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March 25, 2010

顧客からの損益計算書を考えてみる!

   損益計算書、いわゆるP/Lは商品からの損益計算書のことである。食品スーパーマーケットでいえば、すべての商品、約1万品の商品の売上高を求め、そこから、その約1万品の原価を計算し、差し引き、約1万品の売上総利益、いわゆる粗利を計算する。そして、そこから、その約1万品の商品を販売する上にかかった経費を差し引き、利益を算出する、これが、営業利益である。損益計算書はこのように、商品にはじまり、商品に終わるという構図であり、商品を中心に損益を考えてゆくことが原則である。

   したがって、マーチャンダイジングとは、商品の売上げを上げることであり、一方で、その原価を下げることであり、さらに、その経費を下げ、結果、営業利益を最大にする取り組みであることがわかる。マーチャンダイジングに経費まで入れるか、入れないかは議論が分かれるところであるが、そもそものマーチャンダイジングの最終目的をキャッシュの獲得という観点におけば、経費までいれるのが本来は筋であろう。ただ、経費はどこまでがマーチャンダイジングにかかわるもので、どこまでがかかわらないものであるかの選別が難しい面もあり、人件費等、管理可能な経費のみ入れて考える方が現実的には、マーチャンダイジングの改善につながるものといえる。

   こう見ると、損益計算書(P/L)とマーチャンダイジングとはほぼ連動しており、マーチャンダイジングの改善は損益計算書(P/L)の改善につながるといえ、そのために、食品スーパーマーケットでは、約1万品の商品の売上げをいかに上げるか、その原価をいかに下げるか、そして、その経費を可能な限り削減できるか、この3つの最適バランスを追求し、結果、企業にいかにキャッシュをもたらすかにあるといえよう。

   そして、そのために、食品スーパーマーケットではPOSを導入し、約1万品の単品管理を行い、その売上、在庫をしっかりとつかみ、最適価格、最適在庫の管理を最小の経費で行う仕組みを作り上げたといえよう。また、バイヤーはその約1万品の原価交渉をメーカー、卸と行い、極限まで原価を下げ、売上総利益(粗利)を引き上げることに取り組んでいるといえる。

   では、これに対して、全く視点を変えて、顧客からの損益計算書を考えてみたい。マーチャンダイジングの最終目的がキャッシュの獲得にあるとすると、そのキャッシュを商品から獲得することも、顧客から獲得することも実は同じはずである。したがって、本来、商品約1万品の積み上げから成り立っている損益計算書(P/L)は、同時に、顧客1人1人の売上、原価、経費を積み上げることにより、作り上げることができるはずであり、最終結果は同じ数字になるはずである。

   どこが違うのか、商品1品1品を積み上げてゆくか、顧客1人1人を積みあげてゆくかの違いである。では、顧客と商品ではどっちが多いであろうか。実際にポイントカードを作って見ればわかるが、食品スーパーマーケットでは顧客の方が多いのが実態である。商品は先に見たように、約1万品であり、年間全部が入れ替わっても約2万品であるが、顧客は、一例を示せば、オオゼキのポイントカードホルダーがつい最近90万人を突破しており、オオゼキは約30店舗であるので、1店舗あたり3万人となる。したがって、顧客は少なくとも1店舗あたり食品スーパーマーケットでは、3万人は利用しているといえるので、顧客の方が商品よりも圧倒的に多いのが実態といえよう。

   したがって、顧客の損益計算書(P/L)は、この約3万人の1人1人の顧客の個別管理を行うことから始まるといってよく、そこから、顧客1人1人の売上、原価、経費を計算し、積み上げることがポイントとなる。食品スーパーマーケットでは、商品を約10分類に分け、それぞれバイヤーと店舗運営部を置き、マーチャンダイジングの改善をはかっているが、同様に、顧客も約10分類し、顧客マネージャーと顧客運営部を置くべきであろう。ただ、2つの組織をつくるとそれだけで経費が倍増するので、縦横のマトリクスの組織づくりが望ましいといえ、商品がバイヤー中心に組織をつくってきた歴史があるので、顧客は当然、店長を中心に店舗と全社の顧客管理にもかかわる組織が望ましいといえよう。

   そして、ここから、顧客の損益計算書をつくり、できれば、顧客の貸借対照表(B/S)、すなわち、顧客の生涯の購入履歴を整理し、いつでも、短期的な顧客の損益だけでなく、蓄積された購入履歴を組み込んだ顧客の1人1人へのマーチャンダイジング(マーケティング)政策が検討できるようにすべきであろう。

   本来、ポイントカードはここら辺を最終到達系にしながら、そのシステム構築を目指してゆくべきものであると思う。また、このような管理体制を作り上げないと、せっかくポイントカードを通じて得られる顧客1人1人の購入履歴を活かした顧客へのポイント還元を通じて、顧客の来店頻度を引き上げ、最終目的であるキャッシュの獲得に十分に結び付けることができない。ポイントが顧客の購入履歴を充分に活かせず、単なる商品値引きに近い活用方法になってしまいかねないといえよう。ポイントカードを導入したら、まずは、顧客の損益計算書を工夫して作ってみて欲しい。そこから、新たなマーチャンダイジング(マーケティング)政策が生まれるのではないかと思う。

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