のPI値0.045%は2,000人/日クラスの平均的な食品スーパーマーケットで1日0.9個であるので、1日1個以下しか売れない商品である。にもかかわらず、菓子の新製品トップとなるのは、平均単価の高さからである。ちなみに、菓子のトップクラスのPI値は0.5%前後であり、このNo.1商品の約10倍は売れるので、PI値から見ると、通常では重点商品には入ってこない。ただ、その平均単価は1/10となるので、結果、掛けた金額PI値はほぼ同じ数字となる。

   家庭用品トップのブランシールも平均単価9,666円、金額PI値2,117円であるので、PI値は0.021%となり、かなり低い数字である。先のチョコレートNo.1の小春桜13個のPI値0.045%のちょうど半分とさらに低い数字となる。したがって、平均的な食品スーパーマーケットで2日に1個売れるかどうかという商品であるが、それでも、金額PI値は極めて高い数字であり、これが、平均単価のもつ金額PI値へのインパクトであるといえる。ちなみに、家庭用品のベスト10の平均単価だけ見ると、9,666円、9,569円、5,993円、20,315円、7,279円、7,137円、9,464円、14,508円、278円、3,844円と、1品だけ278円があるが、それ以外は、いずれも平均単価が極めて高い商品である。

   このように、今週の日経MJ新製品週間ランキングは金額PI値で見ると、平均単価の高い商品のオンパレードとなり、改めて、平均単価を見直す良い機会ではないかと思う。金額PI値を引き上げるには、食品スーパーマーケットでは、どちらかというとPI値を最優先で取り組んできたが、今後、特に価格競争の激しい今回のようなデフレ環境ではあえて、平均単価に挑戦することも重要なマーチャンダイジング政策であるといえよう。来週以降も、新製品の平均単価の動向がどのような動きとなるか注目である。

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