サミット、機構改革を断行、商品本部廃止!
サミットが新年度へ向けて、3/17、機構改革の詳細を公表した。その目的は、「(1) 店長主導型店舗運営を推進する。(2) マーチャンダイジング力をアップする。(3) トップの方針・指示を、より早く正確に実現する。(4) 生産性を改善する。」の4点であり、特に注目は(1)の店長主導型店舗運営の推進である。従来、食品スーパーマーケットは、仕入れと販売という小売業の基本構造を2つに分け、仕入れは商品部が専属で行い、販売は店舗が行うという役割分担が明確であった。ただ、店舗運営については、商品部主導か、店長主導か、そのバランスが難しく、どちらかというと、多くの食品スーパーマーケットでは商品部主導の店舗運営が強く反映されるのが現実であろう。
サミットでは、この関係をオーケストラにたとえ、作と演と表現し、作が商品部、演が店舗の役割とし、双方のバランスをうまくとり、最高の音楽を奏でるような分業システムを目指してきたといえる。食品スーパーマーケットのチェーンオペレーションとは、突き詰めれば、この分業、すなわち、仕入れと販売を分けて管理することが原点であり、分けることによって、100店舗、1,000店舗、10,000店舗と店舗数を効率的に、しかも素早く増やし、飛躍的な売上げ、利益を実現することが可能なビジネスモデルであったといえる。
ただ、弊害もあり、食品スーパーマーケットは顧客が店舗へ来店し、商品を購入するというところから商売が始まるように、店舗は顧客との接点の最前線にいる。一方、商品部は仕入れが本業であり、店舗からは離れ、商品の生産、物流の最前線にいる。したがって、両者は流通の対極に存在しているといえ、双方の意思疎通がうまくゆかず、商品と顧客ニーズとを一致させるのは至難の業であったといえる。この一致を支援するのが、POSデータの共有であり、そのデータにもとづく店舗からの発注情報である。
問題は、店舗のみに存在する顧客のニーズをどう店舗運営に反映させるかであるが、商品部主導の店舗運営となると、生産、物流情報が主導の店舗運営とならざるを得なくなり、顧客のニーズを反映した店舗運営が難しいのが現実であろう。ただ、需要供給の法則どおり、需要>供給(インフレ気味)という状況においては、物が足りないわけであり、いかに商品を調達するかが決め手となるので、商品部主導の組織が効率的であるといえよう。ところが、需要<供給(デフレ気味)となったとたん、供給過剰となり、商品部主導では店舗に過剰在庫が発生し、店舗が回らなくなる。サミットが今回、店長主導型店舗運営に大きく舵を切ったのは、まさに、現在のデフレの進行に対応してゆくには、商品部主導では無理があり、店長主導に組織編成を変えざるをえないと判断したためと思われる。
では、具体的にはどのような組織となるかであるが、最大の改革は商品本部という名称を亡くし、営業本部に統合したことである。従来、サミットでは仕入れ(作)は商品本部が担い、そのもとに、青果部、鮮魚部、精肉部、惣菜部、ベーカリー部、一般食品部、デイリー部、家庭用品部、書店部と9つの部があった。一方、販売(演)は販売本部が担い、そのもとに、第1エリア8ブロック、第2エリア8ブロックと計16ブロックがあった。これを、統一、営業本部に一本化したことである。
具体的には、「① 販売本部、商品本部を統合し、名称を『営業本部』とする。② エリア制(第1エリア・第2エリア)を廃止する。③ ブロック数を16ブロックから10ブロックに減らし、各ブロックの店舗数を再編の上、ブロックの名称を『第1~第10ブロック』に改称する。⑦ 営業企画部、各ブロック、店舗サポート部、各商品部、物流・グロサリー業務部を営業本部の所管とする。」ということであり、営業本部のもとに、店舗10ブロックと生鮮、グロサリーが配され、さらに、この3組織とは別に、営業企画部、宅配事業プロジェクトを営業本部に直結した組織としたことである。
そして、さらに、店舗主導を明確にするために、「⑥ 販売本部の所管であった夜間運営教育グループを、店舗サポート部の所管に変更する。⑧ 店舗サポート部L.S.P.グループを「生産性向上推進グループ」に改称する。」とし、従来、店舗と独立していた店舗サポート部を店舗に配し、10ブロックの各店舗へのフォローを強化している。一方、各商品部には新設として、「各商品部に、各商品部の「作」実現に向けた指導・支援・情報収集を主な役割とする担当者を配属し(グロサリーは物流・グロサリー業務部に配属)、役職名「スーパーバイザー」とする。」と、スーパーバイザーを設け、演を支援する作の改革に踏み込んでいる。
このように、サミットがチェーンストアの根幹にかかわる機構改革を断行し、従来の商品本部、販売本部を廃し、営業本部を創設し、作と演を融合する営業体制の一本化をはかり、まさに、店長主導型の店舗運営を推進する組織をつくりあげたといえる。これは商品部主導(作)から店長主導(演)へとチェーンストアの重心の移動であり、新たなチェーンストアづくりへ向けての大胆な試みといえよう。ただ、この機構改革はまだ振り子が店舗よりに振れただけの過渡的な状況ともいえ、今後、サミットがさらに、抜本的な機構改革に踏み切るかどうか、次の展開に注目したい。
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