丸久、2010年2月期決算、増収増益!
丸久が4/7、2010年2月期の決算を公表した。結果は、営業収益794.84億円(4.6%)、営業利益39.59億円(5.6%)、経常利益38.85億円(8.3%)、当期純利益19.21億円(15.1%)と、増収増益の好決算となった。食品スーパーマーケット業界は、厳しい決算があいついでいるが、丸久は営業収益、各段階の利益ともに堅調な伸びを示しており、業績は順調といえよう。丸久の営業収益が4.6%と堅調に推移した要因は、「「アルク」を北九州市小倉南区に小倉東店(3月)、岩国市に南岩国店(6月)、周南市に慶万店(9月)と徳山中央店(12月)の4店舗(前期同数)を出店し、・・」とのことで、結果、総店舗数が80店舗となったことによる。
ただ、既存店は、96.1%と減少しており、新店の効果が大きかったといえよう。その既存店が伸び悩んだ要因を、売上高=客数×客単価、客単価=PI値×平均単価で見てみると、売上高96.1%=客数97.2%×客単価98.9%(1,637円)、客単価98.9%(1,637円)=PI値100.6%(940%)×平均単価98.3%(174円)という結果である。PI値は改善したが、平均単価が下がっており、結果、客単価が下がった。また、客数も下がっており、既存店は、客数、客単価ともにダウンと厳しい結果であったといえよう。それだけ、消費環境が厳しい状況にあるといえ、特に、価格競争が激しかったことが推測される。
これに対し、営業利益が5.6%と増益となった要因を原価、経費面から見てみたい。まず、原価であるが、74.88%(75.03%)と、0.15ポイント減少している。先ほど見たように、平均単価が98.3%と下がったにもかかわらず、原価も下げており、改善が見られる。多くの食品スーパーマーケットで、今期決算においては、原価が上昇しているが、丸久は逆に原価が減少しており、これについて、丸久は、「食品スーパーマーケット事業において、お客様のニーズに合わせた品揃え、品質、付加価値の高い商品提供など商品力強化を図り、・・」とコメントしており、付加価値の高い商品の強化が原価を押し下げたものと思われる。結果、売上総利益は、25.12%(昨年24.97%)となった。
一方、経費の方であるが、22.37%(昨年22.33%)と、0.4ポイント上昇した。ただ、既存店が96.1%と厳しかった割には、経費の上昇はわずかであり、経費削減にも取り組んだ結果であるといえよう。結果、差し引き、商品売買から得られるマーチャンダイジング力は、2.75%(昨年2.64%)と、上昇した。原価改善効果により、マーチャンダイジング力を引き上げたといえる。
そして、これに、不動産賃貸収入等の営業収入が2.35%(昨年2.41%)のり、営業利益は5.10%(昨年5.05%)と改善し、これに、売上高の上昇があいまって、増益となった。こう見ると、営業利益が増加した要因は原価の下げた効果が大きかったといえ、経費は減少、その他営業収益は上昇しており、原価の改善とその他営業利益が丸久の利益を支えたといえよう。それにしても、5%を超える営業利益は食品スーパーマーケット業界では高い収益率であり、ベスト5には入る数字である。
ただ、気になるのは財務であり、自己資本比率が30.5%(昨年27.1%)と、昨年よりは改善したが、低い点である。丸久自身も、目標とする経営指標の中で、「自己資本比率40%の早期到達を目標としています。・・」とコメントしており、自己資本比率の改善は経営の重点課題ととらえている。では、なぜ、自己資本比率が低いかであるが、その最大の要因は、有利子負債が150.59億円(昨年158.88億円)と、総資産355.28億円の42.3%と、自己資本比率を超える高い数字であるからである。今後、いかに、キャッシュを増やし、自己資本比率を引き上げるかが急務といえよう。
したがって、丸久の出店余力を見ると、出店にかかわる資産、土地、建物、資金及び保証金等の合計は241.65億円(昨年239.02億円)と、総資産の68.01%(昨年69.99%)と高い数字であるため、自己資本比率-出店にかかわる資産比率=-32.51%(昨年-42.89%)と、昨年と比べ大きく改善しているが、それでも、30%以上、負債に依存する出店構造となっており、その大半が有利子負債といえよう。したがって、丸久の出店構造は負債、特に有利子負債に依存する出店構造であり、現段階では安定的、継続的な新規の出店が財務的には厳しい状況にある。ちなみに、丸久の総店舗数は56店舗であるので、1店舗当たりの出店にかかわる資産は4.31億円であり、食品スーパーマーケット業界の平均よりもやや低い数字である。
このように、丸久の2010年2月期の決算は増収増益と堅調な数字となった。特に、原価を改善しての増益であり、他の食品スーパーマーケットが原価を落とす中、付加価値の高い商品の強化で原価を改善しており、丸久のマーチャンダイジング力の強さが表れたといえよう。ただ、財務の方は、自己資本比率が30.5%と、かなり、低い数字であり、新規出店構造も負債、特に有利子負債に依存する出店構造であり、今後、自己資本比率の引き上げは、丸久自身も認識しているように、急務といえよう。キャッシュが順調に改善している現在、今後、どこまで、しかも、早く、自己資本比率が改善できるか、今後の丸久の財務戦略に注目である。
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