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March 02, 2010

ダイエー、待ったなしの経営改革、社長交代!

   3/1の日経MJに「ダイエー社長に桑原氏、経営再建へ多難な船出」、「前期、初の営業赤字見込む」という見出しの記事が載った。また、すでに、2/25からダイエーのホームページでは、「代表取締役の異動に関するお知らせ」が掲載されており、現代表取締役社長の西見徹氏が次の株主総会で退任し、新たに、桑原道夫氏が社長に就任するということが告知されている。両氏ともダイエーの筆頭株主、丸紅から派遣された社長であり、2代連続の丸紅からの社長が誕生することになる。しかも、桑原氏は丸紅の副社長でもあり、丸紅の朝田社長とも同期であるという。丸紅としては、社を挙げてのダイエー支援体制を組むことになり、まさに、まったなしの改革に踏み込むことになる。

   現在、ダイエーの株主構成は、イオン19.85%、丸紅18.41%とイオンの方が株式の比率は高いが、丸紅は本体以外に、丸紅リテールインベストメント10.00%、丸紅フーズインベンストメント0.87%と、丸紅グループとしては、29.28%の株式を保有する事実上の筆頭株主であり、丸紅がダイエーの経営再建の主導権を握っており、イオンは丸紅を支援するという体制である。現在、イオンからは、川戸義晴氏が代表権を持つ会長であるが、桑原体制となった後も、川戸氏が代表取締役会長として、支えてゆく予定であるという。

   日経MJの記事によれば、2/25に記者会見で、現、西見社長が、「・・、けじめをつける」との発言があったとのことで、今回の退任理由が経営不振にあったとのことである。特に、丸紅は、ダイエーの株式取得に約900億円つぎ込んだとのことであるが、先の2009年3月期には、丸紅はダイエー株で200億円強の減損処理を計上したという。しかも、ディスカントキャッシュフローを割り出しての損失計上であり、仮に、さらに業績が下がれば、追加の減損を余儀なくされるという。したがって、経営改革を断行し、業績を回復させ、株価を引き上げることが求められ、まさに、ダイエーにとっても、丸紅にとってもまったなしの厳しい局面にたったといえよう。

   ちなみに、ダイエーの株価であるが、この記者会見があった2/25以前から見てみると、2/22(301円)、2/23(298円)、2/24(299円)、2/25(297円)、2/26(295円)、3/1(296円)という推移であり、やや下がり気味であるといえよう。しかも、この厳しい結果となった第3四半期が公表された1/13以降、株価が急落、それまでは350円前後まで上昇気味であったが、まさに、右下がりに下落しており、投資家はダイエーに対して、極めて厳しい目を向けているといえよう。

   では、この1/13に公表された第3四半期のダイエーの決算結果を見てみたい。営業収益7,310.01億円(93.71%)、営業利益-40.37億円、経常利益 -69.14億円、当期純利益-66.73億円と、減収減益、すべての段階で赤字決算となり、厳しい結果となった。しかも、通期予想は、営業収益9,700.00 億円(-6.8%)、営業利益-35.00億円、経常利益-75.00億円、当期純利益-125.00億円と、最終利益が100億円を超える赤字となる予想である。

   そこで、営業利益が赤字になった要因を原価、経費面から見てみたい。まず、原価であるが、70.32%(昨年70.23%)と、0.09ポイント上昇した。ただ、上昇幅が小幅であり、厳しいデフレ環境による価格競争が激しい中、原価の上昇を小幅に抑えており、結果、売上総利益は29.68%(昨年29.77%)となった。一方、経費であるが、38.17%(昨年37.27%)と、0.9ポイント上昇している。それにしても、38.17%という経費比率は、極めて高い経費比率であるといえよう。もともと、GMS業態の経費比率は高いが、それでも、2009年3月期の数字を見ると、イオン36.8%、セブン&アイH31.0%であり、ダイエーの38.17%はかなり高い数字である、ただ、金額では、昨年の経費額が2,693.96億円、今年が2,586.03億円であり、107.93億円下がっており、絶対額の削減は進んでいる。経費比率があがったのは、売上高が93.74%に下がったことが大きく、固定費が重くのしかかったためと思われる。

   結果、差し引き、マーチャンダイジング力は-8.49%(昨年-7.50%)となり、原価はわずかな上昇にとどめることができ、経費の絶対額も抑えたものの、売上高が大きく減少したため、経費比率の上昇が見られ、マーチャンダイジング力が大きく下がる結果となった。これに、GMS業態特有の不動産収入、物流収入等のその他営業収入が7.90%(昨年7.93%)加わり、結果、営業利益は-0.59%(昨年0.43%)となり、営業赤字となった。

   この営業構造をどう改革するか、まさに、新社長の問われる課題であるが、まずは、売上げをいかに引きあげるかが急務といえよう。今期の結果を見ても、経費の絶対額は下がっているにも関わらず、経費比率が上昇しているのは売上げが下がりすぎ、固定費が相対的に上昇したためであると思われる。したがって、売上げが上がらない限り、経費比率は下がらないといえ、特に、坪効率、この数字をいかに引き上げるかが喫緊の課題といえよう。今後、新社長がどのような経営方針を打ち出し、マーチャンダイジング力のマイナス幅をいかに圧縮できるか、その政策に注目したい。
   
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